-
from: わかさん
2011/09/22 05:35:15
icon
野田首相の真価問う増税
【私説・論説室から】
野田首相の真価問う増税
2011年9月21日 東京新聞
緑滴る山と田畑。だが海岸に面した集落はがれきの山また山。人影はなく重機とダンプカーだけが重い音を響かせ働いている。
宮城県南三陸町では鉄骨だけの防災庁舎を見た。押し寄せる大津波の中で、最後まで住民に避難を呼び掛けた女性職員がいた。
東日本大震災から三カ月後の被災地で見た光景は、とても忘れられない。
今月初めに誕生した野田佳彦首相の下、ようやく本年度第三次補正予算案づくりが動きだした。今なお八万人を超える避難者の暮らしと被災地経済を改善するには一刻も早く予算案を成立させなければならない。
課題は復興財源だ。規模はざっと十六兆円。政府は五兆円程度は歳出削減や税外収入でまかない、十一兆円程度を増税で確保したい考え。増税反対論をどう説得するかがカギだ。
各社の世論調査では、ほぼ半数の国民が復興増税に賛成している。徹底的な無駄の削減が条件だが、国家財政が主要国で最悪という事実も知っている。
七十年前の日本。中国での戦線拡大と米、英両国などの経済制裁で国力の維持が次第に困難になった。当時の政治は機能不全の状態。軍部はインドシナ半島への進出を強行した。
「じり貧を恐れるあまり、どか貧に陥らぬよう」との警鐘はかき消された。現役世代が局面打開に努力しなければ、ツケは後世代が払う。苦い教訓をしっかり生かす時だ。(大沢賢)
コメント: 全0件