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from: わかさん
2011/10/25 05:28:17
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被災者は二百四十万人を超える
筆洗
2011年10月24日 東京新聞
にぎやかだった秋の虫の鳴き声も、弱々しくなってきた。きょうは二十四節気の一つの霜降(そうこう)。秋の深まりを肌で感じ、冬支度を意識する季節になってきた
▼世界は広い。ほぼ北緯三五度の東京や名古屋から、一三度のバンコクに南下すると、五月から続く雨期がそろそろ終わり乾期が始まる時期だ。雨期の終盤には雨が降り続くことが多いが、今年は異常だった
▼タイの洪水で二十を超える県が被災し、首都の中心部を流れるチャオプラヤ川でも水があふれ、首相府など官庁街がある首都バンコク中心部への浸水が本格化しつつある
▼死者は三百五十人以上、被災者は二百四十万人を超える大災害だ。日本のメディアの報道は日系企業の被災状況や日本経済への影響に少々偏っている印象を受けていたが、本紙の杉谷剛バンコク特派員が二十三日の紙面で、政府だけでなくメディアからも取り残された被災地をルポしていた
▼軍用車とボートでたどりついたバンコク北側のパトゥムタニ県の被災地には、命の危険にさらされている多くの人たちが救援を待っていた。「伝えなければ、必要な場所に物資が届かない」と杉谷特派員は語っている
▼東日本大震災でも、食料などの支援物資が届かずに孤立した被災者が多かったことを思い起こす。いま一番、苦しんでいる人がいる場所から発信する。メディアの役割はそこにある。
フォト:チゴユリ
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