米軍とアフガン政府軍の攻撃で、アフガン南部のタリバン拠点を制圧したという。
　タリバンはゲリラ作戦に長けているから、こんな程度ではとてもへこたれまい。パキンタン国境の部族地帯に逃げ込んで、機を狙っているだけであろう。
　掃討軍が手薄になったとみるや、またぞろ攻勢に出てくるのだ。こんなもぐら叩き戦闘では百年掛けてもタリバンは掃討できまい。
　と、云って部族地帯に踏み込めば、住民の犠牲が増え、外国軍に対する憎悪を強め、タリバンを有利にするだけである。
　北朝鮮とタリバンは、一筋縄にはゆかないのだ。アフガンの治安維持には武力が必要だが、タリバン征伐はに武力によらない戦略を強化するしかあるまい。
　ヒラリ－国務長官の「スマ－ト作戦」の武力によらない方はどうなっているのか。
　村上新八

　行刷担当相に起用された枝野が、「『大臣』とが『先生』と呼ばず、『枝野さん』と呼んで欲しい」と述べている。これは記者団ばかりでなく、全体に対してであろう。
　その気持は分からないではないが、敬意を込めてそう呼んでいるいるわけではない。
　そう呼ぶ慣習だから、ということもあるが、そのポストの重要性を認識しなさいよ、言動には責任を持ち、指導者らしい仕事をしなさいよ、という意味を込めていっているのだ。
　「総理」と呼ばれるのは、一国の指導者としての重荷と責務をぶつけるための呼称であるとも言えるのである。宇宙人の、変わり者の「鳩山さん」ではないのである。
　こういうこともよく考えてもらいたいと思う。枝野は、民主党の国民に対する契約であるマニフェスト実行のための財源さがし、「事業仕分け」と行革の期待の星なのだから。
　村上新八
　

　近代オリンピックの創設者ク－ベルタン時代には、「参加することに意義がある」オリンピックであった。
　これが国威宣伝の場と化したのは、ナチスドイツが主催国となったベルリンオリンピックからであった。ヒットラ－は「民族の祭典」と称して、大々的なナチス宣伝の場としてフルに活用したのだ。
　戦後は、皇帝並みの権威と贅沢をほしてままにしたサマランチ会長の元で、やたらに華美になり、商業主義、金儲けのオリンピックと化し、選手にも賞金を与え、選手のコマ－シャル活動も自由となり、アマ規定もなくされ、ブロも出場ＯＫ、オリンピックは、完全にカネまみれの商業主義と国威掲揚の場となってしまったのだ。
　ク－ベルタン時代のすがすがしさは完全に消え去ってしまった。
　だから、冷戦時代のソ連圏は、経済的な立ち遅れをオリンピックで、国威の埋め合わせようと、東ドイツあたりは国家が選手の育成に力を入れ、滅法、メダルを稼いだのであった。
日本でも、その流れは益々強くなるぱかり、マスコミも囃し立て、過大広告で大選手団を送り込むことになったのである。
　しかし、日本の成績は振るわず、４年前のトリノの冬季オリンピックでは、メダルは荒川静香の金一つだけ、バンク－バ－でも不振は続いている。
　これでは、日本の国威掲揚どころか、国威引き下げのための大選手団の送り込みというていたらくである。
　抜本的に考え直す必要があるのではないか。
　村上新八

　死刑を廃止している国が増えてきているなかで、日本では死刑温存の意見が多い。
　死刑判決の比率が高い殺人犯罪に対する時効を廃止するようにこのほど答申された。これはすんなり通るであろう。
　そもそも刑法上の時効は、長い間逃げ隠れて、その間、犯人は、身心ともに大変な苦しみにさらされてきた、という情状をも考慮し、証拠などが滅失していることや、迷宮入り事件にいつまでも刑事を貼り付けておけない事情もあって、決められたものである。
　しかし、今は事情が大分違っている。
　法医学の発達のお陰で、ＤＮＡという永久に不滅の物証もあるし、一方で、死ぬまで無念の念が消えないであろう遺族の心情も考慮して、時効廃止にこぎつけたのであろう。
　科学技術の発展という時代の変化に対応した法改正であると思う。
　村上新八

　長崎県知事選、町田市長選に連勝した自民党は、この勢いに乗って、「政治とカネ」に焦点を絞って、ここぞとばかりに、民主党政権にしつこく、しつこく攻撃を掛けてくることは間違いない。
　今のところ、これより他に有力な攻め手がないからだ。
　一番の問題は、「水谷土建からの小沢への献金」疑惑だ。二番目は「鳩山の実母からの資金供与」だ。
　この二つの問題の解決がぐずつくと、鳩山内閣の支持率は２０％台にも落ちかねない。
　そうなってから、党内で「自浄」だなんだと騒いでも手遅れなのだ。
　小泉のインチキ改革でなく、本物の改革が始まろうとする矢先に鼻柱を折られるようなことは絶対に避けてもらいたい。
　それは、国民の支持に応える民主党の最大の責務である。
　この期に及んで、小沢や鳩山に義理立てするのは「悪女の深情け」というものである。
　民主７奉行の決起を切望する。
　村上新八

　昨年5月の北朝鮮による核実験の後、中国は、北朝鮮に対して、「はめをはずすな」とばかり、「改革開放」「世襲反対」「核放棄」などの問題で圧力を掛けていたという。
　それも、言葉だけでなく、一時は、中国駐在の北朝鮮幹部の退去の要求やパイプラインを止めるなどの物理的圧力も掛けたのだそうだ。これに対して北朝鮮は、貿易の拡大指示や６者協議への復帰を匂わすなどの反応を示したという。　
　しかし、その本心は、北朝鮮の唯一の生命線である、中国からのエネルギ－、食糧の供与が細くなることを懸念しての、ジェスチュアに過ぎないと思う。
　それらの中国の要求にこたえることは、金正日大勢の根幹を揺るがしかねない問題だからだ。北朝鮮にとっての最大の眼目は、「金正日体制」の維持であり、これが綻びかけることは、金体制のル－マニアのチャアシェスク化につながるからである。
　村上新八

　民主党は、まず税金のむだ使い、優先度の低い使途への支出を徹底的に見直して、国民が納得してから、増税を考える、ということを主張していた。
　しかし、最近は、財政難とマニフェスト実施の板ばさみになって、増税に手をつけたくなってきている兆しが見える。それは国民との約束を違えるものである。
　ただし、所得税の累進税率の見直しだけは別である。
　今も、累進税率の形はとってはいるが、小泉政権時代に「儲けている人にはそれなりの報いを」という竹中の競争煽動主義で、７０％であった最高税率を４０％にまで引き下げるという極端に平らかな税率ランクになっている。
　これは、もとに戻したほうがよいと思う。金儲けをする奴は、それが面白くてやるのであって、税率が高いから、儲けるのはやめておこう、などと考える者はいないからである。
　村上新八

　米軍の日本駐留は、日本の防衛のためというが、この意味は時代とともに変ってきている。
　吉田茂は、「米軍駐留は、番犬を飼っているようなものです」と述べたが、当時の米ソ冷戦時代と現在とでは意味が違う。
　米軍の駐留意図の本音は、日本防衛ではないことは明らかだが、米軍が駐留していること事自体が抑止効果になっていることも間違いあるまい。
　米軍がいなくなれば、尖閣列島などに中国が手を伸ばそうとするだろう、という外交評論家もいる。
　その可能性は分からないが、その蓋然性への対応を含めて、今の形での抑止が必要がどうか、それは国民が決めることで、その効用を認めるなら、日本の安全のための保険料としてやむを得まい。
　しかし、その保険料は、日本全体で負担すべきものであることは明らかだ。
　保険は必要だが、負担はいやだ、というのでは「総論賛成、各論反対」で、筋が通らぬ。
　村上新八

　先月２０日、ドバイの高級ホテルでイマスの幹部マブフ－フが暗殺されるという事件があった。
　この容疑者として、女１人を含む１１人の容疑者が発表された。
　ドバイ警察はイスラエルの対外特務機関「モサド」の犯行の可能性が９９％あるとしている。
　イスラエルは勿論否定しているが、マブフ－フがイランからガザへの武器輸入の責任者であるとされている点からも、イスラエルの標的となっていた可能性は高く、モサド犯行説はほぼ間違いないものと思われる。
　パレスチナの穏健派「ファハタ」関係のパレスチナ人も加わっているという説もあるが、それはファハタとハマスとの関係を悪くするだけだから、それはこじつけ話であると思う。
　ハマスは「テロ集団」だということをカザ攻撃の大義としてきたイスラエルだが、これで大義は消滅したことになるのだ。
　イスラエルとハマスとの間で、この報復合戦がまたまた始まるのであろう。
　村上新八

　ＩＡＥＡは「イランがミサイルに搭載する核弾頭の開発に向けた活動を秘密裡に進めている可能性がある」という懸念を発表した。
　イランのアブドラネジャド大統領は、ナチスによるユダ人ホロコ－ストを作り話だと一蹴したり、「イスラエルは存在すべき国ではない」と述べた男だから、核兵器開発はイスラエル攻撃をねらったものであることは確かだ。
　これに対して、核兵器を保有するイスラエルは、このイランの動きを注意深く見守っているであろう。
　イスラエルはかって、隣国シリアで建設中の原子炉をミサイル攻撃によって破壊した国であるから、イランの原子炉やウラン濃縮装置を破壊することを狙っているに違いないが、イランの核開施設は地下にあるというから、簡単に攻撃することも難しい。
　しかし、このイランの核兵器開発の動きによって、中東情勢が緊迫の度を高めたことは確かである。
　村上新八