スリランカは、仏教徒が大半を占めているが、北部にはヒンドゥ教徒のタミ－ル人が多数住んでいる。彼等は、１９５０年ころから独立を求めて運動を展開していた。
　その後武装化したＬＴＴＥが組織化され、政府軍との衝突を断続的に続けてきたのである。その結果１９８８年からの２５年間に７万人もの犠牲者を出してきたのだ。
　今回、政府軍は、思い切った掃討側線を展開し、ＬＴＴＥが盾とする民間人を脱出させて、ＬＴＴＥを追い詰めて、遂に敗北を宣言させるまでに至ったという。
　一時は民間人を巻き込んで集団自殺するのかと危惧されていたが、これで民間人の集団自殺による犠牲は出さずに済んだようである。
　欧米諸国は政府軍の武力行使を非難しているが、２５年もの間だらだらと犠牲を出し続けてきた戦いが今後もだらだらいつまでも続くよりもましであると思う。
　しかし、問題は今後である。相互の憎しみや独立願望は、そう簡単に消えるものではないから、今後どのような和平への話し合いを有効になしうるであろうかという疑問である。これは、いままでの犠牲は何であったか、という問題とともに極めて困難な問題となろう。
　村上新八