エルパラダイ氏の後任として、ＩＡＥＡの新事務局長に就任した天野氏は、就任演説のなかで、「脅威を増しつつある核テロに歯止めを掛ける」と言明した。
　名指しは避けたものの、北朝鮮、イランを念頭に置いていたことは確かであろう。
　特に、外貨獲得のための輸出品がない北朝鮮は、イランやミャンマ－、シリアに核技術や核関連部品を輸出していることは世界共通の認識である。アルカイダやタリバンが棲みついているパキスタンもある。
　これらを通じて、テロに核兵器が渡らないという保障は何もないのである。
　自爆テロに核兵器が渡ったら、彼等は、何とかして、それを使う方策を講じることも間違いないところである。
　そのような事態になることは、絶対に阻止しなければならない。それは世界中の悲願である。
　そのために、ＩＡＥＡは、核の査察だけでなく、国連や関係国と協力して、核拡散を阻止するための、強力な共同活動を展開すべきである。
　それを新事務局長に期待したい。
　村上新八