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from: Dr. Slipさん
2025/10/31 17:14:53
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フリー・ルポライターの裕子(32)、独ソ戦のど真ん中へ(4)、第2次世界大戦の戦場巡り

(ソ連赤軍の突撃) 「ソ連側も後方にあった戦車師団に一斉に突撃を命じたわ。カトコフ師団長、ルイバルコ師団長の3,000のT34がドイツの怒涛の進撃の前に展開したの。狭いクルスク突出部は敵味方の戦車で密集状態になったわ。本来戦車戦と言うのは海上戦闘のようなもので、自由に高速で動き回って、有利な攻撃点を掴むもので、このような密集状態では、力と力がまともにぶつかりあった泥仕合となっていったわ。そして、お互い被弾炎上した戦車から戦車兵が命からがら這い出してきて、その者同士が徒手空拳で殺し合うのよ。もう地獄を通り越してるわ。何の力が彼らを突き動かしているんだろう。お互い身も知らぬ者同士で恨みもつらみもないはずなのに。戦争って人間の個性を消去してもろ野生に戻してしまうのね。恐ろしい限りだわ。」 -
from: Dr. Slipさん
2025/10/31 17:13:47
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フリー・ルポライターの裕子(31)、独ソ戦のど真ん中へ(3)、第2次世界大戦の戦場巡り

ソ連赤軍の首脳陣 「迎え撃つソ連赤軍は事前に情報をキャッチしていたので、130万人の兵を動員して待ち構えていたわ。ドイツがこの攻勢に動員した兵が80万人なので、それ以上動員できたんだけれど、こちらも予備兵力は皆無の状態だったんだって。赤軍の司令部へ取材に行ってみたんだけど、総司令官のジューコフ元帥も参謀長のワシレフスキー大将もボローネジ方面軍司令のバツーチン大将もみんな難しい顔をして押し黙っているだけなの。兵力的にはドイツ軍を凌駕しているはずなんだけど、損害は2倍ほど大きいことが原因なのかも? -
from: Dr. Slipさん
2025/10/31 17:12:37
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フリー・ルポライターの裕子(30)、独ソ戦のど真ん中へ(2)、第2次世界大戦の戦場巡り

(北部からの侵攻) 「背後に迫った戦車は突然被弾して火炎を噴き上げたわ。でも止まらずに突っ込んでくるの。遂にソ連軍の対戦車砲のラインまで突入して、砲兵隊を蹂躙したの。そして次々に擱座していったわ。この日、突出部北部を担当していたヴァルター・モーデル上級大将率いる第9軍は、何重にも作られたソ連軍防御陣地に対し第20戦車師団を投入し、突撃砲に支援された歩兵師団主体による攻撃を開始したんだって。7,200名の損耗を出しながらも8km前進し1日目を終えたわ。」 (南方軍集団の圧力) クルスク突出部の南側からもドイツ軍の機甲部隊が続々と侵入を開始したわ。この南北からの侵攻が1943年頃のドイツにとってはでき得る最大限の攻勢だったのね。1941年のバルバロッサ作戦の時はレニングラード、モスクワ、ウクライナの広大な東部戦線全域にわたって同時攻撃を仕掛けられたのに、2年後のこのころは疲弊しつくしてしまったってことなのね。だけど、いずれにしてもこの狭いクルスクの地に戦車5千両を含むドイツの総力が注ぎ込まれたのだから、凄い戦いにならないはずはないわね。 -
from: Dr. Slipさん
2025/10/27 23:22:39
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フリー・ルポライターの裕子(29)、独ソ戦のど真ん中へ(1)、第2次世界大戦の戦場巡り

(怒りと響きの戦場へ) 裕子が次の戦場へ着座した時、周りは物凄い轟音が響きわたっていたわ。なんと、なだらかな丘陵地帯を戦車の大軍が怒涛のごとく押しよせて来るの。先頭の戦車はもう目と鼻の先に来てたわ。直ちにステータスパネルを開いてみると、1943年7月5日、ロシア、クルスクとなっていたわ。 (クルスクの戦車戦) 裕子が着座標したところはクルスク突出部の北辺で、ドイツ占領地区のオリョール突出部との境界だった。まさに前年スターリングラードで大敗したドイツの、巻き返しを図ったシタデル作戦が発動した日だったのね。千台近いタイガー戦車が一斉に押し寄せてきたわ。でも、ソ連側も既にドイツの攻勢が分かっていて、十分な備えをもって待ち受けていたのね。直ぐに対戦車砲の弾膜が張られ、すぐに1km進のに1日かかる位の力勝負になったんだ。でも十分準備をしていたなんて言うけど、圧倒的ボリュームで重戦車が押し寄せて来たら、それこそ恐ろしいどころじゃないわね。裕子、ルポをとるような冷静さはもうどこにもないわ。 -
from: Dr. Slipさん
2025/10/25 23:35:43
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Stanfordの2年目 20歳の裕子 (12) 宇宙研究所の生活(11) 脚長裕子

「裕子とお兄ちゃんのセンサーが史上初めてDM/DEを検知し、しかも大量にトラップできて、今まで知り様が無かった暗黒世界が一気に解明できたらしいわ。これらの知見によって、多元宇宙の構造や超大統一理論や超弦理論をもとにした超標準理論が一気に完成したんだって。アインシュタインの壮大な予測がようやく実現したんだって。それで裕子にご褒美としてpH. Dをくれるって言うのよ。これはPhilosophical Doctor のことで、博士号なのよ。裕子は頭を使わないで、ただ脚を広げて横たわっていただけなのに、いいのかなあ。でもみんなが、実験科学史上最高の業績だ何て言ってくれるのよ。 頭を使うのは俺たちだからノーベル賞は俺たちが貰うことになるだろうけど、だって。」 -
from: Dr. Slipさん
2025/10/21 05:24:33
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Stanfordの2年目 20歳の裕子 (11) 宇宙研究所の生活(10) 脚長裕子

そして、裕子とお兄ちゃんは更に悪乗りして、お兄ちゃんのプラスと裕子のマイナスを出来るだけ近づけようとしたの。そしたら両極が触れる直前に霧箱が突然発光し、凄いハレーションを起こしちゃった。これも1つの大発見よね。この瞬間に2人の間で凄まじいエネルギー交換が起こったってことよね。でも日常の観測には「過ぎたるは及ばざるが如し!」って訳で、すぐに2人は引き離されちゃった。 -
from: Dr. Slipさん
2025/10/21 05:23:10
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フリー・ルポライターの裕子(28)、空母機動部隊と共に(7)、第2次世界大戦の戦場巡り

最高責任者 「この作戦の最高責任者はこの人よ。あの有名な山本五十六連合艦隊司令長官。瀬戸内海の柱島沖に停泊した戦艦長門の作戦室で多くの戦艦を撃沈した戦果を聞き、ラジオ放送でも"本作戦の指揮を執ったのは山本大将です"と紹介され、一斉に幕僚たちから拍手喝采を受けたわ。でも本人は一つも喜ばず、"これで眠れる巨人を起こしてしまった"ってぼそっと言ったのね。開戦劈頭にアメリカの戦意を挫くためにやった乾坤一擲の作戦だったのに、外務省の体たらくで最後通牒が遅れ、全くのだまし討ちになっちゃったことや、空母を打ち漏らしたことで、この作戦はほんとは失敗だったのを、この人だけが分かっていたのね。だから、今後の気の遠くなるようないくさのために、2次攻撃を差し控えてまでも艦隊を温存するような不徹底の指揮官を敢えて選んでいたという話も聞くわ。でも軍令部を中心に時代遅れの大艦巨砲主義、艦隊決戦主義に凝り固まっていた海軍の大多数の首脳陣に対しての妥協案だったようね。」 「日米の主力艦比は一気に大逆転したのは事実だけど、国力や工業力が格段に大きいアメリカは、半年後、日本が大和と武蔵の戦艦2隻を作る間にノースカロライナを筆頭とする10隻の近代高速戦艦群を造ってしまい、むしろ時代ずれした旧式戦艦を処分したような形になっちゃったのね。更に、このスクラップたちもオクラホマとアリゾナ以外はみんなリカバリーされて、上陸作戦の艦砲射撃に利用されたんだって。だから、こんな刹那の大勝利も一過性の物だったのね。」 -
from: Dr. Slipさん
2025/10/17 23:54:53
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Stanfordの2年目 20歳の裕子 (9) 宇宙研究所の生活(8) 脚長裕子

でもここでちょっと考えたんだけど、超雄大な多元宇宙の構造を解き明かそうと、ちっぽけな星の片隅でやってる訳で、立面だの平面だの議論してるのはナンセンスじゃあないか、思えて来たの。要は裕子とお兄ちゃんがいて、敵行に脚を閉じたり開いたりしてればいいんじゃないかと思えて来たの。これってお兄ちゃんと裕子が子供の頃から大草原で戯れていたそのものなんじゃないかって思えて得来たの。それをお兄ちゃんに言ったら、「そうか、俺たちは全く知らなかったけれど子供の頃から大宇宙と交信していたんだな!」て、凄い感慨深げだったわ。さっそく傍に霧箱を置いて研究所の床に寝そべって2人で脚を広げたら、凄い量のダーク素粒子たちがトラップできたわ。でも、脚先を合わせて脚を開くと、裕子はまだまだ余裕があるのに、お兄ちゃんは殆ど目いっぱいなのね。愛すべき短足さん。「裕子が長すぎるんだ。」 -
from: Dr. Slipさん
2025/10/14 05:34:39
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フリー・ルポライターの裕子(27)、空母機動部隊と共に(6)、第2次世界大戦の戦場巡り

(二次攻撃隊発艦せず) 「当初の計画では二次攻撃隊まで発進させる予定だったそうよ。だから1次攻撃では即反撃力になる戦艦や航空戦力を攻撃して無力化しておいて、2次攻撃でゆっくり燃料タンク群だとかドックだとか、ロジスティック施設を攻撃する予定だったそうよ。当然みんなそのつもりで、準備していたわ。だけど、この人の一言で取り止めになっちゃったの。第1航空戦隊司令官・南雲忠一さんね。若い源田実作戦参謀は"攻撃は反復してこそ意義があるんだ"と言って食い下がったわ。山口多聞第2航空戦隊司令や淵田航空隊長も必死で抗議したわ。でも、"今までの戦果だけで十分だ、これ以上リスクを冒す必要はない、無傷で機動部隊を戻すことが後は私の最大の使命だ。"と言って、帰国へのコースを指令しちゃったの。イフシリーズで現代作家がいろいろ書いてるけど、この2次攻撃打ち切りの決断も大批判を浴びてるわ。本当はこの二次攻撃でインフラを徹底的に破壊し、戦争の継続力を徹底的に削ぐことが山本五十六の作戦の神髄だったはずなんだって。日本の戦い方にはこの後もちょくちょく出てくる現象らしいわ。現場司令が臆病風に吹かれるのか? それとも直接の戦力を潰せば十分だと考える短慮さなのか?」 -
from: Dr. Slipさん
2025/10/10 23:39:02
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フリー・ルポライターの裕子(26)、空母機動部隊と共に(5)、第2次世界大戦の戦場巡り

(ホイラー飛行場への強襲) 「オアフ島は真珠湾の戦艦群だけじゃなくって、陸上の基地も攻撃を受けたわ。特にヒッカムやホイラーやカネオヘといった飛行場が日本の水平爆撃隊のターゲットになったの。ここ、ホイラー基地も、裕子が着地した直後に九七艦攻群に襲われて、一面火の海となったわ。アメリカはここが開戦の早い時期に攻撃されることへの対策は打ってあったみたいなんだけど、日系人の破壊工作を避けるために飛行機を全部飛行場の中央に集めると言ったようなことだったから、裏目に出ちゃったのね。攻撃側にしてみれば、敵機群が一か所に纏まっているんだから、楽勝だった訳。でもこんな不細工な奇襲はこの戦争の中盤以降は、トラック島や中部太平洋で、しょっちゅう日本が被っていたらしいわ。レーダーや逆探装置の大幅な出遅れからそうなっちゃったのね。でも、それまでの連戦連勝からの気の緩みも大きいと思うわ。何処でも攻撃に対する準備不足が目立った様ね。」













