船橋日大前駅東口の谷は鹿谷といった。今は、美し学園という新しい街がある◆戦後、今の日大理工学部あたりに開拓者が入植した当時、鹿谷は、草木が生い茂り、とても険しくて渡れなかった。成田街道に出るときは、迂回して八千代の道から新木戸に出たという。開拓者が鹿谷の上流、今の千葉日大一高のあたりを埋め立て、道を造って成田街道に出られるようにした◆私の町会では、美し学園が造成されるまでは、鹿谷の対岸の坪井小に子供を通わせられず、薬円台までバス通学させていた◆船橋日大前駅東口の土手にあった森に、戦車壕跡があった。坪井の田んぼは胸まで浸かって田植えをするような深田。戦時中、渡ろうとした戦車が田んぼの中に沈んでしまったそうな◆そこに自生していた半夏生（はんげしょう）は、今も我が家の小さな庭で、スッくと白い葉を見せている。

「らっきょうとエシャレットはおなじですか？」農水省に電話した。「本では同じですね。」としばらく調べてから親切に答えてくれた。電話口の後ろで大きな笑い声が聞こえた◆千葉そごうに同じ質問をした。「本当のエシャレットは西洋の小さなたまねぎで、らっきょうとは別の品種です。ただし、日本では農協がらっきょうをエシャレットという名称で販売しています。」さすがにデパートの方は商品知識がある◆先日、坪井の農家で作っているというので、初めて本物のエシャレットをご馳走になった。写真の紫色なのがエシャレット。辛くて生食は無理◆「外人は事故でサインができなくなったらどうやって預金をおろすのですか？」外務省に電話した。「そんなことをどうして私が答えなくてはいけないのか！」と国際課の方にしかられた。こちらの答えはいまだ謎である。誰か教えてください。

秋田県には「ババヘラアイス」なるものがある。国道脇でパラソル一つでおばあさんがシャーベット状のアイスを売っている。車を止め、注文するとコーンの上にヘラでアイスを盛ってくれる。これは、秋田県にしかない風物詩である。◆おばあさんたちは、朝、県内の国道などに車で運ばれて一人づつ配置され、夕方、順次回収される。皆、暑さ対策で農作業中のような不思議な格好をしている◆「山の中に一人で置かれ通行車両がない時は怖い」「夕暮れになると自分だけ置き去りにされないか心配」とのこと◆今年もお盆で帰省した際、つい買ってしまった。この写真はピースをしているのではなく、１個買うのか２個買うのか尋ねるサインである。

◆昭和38年、公団は習志野で団地造成に着手した。船橋東警察署前には、明治時代に造られた旅順要塞を模した永久堡塁（ほうるい）があり、頑丈すぎて壊せずに埋めた。今も幼稚園の地下に眠っている◆松林を伐採したところ、松の木には弾痕が多く、チェーンソーの歯が弾に触れて壊れ、工事関係者を悩ませた。永久堡塁の近く日大薬学部付近は戦前、実弾訓練の場所だった。今も坪井の大きな木には弾痕がありそうだ◆東葉高速鉄道のトンネル工事では、堡塁付近から陸上自衛隊習志野駐屯地までの地下トンネルが発見された。厚さ２ｍのコンクリートで出来ていて、住宅の地下だったので爆破できず3ヶ月もかけて鉄道が通る部分だけ削岩機で壊した。地下トンネルの大半は今でも埋まったままである。上に建物が建てられないので、その場所は今はおそらくは道路であろう。自衛隊正面玄関にまっすぐ向かう細い道路がある。国会付近の戦時中の地下壕を、地下鉄工事という名目で処理したという噂に似たミステリアスな話である◆昨年、突然ＵＲ（旧公団）が船橋日大前駅東口にある森を削りとってしまい、近隣住民から抗議の声が上がった。ＵＲからなんの説明もなかったが、地元の人に聞くと、その場所は戦車壕があった場所。公団は今でも戦後処理を請け負っているのだろうか。

「米屋Ⅲ」

> 成田の米屋総本店の裏に資料館がある。コメヤ論議の取材で訪れた◆1階の番頭台には、古いそろばん、判取帳、電話機など。そろばんは、玉数が多く使い方不明。判取帳は、仕入先に代金を払ったとき受取りを記帳させたもの。年末は大福帳などを書くのが忙しいので書き入れ時といったそうな（掻入時とは書かない）◆２階には、なんと創業者諸岡長蔵が海軍に寄付した戦闘機零戦の写真。羊羹の宣伝ポスターには、デビュー時の岩下志麻が。いまでもポスターを展示できる大女優を当時採用したということに感動です。