デビル中佐がいる指揮所の上空に、毎時新聞、テレビ局、自衛隊のヘリが飛んでいた。上空から戦闘訓練を撮影するためである。工藤大佐のいる防衛省でもスパイ衛星を使い、戦闘訓練を撮影していた。演習場の中に高いやぐらがあり、その上ではテレビ局のスタッフがテレビカメラを設置していた。全国の家庭の中で、地上デジタル放送対応のテレビを持っている家庭では、自衛隊が戦闘訓練を初めて公開放送するというので、仕事を休む者が続出した。会社員だけではなく、かつていじめ問題で悩んでいた学校でも先生と生徒の欠席者が大半になり、各学校は校長の判断で臨時休校とした。国会では国会議員が巨大プラズマテレビで、この戦闘訓練を見守った。日本中で模擬戦闘訓練を注目する中、みう記者はデビル中佐番として、スクープを取ろうと意気込んでいた。

ミサの友人である純子は再度アンナの命令を受け、同じく教団信者の隆志という男性とジープでトンネルに向かった。アンナは二人に命令した後、こう付け加えた。「あなたたちは７つのピアスの位置が全て一致しているわね。それに二人ともお似合いだわ」隆志と見つめ合い、頬を赤らめる純子に、アンナは更にこう言った。「今回あなたたちに与えた仕事がうまくいけば、教団も暫らくは安泰よ。そうしたら、礼拝堂で式を挙げたらどうかしら？」「式って…？」「あなたたちの結婚式よ。勿論、二人にその気があればの話だけどね」「ありがとうございます、アンナ様」二人は声を揃えて答えた。「決まりね。そのためにも失敗は許されないわよ」
byｼﾞｬﾆｽ

かもめ島の指揮官西大佐は、今日一日でハッカー達全員を抹殺するつもりだった。島のいたるところに対人地雷が埋められていて、不用意に進入すると、地雷が爆発するしかけになっている。ハッカーの一人が地雷を踏んで、片方の足を吹き飛ばされてうめいていた。西大佐はハッカーのそばへ来ると言った。｢終わりだな。最後に聞いてやろう。お前は何故友達をいじめたんだ？｣｢学校の授業が面白くなくて、いらいらしてたんだ。そのうっぷんを晴らすためにいじめました｣｢先生のせいにするんだな。お前のうっぷん晴らしのために、友達が自殺に追い込まれたのだ。いいだろう。私もいらいらしている。うっぷん晴らしにお前を抹殺してやろう｣西大佐は地雷のある場所までハッカーを引きずって行くと、残っている足の下に木を置き、ロープで木を縛った。西大佐はロープを伸ばし安全な場所へ避難すると、ロープを引っ張った。足の下の木が外れ、地雷の上に落ち爆発が起きた。

三人が車を下りるとユーラがミッソーに抱えられ、ぐったりとしていた。「どうしたのユーラちゃん！」ミサが驚いて駆け寄った。「ミサはなんともないのか？」「え？私は平気だけど」「ユーラに与えたサンドイッチに何か入っていたようだ」ミサは前日の昼食を口にした後、軽い眩暈がして畑にしゃがみこんだのを思い出した。「そんな…麻里子さんが？それでユーラちゃんは大丈夫なの？」「うん、どうやら速効性のある毒物ではなさそうだ。身体が小さい分、症状が強く出ちゃったんだろうな」弘人が言った。聖ピアス教団の本部で作業を行なう信者たちは、みな明るく普通の人間と変わらないように見えた。ミサはあらためて教団の恐ろしさを実感し、そして同時に友人の純子が心配になった。
byｼﾞｬﾆｽ

ミッソー中佐がトンネル内の弾薬庫を探しても見つからない理由があった。それは弾薬庫と武器庫は礼拝堂の地下室にあったからだった。信者達がすわる長椅子をどかせると、地下室へ下りる階段がある。そこには自衛隊の装備品のほとんどが揃っていた。89式小銃、64式小銃、62式機関銃、コルト45拳銃、手りゅう弾、防毒マスク、化学防護服、無反動砲、迫撃砲、対人地雷、対戦車地雷、リモコン操縦の小型ヘリコプター、火炎放射器、携帯型ロケット弾、プラスチック爆弾、まるで武器のオンパレードだった。その他に弾丸が何万発もあった。これらは全てトンネル内の武器製造工場で製造された物か、ロシアから購入したものだった。トーマスは信者達が礼拝堂からいなくなると、地下弾薬庫へ下りて行き、射撃訓練に必要な弾倉に弾丸をこめ始めた。

歴史71
ムウ、ナタル、フレイ、転属命令でアークエンジェルから離任。ムウ、離艦の際、とっても寂しそうにする。

ドイツのパンツァーファウストとアメリカのバズーカが代表的な携帯対戦車火器で、射程はいいところ百数十メートル【パンツァーファウストは数十メートル】だったが、視界が狭い戦車にとってはかなり手ごわい兵器であった。特に市街戦では、家屋内から戦車を狙い撃ちすることで威力を発揮した。

百貨店の地下には食料品売り場がある。そこの女性店員達は愛想がいい。私はすらっとした美人の店員と親しくなった。彼女のいる売り場の前で長く立ち話をする毎日が続いた。ある日、二人の仲を嫉妬した売り場主任が言った。「仕事の邪魔になるから、あまり長く話をしないように」

ミサたちの乗ったジープは間もなくミッソーの待つ場所へ到着しようとしていた。「でも、その後も神主様はユーラちゃんと会っていらっしゃったのよね？」ミサが神主をなだめるように声を掛けた。「いや、あれから一度も言葉を交わしたことはないんじゃよ」「え、それじゃよく私とお姉ちゃんのマントがユーラちゃんのだって分かりましたね」「ユーラはよく、ハンネの森神社の近くまでやってきて魔法の練習をしていたんだよ。わしと話をすることはアンナに禁止されていたんじゃろう。目が合うと、拙い魔法で逃げるように消えてしまったが、もしかしたら、裏の墓所で眠る両親が呼び寄せていたのかもしれんのう」やがて森で待つ三人の姿が見えた。
byｼﾞｬﾆｽ

朝霞駐屯地司令の隼大佐は工藤大臣からの電話を取った。｢これはこれは。大臣自らお電話くださるとは一体何事ですか？｣｢入間基地へのPACK3の配備の時は世話になった｣｢お役に立てて光栄です｣数カ月前、沖縄の嘉手納基地へPACK3の配備をしようとした所、沖縄県民の反対にあい、アメリカから運んで来た迎撃ミサイルが立ち往生するという結果になった。そこで工藤大臣は入間基地に対しては、万全の対策をとることにした。隼司令のいる朝霞駐屯地から1000人の自衛隊員を出動させ警備にあたった。その結果、何の問題もなく配備することが出来たのである。｢隼大佐、ミッソー中佐が聖ピアス教団に潜入していることは知ってるな｣｢はい。防衛省テロ特命課のエース隊員ですね｣｢潜入して一日経過したが、今だ何の連絡もないのだ｣