工藤防衛大臣と防衛研究所所長ダンディ中佐が大臣室で話していた。「どうやらうまく行ったようだな」工藤大臣は満足そうに笑みをもらすと、ダンディ中佐に言った。「大臣、簡単なことですよ。北朝鮮の口座のあるマカオの銀行のオンライン・システムに侵入して、名義をオフショアの島の銀行に口座を持つ投資家に書き換えるのはいとも簡単でした。マカオの銀行も名義人の特定に困るはずです。これで今まで通り、当分は北朝鮮の口座は凍結されたままになるでしょう」「防衛研究所で行っているサイバーテロに対する研究が役に立ったな」「ええ。大臣の思惑通り、6か国協議も中断されるでしょう」「そうだな。北朝鮮は凍結されている資金を全て返金しないと、核施設の稼動停止はしないと言ってるからな」

ハジマリの終わり後日譚へ続く

ハンネの森神社の裏手に微かなエンジン音が聞こえた。神主と純子が外へ出てみると、南大尉と麻里子が車から出てきた。神主はジープの中の子供たちを見ると青ざめた顔で南大尉に尋ねた。「この子たちは、まさか…」どうやら身動きひとつしない子供たちを死んでいると思ったようだった。「心配ない…と思うわ。何か睡眠薬みたいなものを飲まされたというか、飲んだというか。とにかくみんなぐっすり眠ってるのよ」四人は子供たちを神社の中に運び入れた。「まだ教団に残っている子供たちがいるの。さ、麻里子さん、急いで戻りましょう」南大尉と麻里子がジープに乗り込もうとすると、純子が二人を呼び止めた。「待って！私も連れて行ってちょうだい！」
byｼﾞｬﾆｽ

京子は再びセイジの鉄ヘルメットをどづいた。「さっさと白状するんだよ」「わ、わかったよ。わかったから叩かないでくれ。頭がガンガンする。ケンジはこの近くにいるよ」セイジがそう言った時、ペイント弾が飛んで来て、セイジの鉄ヘルメットを赤く濡らした。京子達は一斉に地面に伏せた。工藤防衛大臣は北朝鮮と韓国を強引に統一させ、統一韓半島を日本に委任統治させるという、アメリカ大統領の言葉を信じて疑わなかった。日本が韓半島と台湾を統治することにより、新日本帝国を作るという工藤防衛大臣の計画と完全に合致していたからだった。ゆくゆくは中国も占領支配するつもりだった。

純子は神主の言葉を神妙な面持ちで聞いていた。そして暫らく無言のままうつむいていたが、不意に顔を上げ神主を見つめて言った。「神主さま、あなたの仰る通りです。私、すっかり目が覚めました」純子の瞳から怪しげな曇りは消えていた。「そうか、もう大丈夫じゃな」神主は純子の手を縛っていたロープを解いた。「神主さま、私はなんとかして隆志さんを助けたいんです。私たちは聖ピアス教団で知り合ったけど、きっとこの出会いは運命だと思うんです。催眠が解けさえすれば彼もきっと解ってくれるはず…。そして隆志さんを救い出せるのは私しかいないわ！」
byｼﾞｬﾆｽ

京子達三人は、セイジを首の下まで穴に埋めると言った。「セイジ、さっさと吐くんだよ。東軍のケンジはどこに隠れているんだ？大人しく言うことを聞かないと痛い目を見ることになるよ」「仲間を裏切ることなんか出来ない」「そうかい。いつまでそうやって強情をはっていられるのかな？みんなセイジを埋めちまいな」京子達はセイジの頭から土をかけ始めた。「うわあ！やめろ！やめてくれ！」セイジは泣き声を上げた。「男のくせにギャアギャア騒ぐんじゃないよ」京子はセイジのヘルメットをどづいた。工藤防衛大臣は一人大臣室にいた。日本と北朝鮮の作業部会で、日本側は強硬な態度に終始していた。それが結果的に日本に有利に働いていた。

ハンネの森神社では、神主がミサたちを待ちわびていた。まもなく戦闘が繰り広げられようとは思えない程に辺りは静まり返っていた。ユーラの話によれば、いずれこの森もトーマスたちに焼き切られてしまうはずだ。さすがの神主も落ち着かず、何度も外の様子を伺っていた。「お願い、お水を下さい」純子が神主に声をかけた。神主は後ろ手に縛られたままの純子に水を飲ませてやりながら言った。「純子さん、あなたが聖ピアス教団に入信した経緯は知らぬが、事が起こる前に救出されてよかった。テロが起こり被害者が出てからでは、信者たちは皆、人殺しのレッテルを貼られてしまう。そうなれば社会復帰も難しいだろう」
byｼﾞｬﾆｽ

歴史101
ラクス、オーブ残党や連合の和平派などと連絡を取りつつ、戦争の早期終結のため働きかける。ラウ、捕虜のフレイに【戦争を終わらせる鍵】を持たせ、解放。

航空自衛隊の装備とそれらを運用する人材の資質、これらを統合した航空戦力は、世界でも一流の域にある。防空任務に関して言えば、発足当初はアメリカ軍供与のF-86F、少し遅れてF-86Dを要撃戦闘機としてスタート、8年後には当時世界最高性能を誇ったF-104Jを導入し、続いてF-4EJ、F-15Jと、その時々の最強の要撃戦闘機を配備し、防空に備えて来た。

「簡単なことですよ。あなたの息
子さんが私の一人娘を強姦して妊娠させた。それを知った私が、息子さんを生き埋めにした。100万円と引き換えに、息子さんの居場所を教えるというわけです」
「息子が父親だという証拠はあるのか？」
「そんなものはない。娘が言ってるんだ。それで十分だろう」

セイジは突然背中に、三発のペイント弾の衝撃を受けた。「うっ…」セイジは思わずその場所に片膝をついた。セイジが振り向くと、巧妙にカムフラージュされた穴から出て来た京子達三人が、小銃を構えて立っていた。「セイジ、やっぱりあんたは馬鹿だったね。捕虜は即座に射殺して、その場に放置せよという、デビル中佐の教えを忘れたのかい？。大名行列じゃあるまいし、三人でぞろぞろ歩いて行くなんて、あたしには信じられないよ。斥候は一人だから任務が遂行出来るんだ。気の毒だが、この戦闘訓練の勝ちは西軍がもらったよ。それ！やっちまいな」京子の命令が下ると、京子の二人の部下がセイジを穴の中に放り込んだ。それから掘り出された土を穴に埋め戻し始めた。