「ミッソー中佐は朝霞駐屯地において、隊員や派遣労働者の新型インフルエンザ対策を完璧に実行してくれた。そのため隊員の士気が低下することなく、日々の訓練に励むことが出来ている。駐屯地司令として感謝の言葉を述べたいと思う。聖ミザリィ学園に対する医療派遣出動は無事終了したようだな。なにかあればまた言ってくれ。引き続き協力体制は維持しておこう」

ミッソー中佐は朝霞駐屯地に寄って、司令の隼大佐に会うつもりだった。聖ミザリィ学園の新型インフルエンザ対策に協力してもらったお礼を言うつもりだった。だが今はそんな時間はない。一刻も早く防衛省に帰らなければならない。ミッソー中佐は自衛隊無線で隼大佐に連絡を取った。「隼大佐、聖ミザリィ学園の新型インフルエンザ対策は無事終了しました。ご協力を感謝します」ミッソー中佐は礼を述べた。

全長：4.91m
全幅：2.15m
全高：2.24m
重量：2.64t
懸架方式：4輪ダブルウイッシュボーン式
速度：125km/h
エンジン：水冷直列4気筒OHV4バルブ
ディーゼルエンジン（170ps/3000rpm）
乗員：10名
価格：700万円
製作：トヨタ自動車


トヨタ自動車が開発した高機動車は、様々な用途で運用される軍用車両である。
普通科隊員を10名輸送可能で、120mm迫撃砲を牽引することもできる。
イラク等への海外派遣活動にも使用された。

「南大尉から？何だろう？何か緊急事態が起こったのだろうか」「それはわかりませんが、出来るだけ早く帰って欲しいと言っていました」「了解した。朝霞駐屯地には寄らずに防衛省に帰ることにしよう」西島軍曹はミッソー中佐の言葉を聞いて、胸を撫で下ろした。これでミッソー中佐はシスターミザリィに会うこともなく、聖ミザリィ学園を去ることになる。自分が何故ミッソー中佐により体育館に入れられたかは、うやむやになってしまうだろう。

「ミッソー中佐、ひどい目に会いました。体育館へ入ると、生徒会長の真央達に迷彩服と下着を脱がされ、防護マスクで股間をしばかれたんですよ。真央達は自分に恨みを持っていたらしく、リンチされました」「それは良かったな。貴重な経験をしたと言うことだな。またしばかれて見たいだろう？」ミッソー中佐は涼しい顔で言った。「もうこりごりですよ。それから防衛省の南大尉から連絡がありました。早急に防衛省へ帰って欲しいとのことです」

武器学校は、陸上自衛隊の【武器科装備品（各種戦闘車両、戦車、火砲、火器、ミサイル、弾薬など）】の整備および旋盤・鍛造溶接などの専門技術の教育訓練と職種の教育訓練に関する調査研究を行っている。

西島軍曹は走った。学園のフェンス沿いにある小道をタッタッタッと走り続け、ミッソー中佐に追いついた。ミッソー中佐は後方にかすかな気配を感じ、振り向いて89式小銃を構えた。「誰だ！」ミッソー中佐が言った。「ミッソー中佐、撃たないで下さい。西島軍曹であります」「西島軍曹か！全裸の女生徒達に対する免疫は出来たか？」ミッソー中佐は西島軍曹に89式小銃と自衛隊無線機を返しながら聞いた。

西島軍曹は下着と迷彩服を着ると、体育館を出てミッソー中佐を捜しに行った。指揮所へ行って見ると、ロック中佐が全裸の女生徒と熱い抱擁をしていた。「ロック中佐、何をしているんですか？」「ミッソー中佐に頼まれて女生徒のメンタルサポートをしているんだよ」「そうですか。ミッソー中佐はどこですか？」「ミッソー中佐は学園内を巡回警備しているはずだよ」ミッソー中佐に小銃と自衛隊無線機を取り上げられていたため、無線機でミッソー中佐に連絡を取ることが出来なかった。西島軍曹は走り出した。

化学器材は隊員の個人装備の防護被服から、中隊用の線量計まで全部隊に配備されていることから、入校する学生は化学科以外の職種から入校する学生が多いのも特徴である。化学学校の組織は、学校長、副校長以下、企画室、教育部からなり、教育支援にあたる化学教導隊が隷属している。

「西島軍曹、後で学長室に来るようミッソー中佐に伝えて下さい」シスターミザリィは、そう言うと、シスターメアリーと一緒に更衣室への階段を降りて行った。西島軍曹は困ったことになったと思った。ミッソー中佐がシスターミザリィと会えば、ミッソー中佐によって自分が体育館にほうり込まれた理由がバレてしまう。ミッソー中佐をシスターミザリィに会わせるわけには行かなかった。