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  • from: 坪井さん

    2009年07月03日 23時31分15秒

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    吉原細見記

    明治20年代の女工は17時間働き一日10銭で、ここから借金を払う。遊女は夕方6時から翌朝8時までの14時間労働。一晩1円から20銭の揚げ代のうち遊女の取り分は15銭から5銭。ここから300円の身売りの金を返済し、食費などの生活費を出し親元へ仕送りする。いちおう年季は6年である◆夕方6時に格子の中の張見世に出る。お見立てを受けて部屋に入っても、本部屋では眠れない。時間になると「鴇手(やりて)」が知らせに来て、次の客の相手をする。夜が明けるまで走り回り、朝9時に朝食。髪部屋(かんべや)という大部屋のいじめとおしゃべりの中で眠る◆午後3時、風呂に入り、身支度をして張見世に入る。酔っ払いのお見立てもいやだが、最後まで残り、通りすがりの冷やかしから「売れ残り」と嘲笑され、泣きそうな思いで見世の壁によりかかるのはなお辛い。星がさやけく凍てつく夜空、新内流しの悲しい節は遊女の心を突き刺した。だから悲しいくらいに頑張り、体を壊していく◆堕胎には鬼灯(ほうづき)の根が使われた。厠でこっそり産み落とし、病院裏の田んぼに埋めた。土まんじゅうに線香たてて、西にたなびく煙を見送る◆吉原遊女の一割は、性病、肺結核などで入院し、借財を増やし病死していく。遊女の年齢は16から30歳。遊郭に入った少女は、「新造(しんぞ)」が世話を、「鴇手(やりて)」が見張る。客と心中できずとも、数年で投げ込み寺に行く定め。遊郭には客から取り立てをする「付け馬」、逃亡した遊女を追いかける「始末屋」など物騒な連中がいた◆明治35年の角海老楼・娼妓一覧表という写真帳は、写真と名前が張り重ねられたページが何枚もあるという。重ねられた写真の下に貼られている遊女は年季明けや身請けではなく、多くが情死か病死であったろう。

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    坪井

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