その夜、僕はホテルの部屋で一人になると、これからどうしたら良いか、考えあぐねていた。大清帝国が統一されるまでには、あと何年もかかるだろう。僕は一日も早く日本へ帰り、任さんに会いたかった。しかし今の状況では、それは不可能である。今の任務を捨てて、王妃のもとを去るということは考えられない。アメリカ海軍の動きも気になっていた。ミッドウェーと珊瑚海海戦で連勝したが、アメリカ海軍はソロモン諸島へ進出を計画しているという情報が入っていた。中国軍は台湾へ逃亡して、抵抗を続けていた。ソ連は満州の国境線へ大戦車部隊を展開していた。一日も早く南京へ帰ることにしよう。僕はそう決心すると眠りについた。