トーマスとアンナは消灯時刻が過ぎ信者たちがすっかり寝静まると、礼拝堂裏の通路へ向かった。ランプに照らされた二人の影が礼拝堂の壁に映り揺れていた。「トーマス。あれを全部二人で運び出すつもりなの？」「そうだよ、姉さん。なんとか今夜中に済ませないと」「朝までに終わるのかしら…」アンナは眉をしかめた。夜が深まるごとに寒さも一層厳しくなっていった。「ねぇ、プラント長たちに手伝わせたらどうかしら？口止めすればいいわ。それにいざとなったら催眠でなんとかなるでしょ？」「それは無理だよ。あの二人を使うのは余計にだめだ」「どういうことなの？」
byｼﾞｬﾆｽ