裁判長の成行大尉は、その名前の通り、今までの秘密裁判をその場の成行に任せて判決を下していた。成行大尉は明らかに無罪と思われるような裁判にも、有罪の判決を言い渡した。成行大尉にして見れば、そもそも秘密裁判所に出頭した時点で有罪とするに十分だった。無罪の者は秘密裁判所には来ないと信じていたからだった。有罪と決まった被告人は、西大佐のいる硫黄島へ送られ、処分されていた。