お兄ちゃん大佐はすぐに迎えに行くと言ったけど、5時間経ってもまだ来ないわ。こんな平和な処は久しぶりだから、何日救援が遅れてもいいけど。浜辺をゆっくり歩いていると、凄いスレンダーな少女が丘の方から駈けて来たわ。透通る様な真っ白な肌で、とっても脚が長い娘よ。15・6歳ってとこかな。その娘が目の前にすうっと立った時、何だか得も言われぬ懐かしい気持ちになったの。お互いに目を見つめ合うだけで、言葉を交わさなくっても、何だか意思と気持ちがすっかり融合しているみたいなの。この娘は多元宇宙のどこかのメタワールドの裕子なのよ、きっと。このような可能性は極めて低い確率だけどあるってことが論理的には言われているんだけど、実証はされてないんだそうよ。この2人の裕子の出会いは宇宙史上初めてってことなのかな。そして私は自分の生い立ちと今の仕事についていつの間にかもう1人の裕子に話していたわ。もう1人の裕子も自分の歴史を聞かせてくれた。彼女は今15歳で、バレリーナのㇷ゚リマを目指しているんだって。そして最も吃驚したのは、彼女にもお兄ちゃんみたいな人が傍にいてるんだって。もうすぐここに迎えに来るわって言ってたわ。私も、私のお兄ちゃんがやっぱりもうすぐ次元を超えて迎えに来てくれるのよって言ったら、是非会いたいって言ってくれたわ。彼女のお兄ちゃんは有名なピアニストなんだって。羨ましいわ（これ内緒ね）。