救援の宇宙船の船室は広くて綺麗だったわ。ファースト・クラスなのかな。キャビン・アテンダントの人はいないのかな、って言ったら、お兄ちゃん大佐から救助された身で贅沢言うな、って怒られちゃった。そして、裕子と2人っきりなんて、こんな贅沢なことはないんじゃないか、なんて言うのよ。そして、お兄ちゃん大佐はやおら真面目くさった顔になって、「裕子、俺と結婚してくれ。」って言ったの。裕子は思わず「ぷ～」って吹き出しちゃった。そしたらお兄ちゃんは、「・・・・・・・ああやっぱり！」と言って絶句しちゃったわ。お兄ちゃんの真剣な顔を見たの初めてよ。その横顔を見てて、裕子もなんか熱いものが込み上げてきたの。まるで水か空気のように思っていたお兄ちゃんは裕子は10歳で生まれた時からず～と好きだったんだって思えてきたの。そこで、「いいよ！」って言っちゃった。そして、生まれて初めてのキスをしちゃった。２りは大分長いことキスしたままだったので、見上げた状態でやらなければならないお兄ちゃんは首が痛くなっちゃったんじゃないかと心配だったわ。裕子も気を効かせて膝を少し折れば良かったんだけど、夢中だったから忘れちゃった。考えてみると、裕子は子供のころから自由奔放でス飛んでいたけれど、これが出来たのもいつもお兄ちゃんが傍にいて、裕子を見守っていてくれていたからだと思ったわ。裕子はよう反抗したし、お兄ちゃんも裕子のいろんなトコ触ってくれたけど、お兄ちゃんがいるから人生安心してられたのね。2人は木彫りの人形というルーツは一緒で、兄弟の様に育ってきたけど、実際は血縁関係は無いのよ。だから結婚には何の支障も無いの。でも今までが兄妹で今夜から夫婦って、どんな心の入れ替えが必要なんだろうか？お兄ちゃんにそっと聞いてみたら、俺にも分らん！だって。