ニューヨーク(ダウ・ジョーンズ)29日のニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)では、多くの商品市場と株式市場が急落するなか、原油先物価格は2週間ぶり安値で取引を終えた。世界経済の成長ペースが減速するとの懸念が深まり、石油需要の拡大見通しに打撃を与えた。

原油先物8月限の終値は前日比2ドル31セント(2.95％)安の75ドル94セントとなった。電子取引(グローベックス)を含む高値は78ドル32セント、安値は75ドル21セントだった。終値は6月14日以来の安値で、1日の下げ幅としては6月4日ぶりの大きさだった。

原油価格は4-6月期中、すでに9％以上下落している。直近限月の先物相場は年初来で6.8％安となっている。

「投資家が景気回復の持続可能性を評価するなか、原油先物価格は引き続き株式市場とドル相場の動きに追随した。景気低迷が続くようならば、燃料需要の拡大は望めないだろう」とユナイテッド・ICAPのシニア・テクニカルアナリスト、ウォルター・ツィマーマン氏は語った。

世界の経済成長の重要なけん引役を担う中国の成長スピードについて疑問を呈する報道を背景に、経済成長に敏感な商品および株式相場が急落した。

米産業審議会(コンファレンスボード)は29日、世界第2位の石油消費国である中国の景気回復は当初予想されたよりも遅いかもしれないとの見解を発表した。また、計算ミスを理由に、中国4月の景気先行指数を当初発表の前月比1.7％上昇から0.3％の伸びに下方修正した。

中国の景気先行指数の下方修正は、低調な米住宅販売指標や予想を下回る米消費者信頼感指数など、一連の期待外れの経済指標に続くものとなった。

欧州のソブリン債務問題も原油相場にとって重しとなった。欧州中央銀行(ECB)による域内銀行への1年物資金供給が7月1日に期日を迎えることから、ユーロは対ドルで2週間ぶり安値をつけた。

ドル高になると、ドル建ての原油先物はその他の通貨を保有する投資家にとって割高となるため、原油相場に下落圧力がかかる。
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