【ニューヨーク時事】30日のニューヨーク外国為替市場の円相場は、米欧で金融引き締め観測が強まる中、金利差拡大の思惑から売りが優勢となった。午後5時現在は1ドル＝82円83〜93銭と、前日同時刻（82円43〜53銭）比40銭の円安・ドル高。
　前日にダラス連銀のフィッシャー総裁が6月に終了する量的緩和策の延長に反対を表明したほか、この日はカンザスシティー連銀のホーニグ総裁も利上げの必要性を改めて強調。さらに、欧州中央銀行（ECB）のビーニ・スマギ専任理事がECBが段階的な金利引き上げの可能性に言及するなど「出口戦略」の導入についての発言が相次いだ。東日本大震災の復興に向け、日銀が超低金利政策の長期継続を余儀なくされているのとは対照的に、米欧で金融緩和政策の修正観測が強まっている。こうした中、金利差に着目した円売り・ドル買いに加え、米株価の上昇も円を下押しし、中盤まで83円台前半で推移した。
　ただ、終盤は「海外市場を通じてドルを買った短期的な投機筋の利食い売り」（邦銀筋）や米長期金利の低下を受けて、円は82円台に戻した。
　オートマティック・データ・プロセッシング（ADP）が朝方発表した全米雇用報告は前月比20万1000人増とほぼ市場の事前予想通り。雇用統計の発表を週末に控え、反応はまちまちでほとんど響かなかった。
　市場関係者はこの日の推移について「協調介入の効果を尊重するようなセンチメントになっている。米雇用統計の数字が強いとの思惑も手伝った動きになった」（邦銀筋）と述べた。　円は対ユーロで大幅安となり、昨年5月中旬以来約10カ月ぶりの安値を付けた。同時刻現在は1ユーロ＝117円04〜14銭（前日午後5時は116円34〜44銭）、ユーロ・ドル相場は1ユーロ＝1．4123〜4133ドル（同1．4109〜4119ドル）。（了）