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神話読書会〜女神さまがみてる〜

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from: エリスさん

2007年04月08日 14時41分18秒

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異形の証(いぎょう の あかし)・1

いつからか、僕がお母様の子供ではないことは、気づいていた。お母様とは全然似ていないし、どちらかって言うと従兄弟のリーモスやポノスとの方が似ていて――で

 いつからか、僕がお母様の子供ではないことは、気づいていた。
 お母様とは全然似ていないし、どちらかって言うと従兄弟のリーモスやポノスとの方が似ていて――でもその従兄弟は、正確には「従兄弟」ではなくて……。
 だから、叫んでしまった。
 「僕の本当の母親は誰なんですか!」
 お母様が悲しむ顔を見るのは辛いけど……でもどうしようもなかった、あの時。
 僕の成長が十五歳で止まってしまったのも、お母様が道ならぬ恋に奔(はし)った所為だと、だから僕が呪われてしまったのだと、そう思い込んでいた。
 「恥ずかしくないのですか。女同士で愛し合うなど、汚らわしい!」
 本当は汚らわしいなんて思ってない。お母様が本当に愛している人なら、祝福してあげたかったんだ。
 でも、あの頃の僕には、できなかった。
 気づいてしまったから……。
 僕の背中にある翼――それこそが、僕の本当の母親が「あの人」である証であると、分かってしまって。
 素直になれない自分を、僕はどうすることもできず……。
 「教えてください、お母様。どうして僕に、Eris(エリス)叔母様と一字違いのEros(エロース)を与えたのですか!」
 そんな問いに、お母様が答えられるはずがないのは、分かっていたのに……。
 「お母様の血だけを引いていれば、僕が《異形の神》として生まれるはずがないんだ!!」

 言葉ではどんなに反発しても、
 本当は、
 エイレイテュイアお母様も
 エリス叔母様も
 大好きなのに……

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from: エリスさん

2007年04月30日 13時05分00秒

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「異形の証(いぎょう の あかし)・9」
 僕たちが中庭に降り立つと、先ず歩み寄ってきたのはエイレイテュイアお母様だった。
 「ご機嫌よう、エロース、プシューケー。待っていたわよ」
 「ご機嫌よう、お母様」
 元日である昨日も会っているから、もう「明けましておめでとう」ではなかった。
 「それじゃ行きましょうか。プシューケーは私と一緒の馬車に乗る? それとも、さっきみたいにエロースに抱えてもらう?」
 お母様がそう言っていると、向こうからアーテーが割り込んだ。
 「プシューケーはこっちの馬車においでよ! まだ乗れるよ!」
 アーテーのこうゆう性格が嫌いじゃないプシューケーは、にっこりと微笑むと、言った。
 「折角ですので、姉妹の仲間入りをさせていただきますわ、お母様」
 「そうね、そうなさい。エロースは自分で飛んでくるのでしょ?」
 聞くまでもない、という感じでお母様が聞いてくる。――そりゃまあ、最果てまで飛んでいけないことはないけど、できれば疲れるから乗せてもらいたいんだけどなァ……。
 そんなわけで、ヘーラーおばあ様とお母様を乗せた馬車と、レーテー(忘却の女神。エリスの長女)とマケー(戦争の女神。エリスの三女)とヒュスミーネー(戦闘の女神。エリスの四女)とアンドロクタシアー(殺人の女神。エリスの五女)を乗せた馬車、アルゴス(苦痛の女神。エリスの次女)とホルコス(誓言の女神。エリスの六女)とアーテー(破壊の女神。エリスの七女)とプシューケーを乗せた馬車――計三台の馬車が連なって、最果てのガイア様の社殿を目指した。(エリスの男児たちはすでに独立しているので、今回は同行していない)
 僕はプシューケーの乗っている三台目の馬車の横に並んで飛んでいった。
 するとアーテーが、僕のことを羨ましそうに眺めて、こう言った。
 「いいなァ……私も翼が欲しいなァ」
 この子はたまにこんなことを言うんだ。だから僕は言った。
 「君には空を飛ぶ馬がいるだろ?」
 「いるけど、一生いるわけじゃないもの。お母様の馬みたいに、急に姿を消してしまうことだってあるわ」
 確かに。エリス叔母様の愛馬・カリステーは、叔母様が精進潔斎に入ったその日に行方不明になり、そのまま帰ってこなかった。きっと、主人以外の者を背に乗せるのを拒んで、自ら失踪したのだろう。もしかしたら、神馬としては奇跡的な長寿を誇っていたから、誰にも知られずに死を迎えることを望んだのかもしれない。

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