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神話読書会〜女神さまがみてる〜

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  • from: エリスさん

    2012年08月31日 12時21分06秒

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    短編2本アップしました。

     予定していた百合百合な作品が、どうもまとまりそうもなかったので、別のを急きょ書き上げました。

     カリステーをクローズアップするのは、先にも後にもこれだけだと思います。

     今日の作品で、
     「どうして<罪ゆえに天駆け地に帰す>にはカリステーが出てこなかったのか?」
     ということが分かるかと思います。

     と言いますか、<罪ゆえに〜>執筆時には、まだカリステーの設定がなく、その後に執筆する<追憶 すべての始まり>で初めてカリステーが登場するので、<罪ゆえに〜>には出てきてなくて当然なんですけどね。
     それでも、その後シリーズを重ねていくにつれ、カリステーがあの時間軸で出てこないのはおかしい、ということで、
     「どうしてカリステーがいなかったのか」
     という矛盾をどうにかするために作られたのが、今日の作品です。

     こうゆう辻褄合わせって、小説を書く上で、誰でもすることなんですよ。言い訳になりますが(^_^;)

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  • from: エリスさん

    2012年08月31日 12時10分08秒

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    「共にあること・おまけ」
     「カリステー! 遠乗りに行くぞ!」
     と、英雄神エリスが言うと、
     「ハーイ、ただいま!」
     と、部屋の奥から出てきたのは――黒白の縞猫だった。
     「景虎 (^_^;) ……遠乗りなんだから、馬の――カリステーの姿で出てこい」
     「すみません、ついつい」
     と、黒白の縞猫は、漆黒の神馬へと変化(へんげ)した。
     「今日はどこまで行きますか?」
     「暑いからなァ、涼しいところまで頼む」
     「畏まりました、ご主人様!」
     エリスがカリステーに跨ると、身重のお腹を抱えた正妃・エイレイテュイアが出てきて、言った。
     「ついでに、その土地の美味しいものを手に入れてきてね、二人とも」
     「まかせておけ。……キオーネーは何がいい?」
     エリスに呼ばれて、隣室で赤ん坊の産着を縫っていたキオーネーが、大きな声で言った。
     「日本食が食べたいです!」
     「心得た! 行くぞ、カリステー!」
     「はい、ご主人様!」
     エリスとカリステーは、窓から出て、空を飛んで行った。
     二人が行ってしまうと、エイレイテュイアはキオーネーのいる部屋へ入ってきた。
     「キオーネーは、一週間に一回は日本食をリクエストするのね」
     「日本人として暮らしていた期間が長かったので……」
     そう言うキオーネーのお腹も大きかった。
     すると、傍で布を型紙に合わせて断裁していた少年・ディスコルディアが言った。
     「日本食は消化にいい食べ物が多いですから、懐妊中のお二人のお体の為にも、とてもいいと思いますよ」
     「ふう〜ん……ディスコルディアも日本で生活してから、すっかり日本びいきになってしまったわね」
     と、エイレイテュイアは言うと、近くの椅子に腰をおろし、ため息をついた。
     「お疲れですか? エイレイテュイア様」
     と、キオーネーが尋ねると、
     「なにしろ今回は双子を宿してしまったから、前の出産の時より辛くて」
     「何かお飲みになりますか?」
     と、キオーネーが立ちあがろうとするので、ディスコルディアが制した。
     「僕がお持ちしますよ。何がいいですか? エイレイテュイア様」
     「何があるの?」
     「冷たいほうじ茶などご用意してありますが」
     「日本のお茶ね……でも、いただくわ」
     「はい(^o^)」
     ディスコルディアがお茶を取りに行く間、エイレイテュイアはキオーネーの手作業を見ていた。
     「悪いわね、あなたにばかり作らせてしまって」
     「そのような……私は、手芸は好きなものの一つですから、お気になさらず」
     「ありがとう……。それにしても、今回は二人ほぼ同時期に懐妊してしまったから、エリスも禁欲生活を強いられてしまって可哀想よね」
     「確かに(^_^;) 特に昔と違って、両性の体となってしまった今は、持て余してしまうことが多いと、この間もぼやいていらっしゃいました」
     「ああ、あなたにも言ったのね(^_^;) ……これは、暗に“浮気をさせてくれ”って言ってるのかしら………」
     「どうなんでしょう………」
     そこへ、「お待たせしました」と、ディスコルディアが戻ってきた。
     「なんの話ですか?」
     「ん?……あなたに聞かせてもいいものかしら?」
     と、エイレイテュイアが言うと、
     「構わないでしょう」と、キオーネーは言った。「ディスコルディアはまだ人型に変化できなかった頃、エリス様と私との情事をベッドの横でずっと見守っていましたから」
     「いや、見てませんよ(^_^;) 確かに自我はありましたから、聞こえてはいましたけど……って、そうゆう話ですか」
     「そうなの。今回は二人とも懐妊してしまったから、あのエリスが辛抱できるかしらって……」
     「でしたら、カリステーがお相手を務めれば宜しいのでは?」
     と、ディスコルディアが意外なことを言うので、エイレイテュイアもキオーネーも理解するのに数分かかってしまった。
     「僕でさえ――無機質な、ただの剣だった僕でさえ、こうして人型になれているんですよ。だったら、馬の姿と猫の姿を自由自在に使い分け、人の言葉も喋れるようになったカリステーなら、もう人型に変化できると思うのですが」
     確かに、あれだけ神力を高めた神獣なら、人間に変化できるようになっていてもおかしくはない。
     「まさか、いつもカリステーと遠乗りに出掛けるのって……」
     「そんな! 私たちに断りもなく、他の女性を迎えたりなど致しませんよ、エリス様なら!」
     「でも、あなた。日本にいる間、あなたという者がありながらエリスは、他の女とキスしていたのでしょ?(「双面邪裂剣」を参照)」
     「えっと、それは……乃木章一だった私が、枝実子だったエリス様を遠ざけていた間のことで……」
     「その状況と、今と、何が違うって言うの?」
     しばらくの沈黙。
     「ディスコルディア!」と、エイレイテュイアは言った。「今すぐ、二人を追いかけて!」
     「いや、それは……ご主人様が僕を呼び寄せてくれれば、飛んで行けますけど」
     「役立たず!」
     「そんな……ひどい(>_<)」

     そんな邪推など知りもせず――エリスとカリステー、ならぬ片桐枝実子と景虎は、北海道に来ていた。
     「高原を走る風は気持ちいいわねェ〜!」
     「ニャアー!」
     二人は高原で並んでごろ寝をしていた。
     「帰りはカニとウニを買って帰ろうね」
     「……日本のお金、持ってるんですか? ご主人様」
     「私が枝実子として執筆した印税の一部を、隠し財産として誰にも知らせてない銀行口座に入れてあるのよね。ホラ、これがそのクレジットカード」
     「名義が〈如月馨〉になってますよ」
     「片桐枝実子は死んだことになってるもの。口座が凍結されたら困るでしょ? あっ、如月もこのことは知ってるわよ」(枝実子が死ぬ直前に、九条眞紀子のもとを訪ねて、月影を使って如月を甦らせたのだが……それはまた別の話)
     「私にも何か買ってくださいね」
     「うん、だからエイリーとキオーネーには内緒ね(^_-)」
     エリスとカリステーは、これからも主従関係であり、友達だからこそ続いていける仲だった………。
                                おしまい。

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  • from: エリスさん

    2012年08月31日 12時08分37秒

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    共にあること



     不和女神エリスには、子供のころから一緒にいる馬がいた。
     子供のころから――というと語弊があるかもしれない。正確に言うと、一頭の神馬が寿命を終えて死に至っても、数年と経たぬうちに生まれ変わって、またエリスの愛馬として付き従っているのである。
     その馬の名前をカリステーと言った。漆黒の毛色ながら、耳の後ろの一か所だけ、三日月型の白い模様が入るため、月の女神の別称をもらってエリスが名付けたのである。つまり、その三日月型の模様があればこそ、エリスは生まれ変わったカリステーをすぐに見つけることが出来るのである。
     そして――そのカリステーが、今まさに寿命を迎えようとしていた。
     人の寿命で言えば、もう200歳も生きている馬である。神馬の中でも長い生きな方だった。
     それでも、死に別れるとなると寂しいもの……その日、馬小屋にはエリスの子供たちも集まって、カリステーの旅立ちを見守っていた。
     そんなみんなを、申し訳なさそうにカリステーが見つめるので、エリスは背を撫でながら言った。
     「そんな顔をするな、カリステー。みんな、おまえが大好きだからこそ、こうやって集まったのだ。だから、笑っておくれ……大丈夫。おまえの死を迎えるのは、これで五度目。けれど、その度におまえは転生して私のもとに戻って来てくれた。今度もまた、一年も経たぬうちに再会できるであろう。だから、さよならは言わぬ……また会おう、カリステー」
     エリスの言葉を聞くうちに、安らかな表情になっていったカリステーは、そのまま、息を引き取った。
     すぐに会える――と、分かってはいるものの、皆の目には涙が浮かんだ。
     エリスたちは、カリステーの亡骸を丁重に葬り、墓に花を飾った。
     「しばらく寂しくなるね、お母様」
     と、エリスの末っ子で七女のアーテーが言った。「それに、カリステーがいない間、ご不便でしょ? どこへ行くにも」
     「うん……まあ、なんとかなる」
     エリスは、実母の力を受け継いでいれば、自分の力で空を飛ぶこともできるはずなのだが、あえてその力は使わないでいた。だからこそ、どこへ行くにもカリステーで空を駆けていたのだが……。
     「宙を浮くぐらいはできるのだから……これから出掛ける時は、歩いて行くよ」
     「どうしても空を駆けたい時は、私の馬を貸してあげる!」
     「ありがとう、アーテー。だがな、私はカリステー以外の馬には乗りたくないのだ」
     それからエリスは、どこへ行くにも徒歩で出掛けるようになった。
     その後、いろいろなことがあって……エリスは、人間界に降りることになった。
     「カリステーと再会できぬままなのが心残りだが……アーテー、私が戻って来るまで、代わりにカリステーを大事にしてくれるか?」
     「うん、いいよ! 私がカリステーのお友達になってあげる!」
     「頼んだぞ、アーテー」
     こうして、エリスは精進潔斎のために冥界へと旅立った。

     カリステーが転生したのは、この翌月のことだった。
     カリステーの曾孫にあたり、エリスの三女・マケ―の愛馬であるシグマの娘として生まれたカリステーは、生まれてすぐ、何度も辺りを見回した。
     「可哀想に……母君(エリス)を探しているのだわ」
     マケ―がそういうと、アーテーは、
     「大丈夫! 私がお母様の代わりになる!」
     と、両手を挙げた。そして、カリステーの方へ行くと、頭を撫でながら、こう諭した。
     「カリステー、おまえの主人である私たちのお母様は、修行のために人間界に降りることになって、今はそのために身を清めていらっしゃるんだって。だからね、しばらく会えないけど、それまで、私と一緒に待っていよう。大丈夫、きっとすぐ会えるよ! だって、人間の寿命は私たちよりずっと短いんだもの。だから、修行の期間なんてきっと、あっという間よ!」
     子供の理屈ではあったが、アーテーがカリステーのことを思って話してくれていること――なにより、アーテーが初めてあった頃のエリスとそっくりだったことが慰めになって、カリステーはアーテーの頬に自分の頬を擦り付けることで、自分の意志を伝えた。

     カリステーがアーテーの馬になってから、また様々な出来事が起こった。
     アーテーの世話役になった少女が切っ掛けで、それまで子供じみていたアーテーが成長し、恋をするようになったり。その恋人が死んで、悲しみの淵に沈んでまた子供の姿に戻ってしまったり。
     そんな苦楽の最中でも、アーテーはカリステーの世話だけは忘れなかった。
     そうして、カリステーはまた寿命を迎えた。
     「ごめんね……すぐにお母様に会えるよ、なんて嘘ついてしまって……ううん、嘘じゃないの。私の認識が甘すぎたのよ。お母様の精進潔斎がそんなに長くかかるなんて思いもしなくて……私も、お母様に早く会いたかったから、そう思い込んでいたの。ごめんね、カリステー」
     アーテーが泣きながら謝るので、カリステーは彼女の目元に自身の鼻先を当てて、慰めた。
     「またすぐに会えますよ」
     そう言いたかったのだが、馬の言葉は伝わらない。
     それでも、気持ちだけは伝わってきて、アーテーは答えた。
     「そうだね。またすぐ会えるね」
     こうして、カリステーは六度目の生涯を生き抜いた。

     次に生まれ変わったのは、それから一年後だった。
     目の前に、アーテーが座っていた。
     「待ってたよ、カリステー! 間に合ってよかった!」
     カリステーは今度はエリスの四女のヒュスミーネーの愛馬の娘として生まれてきたのだが――そんなことはどうでもいいらしく、カリステーが生まれてすぐ立ち上がろうとしている間、アーテーは話し続けた。
     「お母様ね、今、人間として日本って国にいるんだけど、今度、守護霊が霊力の高い人と交代になることになったのね。それで、その守護霊に私が志願しようと思ってるんだけど……」
     「え!?」と、びっくりして、その拍子にカリステーはしっかりと立ち上がった。
     「ワァ! もう立ち上がれたんだ。今回は早かったねェ〜、カリステー」
     そんなことはどうだっていいんです! と言わんばかりに、カリステーはアーテーに詰め寄った。
     「分かってるわよ。せっかくおまえが帰って来たのに、私までいなくなるって、どうゆうことなんだ!って言いたいんでしょ。大丈夫、ちゃんと続きがあるの。それでね、お母様、その転機を迎える時にペットを飼うことになっているんですって。相棒のように寄り添う、忠実なペットを……それに、おまえ、志願してみない?」
     「え!?」と、びっくりした顔をカリステーがすると、
     「まあ、日本の一般家庭で生活しているそうだから、ペットとなると、馬の姿ではいられないと思うけど。それでも良ければ……おまえも、お母様に会いに行こうよ、カリステー」
     「行く!」と、カリステーは言った。「私も行く! 連れてって、アーテー様!」
     カリステーが人の言葉を喋ったので、アーテーはもちろん、本人も驚いた。
     「へェ! 今度は言葉が喋れるんだ。凄いねェ〜!……でも、日本でペットをやるとなると、またその能力は失われてしまうと思うけど、いい?」
     「いいに決まってるじゃないですか!」とカリステーは言った。「だって、ご主人様に会えるんですよ!」
     「うん」と、アーテーは満面の笑みを浮かべた。「じゃあ、一緒に日本へ行こう! さっそく、陛下の所へ話に行こう」
     「はい……えっと、いい?」
     と、カリステーは自分を生んでくれた馬――前世の自分の娘に対して言うと、800歳を過ぎた神馬ファティマは言った。
     「行っておいで。あなたは私の娘であって、それだけではない存在だから。どこへ行っても、私たちの縁はつながっているわ」
     カリステーが今世で喋れるのは、このファティマの能力を受け継いだおかげらしい。父親がカリステーよりも数倍も神力の強い馬だったので、ファティマは母親よりも長生きで、神力も強かった。
     「ありがとう、お母さん。それじゃ、行ってきます」
     カリステーはアーテーと一緒に外の世界へと飛び出した。
     一緒に走りながら、カリステーはアーテーに聞いた。
     「それにしても、どうして私がファティマの娘として生まれるって分かったんです? アーテー様、私が生まれてくる間もずっと待っていたでしょ?」
     「分かってたわけじゃないの、当たりをつけてたの。カリステーはいつも、自分の子孫の誰かの子供として、一年以内に転生するから、3カ月くらい前から、カリステーの子孫が産気づいたら必ず立ち会うようにしてたんだ。だってね、陛下(ゼウス)から守護霊とペットのお話を伺ってから、冬が来る前に決めるように言われて、それまでにカリステーを見つけなきゃって思ってたから。ぎりぎり間に合って良かったよ。明日がその立冬の日だったんだもん」
     「それじゃ、私が明日までに生まれてなかったら、ペットの話は他の誰かに行ってたんですね。だからアーテー様は“間に合って良かった”って」
     「そうゆう事……ホラ、急ごう!」
     アーテーは術を使って、背中に翼を生やすと、カリステーを後ろから抱えて、一緒に空を飛んだ。
     オリュンポス社殿は、遥か上空の雲の上にあった……。

     そして、翌年――。
     「景虎ァ! どこォ?」
     片桐枝実子は、家の中を歩き回りながら愛猫のことを探していた。
     景虎と呼ばれたその子猫は、台所で枝実子の母親に離乳食をもらっていた。そこを枝実子が通りかかったので、景虎は振り向いて、
     「ミー!」
     と、鳴いてみせた。
     「あっ、景虎いた……なんだ、もうご飯もらってたの?」
     「馬鹿だね、おまえも」と、母親は味噌汁を作りながら言った。「わざわざ探し出さなくても、ご飯を作って出しといてあげれば、猫は自分から出て来るんだよ」
     「へぇ、そうなんだ……」
     「そんなことより、お兄ちゃんを起こしといで。そろそろ人間様のご飯もできるよ」
     「ハーイ……」
     と、枝実子が行きかけると、ちょこちょこっと景虎が駆け寄ってきた。
     「ミー!」
     「ん? おまえもお兄ちゃんを起こしに行くの?……うん、ご飯は食べ終わってるみたいね。それじゃ……」
     枝実子は景虎を抱き上げた。抱き上げると言っても、まだ枝実子の両手にすっぽりと収まってしまう小ささである。
     そんな景虎が、枝実子の方をじっと見上げて、「みにゃっ」と嬉しそうな声をあげた。
     「ふふ、可愛い……おまえ拾って良かった」
     「ミー」
     「うん、おまえも嬉しい?」
     「ミー」
     「そうかそうか」
     枝実子が景虎とそんな会話をしながら歩いて行くと、枝実子の母親はため息をついた。
     「まったく、猫と喋ったりして、馬鹿丸出しな子だよ」
     すると、突然手に持っていたおたまが、柄からポッキリと折れた。
     「あっ? あれ??」
     母親は気付かなかったが、おたまを折ったのは、枝実子の背後にいる守護霊アーテーの仕業だった。アーテーは枝実子の肩に座りながら、枝実子の母親に“あっかんべー”をした。そんなアーテーに、景虎が「ミー!」と声を掛ける。
     「ん? なァに?」
     自分に話しかけてきたのだろうと思い、枝実子が返事をする。
     「ミー!」
     「ん?……何か見えてるの?」
     枝実子は見回してみたが、特に変わったことは見えない。そんな枝実子の様子に、アーテーと景虎――カリステーは笑い合うのだった。

                      FINE

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  • from: エリスさん

    2012年08月17日 13時16分27秒

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    というわけで、最終回

     「罪ゆえに天駆け地に帰す」の続編として執筆してきたこの作品ですが、とにかく長くて(^_^;) 読者の皆さんの中には、途中で飽きてしまった方もいるでしょう。現に、「双面〜」執筆前にこのサークルに入ってて、途中で退会されたメンバーさんもいましたから。

     神話のカテゴリーの中で書いているはずなのに、全然神様が出てこなかったのが、飽きられた原因でしょう。でも、忘れないでください。片桐枝実子は人間として転生していますが、本来は女神エリスです。この話、初めから最後まで、ちゃんと神様が出てきていたんですよ。
     まあ、後半からオリュンポスの神々もちらほらと出てくるようになったので、そこら辺からアクセス数も上がってきたので、読者が戻りつつあるのを感じることができたのですが.......この調子で元の読者をすべて取り戻したいなと思っています。


     さて、次回からの連載ですが.....正直、まだ未定です。私自身の通院と、父の心臓の手術が控えているので、休日が休日でなくなることが多くなりますから、当然、執筆も進みませんし。
     それでも、なんとか頑張って行こうと思いますので、皆様、見捨てないで待っていてください。

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  • from: エリスさん

    2012年08月17日 13時00分47秒

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    「双面邪裂剣(ふたおもて やみを さく つき)・最終回」
     枝実子の家のすぐ傍にある土手まで、枝実子は送ってもらった――もう朝の五時ぐらいになっていた。
     「頼まれた通り、荷物はあなたの部屋に転送しておいたけど……大丈夫なの? こんな時間に帰って」
     佳奈子の問いに、枝実子は、
     「大丈夫です。如月が、こうなることを予想していたらしくて、私が朝早く散歩に出るって暗示を掛けてから出掛けたんです。つまり、私は朝帰りをしたんじゃなくて、散歩から戻ったことになるんです」
     「如月は……」と、章一は言った。「予感してたんだな。自分が敗れることを」
     「ええ……ショウ?」
     「ん?」
     「今まで、ありがとう」
     すると、章一はにっこりと微笑み返した。
     「これからは、ちょくちょく会おうよ。如月の忠告通りにさ。……もうお互い、自分を抑えることは覚えたし」
     「うん……結局、私が他の人を無理矢理好きになろうとしたから、こんなことになったんですものね」
     「エミリー……」
     章一は、枝実子のことを抱きしめた。
     「誰のモノにもなるなよ」
     「……あなたこそ」
     枝実子は章一から離れると、足もとにいた景虎を抱き上げて、手を振ってから土手を降りて行った。
     土手からは、枝実子の家が良く見える。
     章一と佳奈子は、しばらく聴力を集中して、愛美子の無事を確認することにした。
     枝実子は、元気よく玄関の戸を引いた。
     「ただいま、お母さん」
     母親は、台所にいた。
     「……お帰り。なんだい、景虎も連れて行ったのかい?」
     「うん、付いていくって鳴いたから……あれ?」
     枝実子は食卓に並んでいるものを見て、驚いた。滅多に作ってくれない自分の好物がいっぱい並んでいたからだ。
     きっと、無意識にも分かっていたのだ。今まで家にいた枝実子は別人で、今日帰ってくる娘こそが本当の枝実子だと。
     章一の言っていた通り、多分、母親は枝実子を思ってくれているのかもしれない。
     「ありがとう、お母さん。……大好きよ」
     「……気色悪いことを言うんじゃないわよ。お母さんはおまえみたいな醜い子は大嫌いだよ」
     「うん……いいの、私が勝手に好きなだけだから」
     会話だけ聞き取っていた二人には分からなかったが、枝実子が部屋に戻った後、母親はじっと台所に立ち尽くしていた。包丁の上に、ポタポタと涙を落としながら。
     ―――カナーニスから、それらのことを聞いた一同は、しばらく沈黙していたが、やがてヘーラーが口を開いた。
     「むごい試練だこと。想い合っても実らすことができず、親子の情愛も断ち切らねばならぬとは」
     「そうだな」と、ゼウスも言った。「が、エリスならば、やり遂げてくれるだろう。やり遂げなければ娘(エイレイテュイア)もやらんし、第一この先のプランが狂うじゃないか」
     「おじい様ったら……」
     カナーニスはクスクスッと笑って、両手を胸の前で広げて水晶球を呼び寄せた。
     「ご覧になられますでしょ? 今日の彼女です」
     水晶球に映像が映る。
     枝実子は学校の一階のロビーで瑞樹と会っていた。
     「ホラ、衣装!」
     枝実子がそう言って紫のキトンを広げると、瑞樹が拍手をしながら喜んだ。
     「ジュノーの衣装! 流石はエミリーだねェ」
     結局、枝実子が着ていた衣装はボロボロになってしまったので、枝実子が自費で作り直したのである。
     「校庭、突っ切って行く? 講堂まで」
     「そうだね、最短距離だし」
     もうすぐ夏休みということもあって、授業の殆どは休講になっていた。そのせいか、校庭の隅には生徒が何人も寛いでいた。
     「だけど、佳奈子先生の授業まで休講になってたのは意外だったな。あの先生、真面目だから夏休みまでびっしり授業してくれるものと思ってたけど……もしかして、霊媒師(と、瑞樹には説明してある)のお仕事が入ったのかな」
     瑞樹が言うと、枝実子は、
     「そうじゃないのよ。これからしばらく本業(小説家)の方が忙しくなるから、今のうちに実家に帰っておきたいんですって。昨日、そう言ってたわ」
     「ああ、実家か。そうなると、今頃先生お見合いしてたりしてね。そろそろいい歳だから、親御さん心配するもんねェ」
     「み、瑞樹……それはちょっと……」
     カナーニスは水晶球を両手で掴んだまま、それを睨みつけた。
     「ちょっとォ!! 私、そっちでは二十八ってことになってるのよ、二十八!」
     「うわァ、歳サバ読みすぎ……」
     「アレース伯父様は黙ってて!」
     「ハイハイ……でも、千歳は過ぎて……」
     “ゴンッ”(アレースがカナーニスの空拳で頬を殴られた音)
     神族は老化しないものだが……フォローにならない。
     二人は校庭を歩いて行くうちに、ある人物を見つけた。
     「ちょっと待ってて」
     枝実子は瑞樹にそう言ってから、その人物のところへ行った。
     その人物の傍には、女生徒も座っていたが、彼女は枝実子に気付くと、
    「私、ちょっと用事思い出した」
     と、立ち上がった――その女生徒は織田だった。
     そしてその人物とは、当然、真田光司のことである。
     真田は煙草をふかしながら、壁に寄り掛かって座っていた。
     枝実子はバッグから白い小さな包みを出して、真田に差し出した。
     真田は黙って見上げたまま、それ以上動かなかったが、
     「受け取って」
     と言われて、やっと手を出した。
     「開けてみて」
     また言われた通りにすると、中にはロケットが入っていた。中にちゃんと写真も入っている。
     「……これ!?」
     「ごめんなさいね」と、枝実子は言った。「私が持っている写真には、お母さんが笑顔で写ってるものってなかなか無いのよ。それでも、一番いい顔だったのよ」
     「これが……今の、母さんか……」
     「うん」
     真田はしばらくその写真を見入ってから、囁くような声で言った。「ありがとう」
     枝実子は首を左右に振った。
     「私こそ……ごめんなさい……お兄さん」
     「……」
     「それじゃ、また」
     枝実子は瑞樹の方へ戻って行った。
     真田はロケットを握り締めた。
     どうして、こんな結末を迎えなくてはならなかったのか――と、真田は考える。
     あの日、父・誠司(せいじ)に枝実子の存在を知らせたことは間違いだったのだろうか。
     久しぶりに実家へ帰って、父に学園祭があることを告げると、父はあまり関心がないように言った。
     「そんなことより、おまえ、アルバムから写真一枚持って行っただろう?」
     「持って行ったよ。唯一、俺と母さんが一緒に写ってるやつ」
     「返せ。あれは父さんも気に入ってるんだ」
     「やだね。それより、絶対見に来いよ、父さん。会わせたい子がいるんだ。父さん、驚くからな」
     確かに父は驚いた――まったく違う意味で。
     そして、父は枝実子と絶交するように真田に言ったのである。
     「どうして!! なんで彼女と付き合っちゃいけないのさ!!」
     父は大きな茶封筒から、一枚の写真を抜き出して、息子に見せた。
     「興信所に調べさせてたんだ。おまえの母親・光子がその後どうなったのか……おばあちゃんが死んで、父さんはすぐに母さんを迎えに行ったんだ。それなのに、彼女は再婚していた。なんでも、相手の男に暴行されて、仕方なく籍を入れたとか……そして、生まれたのがこの娘だそうだ。――光子を傷物にして……その結果生まれたのが、この穢れた娘なんだ!!」
     父が見せた写真には、二人の人物が写っていた。場所はどこかの家の玄関先だろう。母親――光子は、箒で掃除をしている最中だった。そして、もう一人の人物は、三つ編みの髪形で、ブレザーの学生服を着ていて、中学生ぐらいだが、顔には面影があった。それは、間違いなく枝実子だったのである。
     物心ついた頃からだろうか、母親が欲しいとずっと思っていた。
     母親の温もりがどんなものか知りたくて、何人もの女性と付き合ってきた。そして、やっと傍で微笑んでくれるだけで母親を感じることができる女と巡り会えたと思ったら、それが、妹――。
     『父さんは、枝実子を穢れた娘だと言った……母さんを暴力で手に入れ、その結果生まれた、卑劣な男の血を引いた枝実子を。俺もそう思おうとした。でも……出来なかった。枝実子は……魂が美しすぎて……』
     真田は涙が出そうになるのを、必死にこらえた。
     「枝実子……どうして、俺たち、兄妹として生まれてしまったんだろうな……」
     いっそ、何も知らないままでいられたら良かった……。
     ―――瑞樹の所へ戻ると、瑞樹は険しい表情をしていた。
     「あんたに、伝えておかなきゃいけないことがあったの、思い出した」
     「なに?」
     枝実子は一瞬、聞くのが怖い、と思った。
     だが、瑞樹は容赦なく言った。
     「眞紀子さん、妊娠してる」
     「……如月の?」
     「あんたの子でもあるね」
     「……そう……」
     この頃、姿を見ないのは、そういうことだったのか――と、枝実子は思った。
     「たぶん彼女、産む気だろうね」
     瑞樹が言うと、うん、とだけ枝実子は答えた。
     「だからと言って、あんたに責任は取れないよね」
     「取れるわ」と、枝実子は言った。「私、絶対に文学者になってみせる。眞紀子さんの犠牲を絶対に無駄にしない為にも、必ず文学者として成功してみせる。そして、世間の人々に訴えるの。自分の心に闇を持ったら、将来、世界がどうなってしまうか。いつか訪れる破滅の日を乗り越えるには、清く正しい、そして強い心が必要なんだって……如月が教えてくれたのよ」
     「そう」と、瑞樹は言った。「健闘を祈ってるよ、エミリー」
     「うん、まかせて」
     二人は再び歩き出した。
     アーチの下に人だかりが見える。
     「何? あれ」
     と、枝実子が言うと、
     「あんた知らなかったの? 今日ね、美術科の有志がアトリエで個展を開いてるのよ。一般の人も見に来るんだって。そのついでに学校見学していこうって学生さんもいるだろうね」
     「ああ……」
     道理で、学生服姿が目立つわけだ。
     そんな時だった。
     「エミリー! 瑞樹ィ!」
     講堂の窓から、柯娜(かな)と麗子(かずこ)が顔を出して、手を振っていた。
     「エミリーさん、衣装出来ましたァ?」
     と、麗子が聞くので、
     「もうばっちりよ!」
     と、枝実子は答えた。
     ちょうどその時、アーチの下から女子中学生の団体が校庭の中へと駆けて来た。
     「新條ちゃん! !こっちだよ! 早く!」
     「待ってェ!」
     新條と呼ばれたその中学生は、走っていた足がもつれて、枝実子にぶつかりそうになった。
     「危ない!」
     咄嗟に枝実子は彼女を抱き留めた。
     「危ないわよ、こんなところで走ったら」
     「すみません……助けてくれて、ありがとうございます」
     水晶球を見ていたオリュンポスの神々は、ほぼ同時に驚いた。
     「この少女は!?」
     ヘーラーの言葉に、ゼウスも頷いた。
     「間違いない……」
     その子の名札には、2年F組 新條レイと書いてあった。その子は丁寧にお辞儀をすると、友人たちの方に歩いて行った。
     「宿命の二人が、出会った……」
     カナーニスは、それ以上言葉が出なかった。
     これからも、枝実子を中心に運命の輪は廻り続けるのだろう。
     枝実子は宿命の女人を育て、宿命の女人は守護者たちと共に世界を導いて行くだろう。
     破滅から復活へと登り詰める、茨の道を目指して。
     そしてその時、枝実子は――。
     一九八四年――今はまだ、平和な時……。
                               第2部 終了



              終   焉



     一気に書き上げると、私は深いため息をついた。
     『ちょっと耽美のしすぎかなァ』
     とは思ったけど……まあ、ライトノベルだから、これでいいかな、と開き直っておこう。
     私――片桐枝実子は、体を思いっきり伸ばしてから、椅子から立ちあがった。
     さて、私と新條レイのために食事を作ってくれている佳奈子女史はどうなっただろう? この焦げ臭い匂いから察するに……また失敗したのかしら? 先生はあまり料理は得意じゃないから、普段は家政婦さんにご飯を作ってもらっていると聞いている。
     私は窓を開けて空気を入れ替えることにした。
     鍵を外し、窓を開けた途端――私の体に、何かが憑(つ)いた。
     『あ、また……』
     霊よせの鈴を融合させてからと言うもの、ときどき霊が私に降りることがある。そういう時は、必ず……。
     「レイ……レイちゃん! レイちゃん!」
     呼んでも聞こえないかもしれない。それでも、必死に呼んで……諦めて、テープレコーダーへと手を伸ばす。
     だが、レイは来てくれた。
     「先生、大丈夫ですかッ」
     レイは私の体を支えて、ちゃんと立たせてくれた。
     「心を落ち着かせて……ちゃんと聞き取りますから」
     私は呼吸を整えてから、この霊が訴えたいことを口にした。
     「眺め見れば 清き露置く紫陽花の こいふる人を想い忍びん」
     言い終わると、霊は抜けていってくれる。
     霊の気持ちを詩歌として表現する、というのが私の霊媒の特徴だった。どうやら片桐家の斎姫はみんなそうだったたらしい。
     レイが聞き取ってくれたものを実際に紙に書いてみてから、添削してみる。
     「今回は短歌できましたね。大概は長い詩歌なのに」
     と、レイが言うので、
     「人それぞれなのよ。……ねえ、この〈こい〉はもしかしたら、孤独が悲しいって書く方の〈孤悲〉かもしれないよ。なんか、そんな感じしたもの」
     と、私は言った。
     「じゃあ、〈ふる〉は実際は〈うる〉って発音すべき音なのかしら。〈恋(こ)うる〉っていいますものね……あ、でもそれじゃ〈い〉が余計ですね」
     「手を振るって言う〈振る〉かもしれないよ。恋を振る人――つまり、失恋の相手ね。……もしかして、今の人は失恋の痛手から自殺したんじゃないでしょうね……?」
     「え!? そんな可哀想……」
     「だって、そんな感じしない? 〈眺め見れば〉なんて、普通なら〈眺むれば〉なのに、わざわざ字余りで、眺めていた――つまり、遠くで見ていましたってことを強調しているところを見ると……紫陽花に露が置いてある、って言うのも、なんか引っ掛かるわ」
     「露イコール涙……でしょうか。〈清き〉ってことは、純潔だったんですね。ますます可哀想ですわ、先生」
     「うん……ご冥福を祈りましょう、レイちゃん」
     私たちは一緒に手を合わせるのだった……。
     彼女がこのアトリエに来てから、本当に私の生活は華やいだものになった――まさに、運命の出会いだったのである。初め、佳奈子女史が彼女をこのアトリエに連れてきてくれた時は気付かなかったのだが、後でよくよく話をしてみると、なんとあの時アーチの傍でぶつかった中学生だったのだ。小説の中では私が受け止めたと書いたが、実はお互いに地面に尻餅をついてしまったのである。
     あの一件で、様々な人の人生が変わってしまった。
     先ず、真田さんは未だに独身貴族を気取っている。女性の数は……もう本人も覚えていられないとか。ほどほどにしないと体を壊してよ、お兄さん――いずれ、お母さんと引き合わせてあげないと。
     瑞樹は今では劇団の団長を務めながら、母校の演劇専攻科で講師もしている。これからも活躍することだろう。
     麗子さんは羽柴氏と結婚して、ときどき私のアトリエに顔を出してね資料整理を手伝ってくれている。実に心強い助手の一人だが……実は、彼女とも前世に関わりがあったようなのだが、詳しくは覚えていない。そのことは他の物語で語ることにしよう。
     眞紀子さんは……結局、如月の子供は死産だった。無理もない、本来ならば存在しない人間の子供なのだ。人間の形を成しただけでも不思議なのである。こんな言い方をすると実に冷たい人間のように聞こえるだろうが、私自身がそう思わない辛いのだ。――今は、私とは違うジャンルで作家をしている。
     そうそう、新潟で出会った北上郁子さんだが、彼女はなんと小説家になった。我が母校・御茶の水芸術専門学校とは道を隔てた向こう側にある、芸術学院に入学し、在学中にデビュー、期待の新人として注目されている。御住職から聞いた話だと、大梵天道場では武道も日舞も驚異的な成長を遂げ、とうとう阿修羅王の称号を頂くほどにまでなってしまったとか。ただ、そのおかげで、いじめは克服できたものの、武道家による果し合いや闇討ちに襲われ、気の抜けない毎日を送っているとか……いつかまた、彼女に会いたい。彼女こそ、間違いなく白陽の継承者だ。
     さて、きっと読者の皆さんが一番知りたがっているであろう、乃木章一のことだが……。
     彼は、あの後2週間くらいして、学校に訪ねてきた。小箱に入った指輪とともに。
     「アンティークショップで見つけたんだけど、なんかエミリーを思い出して買っちゃったよ」
     それを見たとき、私は不覚にも泣いてしまった。
     ようやく会えた――ヘーラー様から賜った、紫水晶の指輪。
     「赤ん坊の時から持っているのはおかしいから、成人した時にそなたの手に渡るように、謀っておいてやろう」
     と、ヘーラー様が仰せられていたのに、前世の記憶が戻ってからというもの、何故もう二十歳になったのに手元にないのだろう、と思っていたのだが、こうして私の手元に来る運命になっていたとは。
     章一の手から私の指にはめてもらった時の、幸福感。この時ほど、報われた、と思ったことはなかった。
     今では、この指輪が私の霊力をセーブする助けをしてくれている。
     そうして、今も……。
     “ピーンポーン”
     「あ、誰か来ましたね」
     レイは、合わせていた手を離して、階下へ降りて行った。
     私も足早に付いていく。
     「どうしたんですか!? この匂い」
     階下から聞こえてくる声……間違いない、この声は。
     「ちょっと焦げただけよ! 味はおいしいはずなのッ」
     と、佳奈子女史が言っている。
     「ニャー!」
     すっかりおばあちゃん猫になった景虎が、嬉しそうな声をあげていた。
     「あ、やっぱり」
     レイがそう言いながら、玄関にスリッパを並べる。
     そして、私も出迎えた。
     「いらっしゃい、ショウ」
     「お邪魔するよ、エミリー。これ、母さんから差し入れだって」
     「わっ。おば様に感謝(*^。^*)」
     私たちは、今もなお、親友として続いている――。

                                完

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  • from: エリスさん

    2012年08月10日 13時25分20秒

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    「双面邪裂剣(ふたおもて やみを さく つき)・64」
         エピローグ


     オリュンポス社殿。
     カナーニスは元気に叫んだ。
     「ただいまァ!」
     「おお、我が孫よ!」
     ゼウスがそう言って抱きしめようとすると、横合いからアポローンとラリウスが来て、カナーニスを奪い取ってしまった。
     「娘よォ! 良く帰ってきたァ!」
     「さあ、妻よ! いざ我が家へ!」
     「だァめ。用事が済んだらすぐ日本に戻るんだから」
     「んな殺生な!」
     カナーニスは祖父の方へ来て、手に持っていた剣を見せた。
     「あんまり忙しかったものだから、返しに来るのに二カ月以上も掛かっちゃった。王后陛下は?」
     「じきに来よう……ヘーラーに返すのか?」
     「あら、だって。エリスは王后陛下から頂いたって……」
     そこへ、息子のアレースと共に、王后ヘーラーが現れた。
     ヘーラーは、カナーニスが持っている剣を見て、サッと顔が青くなって後ろを向いてしまった。
     「やあ、カナーニス、お帰り。いいねえ、人間の姿も可愛いよ……あれ?」
     アレースは言って、カナーニスの持っているものに気付いた。
     「それ、ディスコルディアだよな?」
     「ええ、伯父様。王后陛下にお返しに上がったのよ」
     「ほほう……二カ月ぐらい前に、母上がわたしのところで預かっていたこれを、ちょっと試してみたいことがあるから、と借りて行ったのは、カナーニスに貸すためだったのですか」
     「ホホホホホホホホ、そ、そうなのよ、アレース」
     いつになくヘーラーが慌てている。
     「それで? カナーニス。このディスコルディアは何に使ったのかな?」
     「それはね、伯父様」
     「あ、あ、アレース、よ、よ、余計なことは、き、ききき、聞かずとも……」
     「流石は元・姉君ですね」と、アポローンが言った。「慌てる様が父上そっくりだ」
     それを聞いて、ゼウスは高笑いをした。
     「良い、ヘーラー。この度のことは不問に伏す、と宇宙の意志もおっしゃられた。今頃、高天原の方々も安堵なされておろう。カナーニス、それはアレースに返してやりなさい」
     「はい……それじゃ、伯父様」
     「ん、確かに……あれ?」
     ディスコルディアを手にしたアレースは、刀身が帯びている微かな波動に気付いた。
     「あの子の波動がする……ディスコルディアが――今は人間として生きているはずの、あの坊やの魂が一時だけ入ったのか?」
     「ええ、でもほんの一瞬ですわ」
     「それでは……」と、ヘーラーは振り向いた。「あの青年は!?」
     「無事です。ちゃんと生きています」
     ―――あの後、佳奈子が先ずしたことは、瑞樹を気絶させたことだった。
     「佳奈子先生!?」
     章一が驚いているのも構わず、佳奈子は瑞樹の記憶を探って、今見た事だけを忘れさせた。
     「この世に、不和女神が復活した事実を残してはならないのよ」
     そして、倒れている枝実子の方にも近づいて、抱き起した。
     彼女の額に自分の額を重ねようとする。
     「先生!」
     枝実子の記憶まで消そうとしている佳奈子を、咄嗟に章一は引き離した。
     「聞いて、キオーネー」と、佳奈子は言った。「まだ不和女神は復活してはならないのよ。今、エミリーはこの姿になってしまったことで、無意識に不和のオーラを放出している。人間の器でそんなことをしたら、どうなると思う? だから、前世での記憶をある程度封印することによって、彼女を片桐枝実子の姿に戻すわ……多分、あなたがキオーネーであることも、忘れてしまうと思うけど……」
     「先生!」
     「どの道、この姿のままでは人間界にいられないのよ! ……辛いのは分かるわ。でも、あなたも理解して。それが、エミリーとあなたの為でもあるの」
     章一は涙を飲んで、佳奈子から手を離した。
     「完全に封印されるわけではないわ。ここまで霊力を高めてしまっては、もう前世の記憶なしでは力のセーブができない。だから……ある程度だけね」
     佳奈子が額を合わせると、枝実子はだんだん元の、片桐枝実子の姿に戻った。
     意識を取り戻した彼女は、少しぼんやりするのか、頭を左右に振っていた。
     「休んでる暇なんてないわよ、エミリー」と、佳奈子が喝を入れた。「早く、これを引き離して。あなたにしかできないのよ」
     佳奈子が指差したものは、ディスコルディアの魂だった。
     枝実子は言われるままに、ディスコルディアから魂を引き離した。
     「これ……どうすればいいんですか?」
     枝実子が佳奈子に聞くと、
     「帰るように命令して。今、この子は他の人の胎内にあったのよ。この子が離れている間、きっとその人は仮死状態になってるはずだわ。急いで!」
     「あ、ハイッ。元へお帰り、ディスコルディア」
     ディスコルディアの魂――六角形の黒水晶は、スッと消えていなくなった。
     さて、残るは……。
     佳奈子は眞紀子にも同意を得て、枝実子が前世の姿に戻ったところの記憶だけ抜かせてもらった。
     その間、枝実子は足もとに転がっている月影と、その鞘に気付いて、拾い上げた。――月影自体は如月が戦いのために体内から分離させていたが、鞘だけが如月の中に残っていて、如月が霧となって枝実子に吸収されたことで、鞘が出てきたのだろう。枝実子は、月影を鞘に戻すと、それを真っ直ぐ眞紀子に差し出した。
     眞紀子が躊躇していると、章一が言った。
     「エミリー!? それは、君が継承すべき物だよ。それを!?」
     「いいのよ……あなたに預けるわ、眞紀子さん」
     「……どうして?」
     と、眞紀子も聞いた。
     「如月が私の中に戻って、分かったのよ。如月はあなたの傍にいる時が、一番心が落ち着いた。月影の魔力を抑えられた――あなたにも月影を制する霊力があるのよ。恐らく、あなたも片桐の血を引いている。先祖の誰かが片桐の娘を娶ったんでしょう」
     枝実子は、さあ、と月影を差し出した。
     眞紀子はそれを受け取ると、じっと枝実子を見つめた。
     「あなたの中に、彼がいるのね」
     「そう……如月は私の一部よ」
     「それでも……私、あなたを憎むわ」
     「いいわ。でも、私はあなたが好きよ。友人として、文学者として、人間として」
     「やめてッ」
     眞紀子はそう言い放って……そして、枝実子に抱きついた。
     「あなたを憎むわ、恨むわ、絶対に許さないから!!」
     「ええ、構わないわ」
     「憎むわ……憎いのに……」
     涙が溢れる程……愛している。
     眞紀子はもう、泣きつくすことしかできなかった。
     ―――眞紀子を家まで送って、枝実子も帰ることになった。




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  • from: エリスさん

    2012年08月03日 15時37分40秒

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    「双面邪裂剣(ふたおもて やみを さく つき)・63」
    ――ちょうどその頃、彼らに近づこうとする人物がいた。
     「……如月さん?」
     如月の魔力から目覚めた眞紀子は、頼りない足取りで歩いてきていた。
     二人の技は、互いにぶつかり合って消滅してしまった。
     「……確かに、私は罪を犯したわ」と、枝実子は言った。「女の身でありながら、キオーネーを愛し、エイリーを愛人にした……そして現世でも、眞紀子さんを辱め、真田さんを苦しめたわ、だから……」
     枝実子は左手を如月に向けた。
     「罪滅ぼしもしないまま、死ぬわけにはいかないのよ!!」
     枝実子の左手から、紫の炎が飛び出す。
     如月はそれを右手から出す黒い炎で防いだ。
     また、力のぶつかり合いになる。
     「激動の時代、平穏を守ろうとする地に……」
     枝実子が唱えるのに対して、如月も唱える。
     「遥かなる天空を離れ、不浄なこの地上に……」
     そして、二人はほぼ同時に叫んだ。
     「不和女神降来(ふわにょしんこうらい)!!」
     「不和女神流離(ふわにょしんりゅうり)!!」
     二人のパワーが爆発する。
     結界の中を激しい光が炸裂した。
     章一は固唾を飲んだ。きっと、景虎もだろう。
     すぐにも駆け付けたいが、ここは邪魔してはならない。
     だが、佳奈子は章一とは違う意味で危険を感じていた。
     『エミリー、駄目よ。最後のキーワードを言っては……』
     今、二人の力は互角。このバランスを崩すためには、あるものがいる。だが、それを呼んでしまっては……。
     二人は、互いにボロボロになっていた。
     息が荒くなっている。
     「……さすがですね。エミリー……」
     「やっと褒めたわね、如月……でも、それもこれまでね」
     枝実子はディスコルディアの柄の方を頭上に翳した。
     佳奈子はハッとして、叫んだ。「駄目! エミリー!」
     だが、彼女には聞こえなかった。
     「来い! ディスコルディア!!」
     ピカッと結界の真上で何かが光った。
     その光は、結界を通り抜けて、枝実子の方へと降りて行った。
     『ああ、とうとう……』
     佳奈子や、天空の神々が恐れていたことが起きてしまった。
     枝実子のもとへ降りてきた光――それこそが、六角形の黒水晶・ディスコルディアの魂だった。
     枝実子がそれを掴んで、柄の穴にはめ込んだ時だった――枝実子の体が光り出した。
     変化する――如月そっくりに、彼以上に高雅で、威厳に満ちた姿に。
     不和女神エリス、復活――。
     「これまでよ、如月……」
     如月はなぜか、笑っていた。
     「その……ようだな」
     そして、如月は月影を手離した。
     「世界は……破滅を選んだ……」
     「覚悟の上よ、それは……」
     枝実子――エリスが、ディスコルディアを如月の頭上に振りかざした時だった。
     「やめてェー!!」
     誰かが叫んだ。結界の向こうに、章一たちの他に誰かいることに気付いた二人は、声の方を見た。
     章一たちも気付く――そこに、眞紀子がいた。
     「やめて!! 如月さんを殺さないでェ!!」
     「九条さん、あなたッ!?」
     結界の中が見えている――佳奈子には信じられないことだった。
     『彼女も、ただの人間じゃない!?』
     「お願い、エミリーさん……彼を殺さないで。如月さんは、神様がくださった、もう一人のあなたなのよ」
     「……どうゆうこと?」
     枝実子の問いに答えたのか、眞紀子は言った。
     「いつも思ってた。エミリーさんが男性だったら……そしたら、この気持ち、押し殺すこともないのに。禁忌を犯す恐怖に怯えなくていいのに……それを」
     眞紀子は枝実子を睨みつけた。「何故、私に触れたのッ。我慢できなかったの! 私は必死に耐えていたのに。あなたを想うことを!」
     「眞紀子さん……?」
     「……まだ、分からないのですか?」
     と、如月が言った。「彼女は愛していたのです、御身を!! 女同士だということを恐れながら、恨みながら! 本当に分からなかったのか? 彼女が身を持っておまえが知りたがっていたこと――倭姫の心情を教えてくれていたのに!!」
     如月の声は、だんだん男の声へと変じていた――ついこの間まで、枝実子が出していた声だ。
     「あなたを憎むわ。生きている限りずっと! あなたを慕っていたからこそ!……でも、彼は違う。彼は男性よ。私が慕っても罪にならない人なの。だから殺さないで!」
     眞紀子は結界の中に入ってこようとした。
     咄嗟に、瑞樹が捕まえてやめさせる。
     「駄目だよ、眞紀子さんッ。二人がいる方へ行ったら、あなたが死んじゃうのよッ」
     「離して! 如月さんが!」
     「佳奈子先生! 結界を解いてください、このままじゃ!」
     瑞樹の言葉に、佳奈子は躊躇っていた。このまま結界を解けば、エリスのオーラが外界に放出される。もちろん結界を張りっぱなしにはできないのだが……。
     眞紀子はまだもがいていた。必死なのだ、如月を助けようと。
     「先生!」
     瑞樹が叫ぶ。
     「眞紀子さん、来るな!」
     如月も叫ぶ。それでも、眞紀子はやめようとしなかった。
     如月は何を思ったのか、ディスコルディアの刃を掴んだ。
     「如月!」
     枝実子が叫んだのと、如月が自分の胸を突いたのは、同時だった。
     「如月さん!!」
     眞紀子の悲鳴に答えるかのように、佳奈子が結界を解く。
     初めて中の様子が見られた瑞樹は、驚いた。
     「如月が、二人いる……」
     だが、眞紀子は迷わず紫の一つ紋を着た如月の方へ駆け寄った。
     「如月、あんた……」
     枝実子はまだ信じられずにいた。何故? 自ら死のうと?
     地面に倒れ、眞紀子に助け起こされながら、如月は枝実子に言った。
     「俺が眞紀子さんに執着したら、きっと……俺も、途中で自殺なんかできない」
     「あんた、本当に眞紀子さんを?」
     「……御身が、キオーネーを愛したよう……眞紀子さん」
     如月は眞紀子に手を差し延べた。
     眞紀子がしっかりとそれを掴むと、嬉しそうに微笑み、
     「眞紀子さん、俺は人間じゃない。思念が産んだ偽物だ。そんな俺が、あなたのような聖女を穢してはいけなかった」
     「違う、違う。私、聖女なんかじゃ……。いけないことだと分かっているのに、女の人を愛して……憎んで……」
     「いいんですよ、それぐらい。人を好きになったら、そんなこと、些細な問題だ……エミリー、分かるか? これがおまえが知りたがっていたことだ」
     倭姫の想い――愛するがゆえに憎悪し、憎悪するがゆえに愛する。今、眞紀子が身を持って教えてくれている。
     「分かるわ、如月。今、本当にその生き方が……」
     「無駄にするなよ、眞紀子さんの犠牲を。それから、もう迷うな。あいつ以外の人間になんか」と、如月は章一を見た。「迷う度に、俺は現われる。御身を抹殺するために」
     如月は、フフッと笑った。
     「世界の破滅なんか、大義名分だよ。本当は、彼女を……」
     如月は、眞紀子の方を見つめ直し――眞紀子もまた、如月の頬に触れながら、間近まで顔を近づけてくる。
     「苦しめたくなかったんだ、眞紀子さん。あなたを愛したかった、なんの気兼ねもない姿に生まれ変わって。愛したかった……」
     「如月さん!!」
     「愛し……続けて……」
     とうとう、霧へと化してしまう。
     「いやァ!!」
     その霧は、枝実子へと吸収された。途端、枝実子の意識も遠のいて、倒れそうになる。
     章一は急いで駆け寄って、枝実子を支えた。
     「愛したかったのよ、あなたを」
     枝実子は呟いていた。「愛されたかったから……」
     ――こうして、如月は枝実子に融合された。
     もうこれで、二度と、怪事件が起こることもない……。



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