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神話読書会〜女神さまがみてる〜

神話読書会〜女神さまがみてる〜>掲示板

公開 メンバー数:11人

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  • from: エリスさん

    2008年11月28日 14時47分49秒

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    減ってきている

     このサークルプレイヤーには、いくつもの文芸創作サークルがあったのですが……。
     午前中に調べたら、「文芸」のカテゴリーの中にあるサークルは9個しかなかった。以前はもっとあったのに。
     まあ、「文芸」以外のカテゴリーで小説を書いている人もいるのでしょうが――現にこのサークルも「神話・民俗伝承」のカテゴリーで書いてますし。
     一時期、話題を集めていた小説サークルも消えていて、今その筆者はどうしているのかな? と考えてしまいました。

     そういえば、どっかの誰かさんも、
     「恋愛小説を書いて、バンバン自費出版して儲ける!」
     などと言っていましたが、その後どうしたのかな? 恋愛小説なんか簡単に書けるって言ってたよね? まるで努力してストーリーを練っている私たちを馬鹿にするような発言を散々しておきながら、結局、「芸術」の大カテゴリーの中の「伝統」に属するサークルを作るだけで、おしまい?――あの内容はどう考えても「芸術」でも「伝統」でも、ましてや「文芸」でもないけどね。

     最近は携帯小説がはやってきているので、ネットの世界もどんどん「小説が発表できる掲示板」が増えてきている。そうゆうところに、このサークルプレイヤーで小説発表をしていた人たちが移動したのなら、それでいいんだけど。
     私みたいにおばさんになっても、小説家になる夢を諦めないで頑張っているのだから、若い人たちなら尚更、くじけないで頑張ってほしいなって思います。

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  • from: エリスさん

    2008年11月28日 14時31分58秒

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    「泉が銀色に輝く・52」
     『ケレーンだと? それも鍵……』
     もしやと思い、エリスがラリウスの腰帯から鍵を外していると、地下から声がした。
     「叔母様ァ! エリス叔母様ァ!」
     「エロース?」
     エリスは急いで地下へ下りて行った。従者たちはすべて気絶させたとは言っても、看守までいないとは……。
     『あの側近頭、主君を裏切ったか……』
     エリスが鍵を使って扉を開くと、そこにケレーンがいた。
     「シニアは!?」
     エリスの問いは、ケレーンが聞きたいことだった。
     「叔母様、全員やっつけちゃったの?」
     エロースが言うと、
     「すまぬ、つい……ところで、おまえはどうしてそんなに小さいのだ?」
     「レーテー達に力を借りて、分身を飛ばしたんだ。可愛いでしょ?」
     「アホなことをぬかしてる場合か。だったらその力を使って、シニアポネーの行方を辿れないのか?」
     「無理だよ。シニアには矢を射したことないもの」
     「なんてことだ……シニア! どこにいるんだ、シニア!!」
     その叫び声を、アルゴス社殿の中庭で、感じ取った者がいた。
     「……お姉様?……」
     マリーターだった。一人で花飾りを作っていたマリーターは、エリスの悲しい叫びに反応して、手に持っていた物を落とし、そして立ち上がった。
     「お姉様が……苦しんでいる」
     その時、何かがマリーターの中で弾けた。

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  • from: エリスさん

    2008年11月28日 11時59分55秒

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    「泉が銀色に輝く・51」


     ケレーンは、服の裏側に隠していたシニアポネーのフィビュラを外した。
     飾りの部分を持って、針を立たせる。……あとはそれを、喉に刺してしまえばいい。
     シニアポネーはきっと、死にたくとも死ねないだろう。アポローンは医術の神であるから、婚儀の前に不死になる妙薬を飲ませるはずだ。
     そうなったら、シニアポネーは自分にとっては主君の奥方。なのに、自分はこれからもアポローンに忠誠を誓えるだろうか。
     だからと言って、恩人であるアポローンを憎みたくない。
     『だから、これ以上わたしの心が濁る前に、消えてしまおう』
     ケレーンは意を決した。――その時だった。
     「ダメーッ!」
     目の前に、小鳥――いや、少年が現れた。――エロースだった。いつもの二十分の一ぐらいの大きさで出てきたのである。
     「エロース様、どうしてここに?」
     「お兄ちゃんを止めに来たに決まってるだろ。もう、間に合って良かったよ。ダメッ、早まっちゃ」
     「しかし、わたしはもう……」
     「シニアなら大丈夫だよ、おばあ様たちが動いているから。なのに、せっかくシニアが助かっても、お兄ちゃんが死んじゃってたら、どうにもならないじゃん」
     「エロース様……」
     エッヘン、とエロースは笑ってみせた。
     そんな時だった。上の方で騒ぎが起こった。大勢の人間が暴れているのが分かる。
     「命が惜しい者は引くが良い!」
     この声は……。
     「エリス叔母様だ」
     エロースの言う通り、社殿の一階ではエリスがアポローンの従者を相手に戦っていた。
     「シニアはどこだ! シニアを返せ!」
     不和と争いの女神である。人間の男相手に負けるわけがない。それでもエリスは手加減をして、殺さずに気絶させるだけにとどめた。
     「おやめください、エリス様! シニアポネーも我が主も、ここにはおりません!」
     ラリウスが剣を交えながら言う――他の者はすべてエリスに倒されていた。
     「ではどこにいる。隠しだてするなら、そなたも命はないぞ!」
     「それだけは、死んでも申せません」
     「ならば死ね!」
     ……と、言いながらもエリスは剣の柄(つか)でラリウスの腹を殴り、倒した。
     すると、ラリウスは掠れた声でエリスを呼び、腰に下げていた鍵を掴んで見せた。
     「……ケレー……ン、を……」
     そう言って、彼は気絶してしまった。
     

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  • from: エリスさん

    2008年11月28日 11時22分11秒

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    「泉が銀色に輝く・50」
     


     ヘーラーがエペソス社殿に着いた時には、もうシニアポネーはアポローンに連れ去られた後だった。
     「今なら間に合うッ。アルテミス、アポローンとの約束を反故にして、シニアを連れ戻しておくれ!」
     ヘーラーが言うと、アルテミスは背中を向けながら、言った。
     「その必要はありません。シニアポネーの幸福を願えばこそ、今日の婚儀を整えたのです」
     「こんな結婚が幸福なものか! 分かっているのか。あの二人は実の親子だ! しかも母親は!」
     「馬鹿な事をおっしゃらないでください! あの子は、私の乳母(めのと)・メリクーターが、人間の男と恋をして産んだ子じゃありませんか」
     「そなた、このエイレイテュイアの前で、よくもそんなことが言えたもの」
     それを言われてしまうと、何も言えない。
     「アルテミス。シニアポネーのこともマリーターのことも、表沙汰にはせぬ、立場も考える。私にだってゼウスにだって慈悲はあるです。この結婚は無かったことにしておくれ」
     「……嫌です」
     「アルテミス!」
     ヘーラーは憐れみの表情から、烈火のような怒りの表情へと変じた。
     「親の犯した罪で、子供を犠牲にするでない!!」
     「私がなんの罪を犯したと言うのです!」
     すると、ヘーラーたちの背後から、別の声が言った。
     「アポローンと目合(まぐわ)ったでしょう?」
     アテーナーだった。
     アルテミスは青ざめて、動けなくなった。
     「アテーナー、どうしてここへ?」
     ヘーラーが聞くと、
     「《宇宙の意志》の御心により、参りました」
     「おお、宇宙(そら)が……。そなたも説得してくれるのですね」
     「おそれながら、彼女を真に説得できるのは、私だけです」
     アテーナーは、アルテミスのことを見据えて、言った。
     「こちらを向きなさい、アルテミス。王后陛下に対して、その態度はなんです?」
     敬愛している姉にそう言われてしまうと、歯向かうことはことはできなかった。アルテミスはゆっくりとこちらへ向いた。
     「アルテミス、先ず告白しなさい。シニアポネーの本当の両親は、誰と誰ですか?」
     アテーナーの問いに、アルテミスはこわごわと答えた。
     「……私と、アポローンです」
     「そう。ではあなたは、シニアポネーがアポローンの実子だと分かっていながら、輿入れさせようとしているのですね」
     アテーナーが今更わかりきったことばかり聞くので、ヘーラーは割って入った。
     「アテーナー、ぐずぐずしていられないのですよ」
     「大丈夫です、ヘーラー様。シニアポネーの方には、今……」



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  • from: エリスさん

    2008年11月21日 14時20分47秒

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    「泉が銀色に輝く・49」



     「お願いにございます!! シニアポネーのことはお諦めください!!」
     ケレーンはアポローンに対して、土下座していた。この一言で、アポローンはケレーンの恋人がシニアポネーであることを知った。
     「そうだったのか……なんてことだ……」
     アポローンはケレーンのことを見ることができず、背中を向けてしまう。
     「君様、お願いです。どうかシニアポネーだけはご勘弁ください。彼女を取り上げられたら、わたしは生きてはいけません」
     「ケレーン……わたしもなのだ。百年以上も彼女を探して、さまよっていた。そして、ようやくわたしの魂は落ち着こうとしている。だから、おまえの頼みでも、これだけは……」
     「君様!! わたし達の恋を誰よりも応援してくださったのは、君様ではございませんか!」
     「知らなかったからだ! まさか、おまえの恋人が、あの娘だったとは……」
     二人の間に沈黙が流れる。
     どれだけたったのか、ラリウスが入ってきた時には、二人ともただ沈み込んでいた。
     「君様、刻限です」
     その言葉で、二人ともハッとする。
     シニアポネーを迎えに行く、時間。
     「君様……」
     ケレーンが最後のお願いをしようとすると、アポローンがそれを制した。
     「ラリウス!……ケレーンを、地下牢に入れておけ」
     「君様ァ!!」
     ケレーンが立ち上がろうとすると、ラリウスがサッと割って入り、ケレーンの肩を掴んだ。
     「承知いたしました、君様」
     「頼んだぞ、ラリウス」
     アポローンはそう言って、部屋を出ていった。
     「お待ちください、君様!! 君様ァ!!」
     後を追おうとするケレーンを、ラリウスはしっかりと抱きしめて、止めた。
     「ケレーン、今は耐えろ。いつか、いつか彼女のことを忘れられる日が来るから……」
     「そんな日は来ない! 忘れられるもんか。彼女の胎内には、子供が……」
     「え?」
     「わたしとの、子供が……」
     ケレーンが泣き崩れると、ラリウスも一緒に膝をついた……。



     ケレーンを地下牢に監禁してから、ラリウスはアポローンのもとへと行った。アポローンはちょうど、花嫁を迎える支度を整えて、これから出掛けるところだった。
     ラリウスは、ケレーンが言っていたことを伝えようと口を開きかけたが、
     「何も言わないでくれ」と、アポローンに制された。「聞いてしまったら、わたしは何もできなくなってしまう」
     「……花嫁のお迎えには、わたしも同行いたしましょう」
     「いや、一人でいい。誰も来るな。婚儀の場所へも。おまえは、ケレーンについていてやってくれ」
     「ケレーンの傍に? よろしいのですか? わたしは、ケレーンに同情しているのですよ」
     その問いに、アポローンは答えなかった。
     そんな主人を見て、ラリウスは微笑みながら言った。
     「いっていらっしゃいませ、君様」


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  • from: エリスさん

    2008年11月21日 13時21分08秒

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    「泉が銀色に輝く・48」
     「恐らくアポローンは、シニアが自分とアルテミスの娘だと気付いたのです。それで、アルテミスを脅して、シニアを身代わりとして手に入れようと」
     エイレイテュイアの言葉に、ヘーラーは首を左右に振って嘆いた。
     「我が子と分かっていながら、妻にしようとは。愚かな……しかし、これで謎が解けた」
     「謎?」
     「考えてもみよ。あのアポローンが、ただの一度で耐えられると思うか?」
     そう言い終わらぬうちに、ヘーラーは歩き出した。エイレイテュイアも付いていき、そのままヘーラーと一緒に馬車へ乗せられてしまう。
     「ではお母様は、マリーターに術を掛けたのは、アルテミスだと!?」
     「マリーターがシニアポネーの匂いと髪の色を極端に嫌がったのが、何よりの証拠だ。シニアの匂いは、アポローンとアルテミス、両方の体香を受け継いだものだが、あの銀髪は母親の、あの銀色の肌をしたアルテミスの神秘性が髪に現れたのだ。きっとアルテミスは、最近にもアポローンに乱暴を受けたのだろう。けれど、メリクーターもいない今、再びそなたの助けを借りるのも心苦しく、一人で悩みぬき、そして解決しようとしたのだ。しかし運悪くマリーターに見つかって……」
     「マリーターから正気を奪った……なんてことを……」
     「アルテミスの立場も考えての裁きはしてやるつもりだが、今はその前にシニアのことだ!」
     ヘーラーは鞭を振るって、エペソス社殿へと馬を急がせた。
     この様子を、エロースとエリスの子供たちも見ていた。彼らもシニアポネーが大好きで、特にエロースは自分が彼女の恋を成就させた責任もあるから、黙っていられなかった。
     「みんな! 僕に力を貸して!」
     と、エロースは言って、自分の部屋へと走り出した。そのあとを追いかけながらレーテーは、
     「何をするつもりなの?」
     「シニアはおばあ様達に任せればいいけど、ケレーンは間に合わないかもしれない」
     「間に合わないって?」
     と、リーモスが聞いた時、エロースの部屋について、全員が中に入った。
     「アポローンさんにとったら、ケレーンは邪魔だもの。排除しようとするかもしれない。もうデーロス社殿にはいない可能性もあるから、早くケレーンを探すんだ」
     「どうやって?」とレーテーが聞くと、
     「ケレーンには、以前僕が矢を刺したんだ。もうその矢は消えてしまってるけど、霊波動は残ってると思う。それを辿るんだ。みんな、僕と手をつないで! 僕に力を送って!」
     「ヨォーシ!」と、長男であるリーモスが気合いを入れて言った。「みんな、輪になって座るんだ。手をつないで!」
     子どもたちは輪になって座ると、心を一つに合わせるのだった。


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  • from: エリスさん

    2008年11月21日 12時49分57秒

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    「Re:Re:2サークル共通 「聖徳太子はいなかった!?って〜〜」その後」
    >  関東では今晩放送の「新説!? 日本ミステリー」で、聖徳太子がいたのか、いないのか? の調査結果を放送するようですね。
    >  どんな結果が出たのか、楽しみです。



     大方、私が知っていることばかりだった。
     ということは、まだ目新しい発見はないってことですよね。

     番組を見ていなかった皆さんのために説明しますと、聖徳太子という人は、もともとは厩戸皇子という実在の人物に架空の実績をかぶせて、カリスマ化したものだった。なぜそんなことをしたかと言うと、日本書紀を編纂していた当時はちょうど「大宝律令」を制定したころであり、その「大宝律令」を世に浸透しやすくするために、
     「大宝律令は、かつて偉大な摂政が制定した憲法を基にして作られた」
     という話をでっちあげなければならなかった。――つまり、「十七条憲法」は厩戸皇子が作ったものではなく、後世のねつ造――その為に、血統正しく、なおかつ血筋が絶えてしまっている厩戸皇子を利用した。(厩戸皇子の子孫はすべて蘇我蝦夷・入鹿に滅ぼされている)なぜ血筋が絶えてしまっている皇子を選んだかと言うと、厩戸をカリスマ化したことでその子孫が「次の天皇候補」に名乗りをあげる危険性があるため。また、子孫がいなければ、「聖徳太子として塗り固められた業績」がすべて嘘であることを暴かれることもない。だからこそ、子孫がいない厩戸皇子は「大宝律令」を制定した人間たちには都合がよかったのである。


     というのが番組の内容でしたね。以前に私が書き込んだのとだいたい同じ内容でしょ?
     番組の中では「それらの政治的工作を行ったのは藤原不比等」だと言っていましたが、私は国史編纂を指示していた天武天皇・持統天皇も多少絡んでいるんじゃないかと思っています。

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  • from: エリスさん

    2008年11月18日 18時44分34秒

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    「Re:2サークル共通 「聖徳太子はいなかった!?って〜〜」その後」
     関東では今晩放送の「新説!? 日本ミステリー」で、聖徳太子がいたのか、いないのか? の調査結果を放送するようですね。
     どんな結果が出たのか、楽しみです。

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  • from: エリスさん

    2008年11月14日 15時24分11秒

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    短くてスミマセン

     今日は時間になってしまったので、これで終わりにします。(「恋愛小説発表会・改定版」の方を重点的に更新してしまったので)

     今日のところまで読んでから、3/14に更新した「禁断の花園」の34話、35話を読み返してもらえれば、この時なにがあったのか、詳しくわかるかと思います。


     それでは、また来週。ご機嫌よう<(_ _)>

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  • from: エリスさん

    2008年11月14日 15時20分13秒

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    「泉が銀色に輝く・47」
     そうして、ミレウーサはここまで走ってきたのである。
     ヘーラーは唇を固く結んで、怒鳴り出したいのを抑えていた。
     だが、エリスはそういう性質ではなかった。話を聞き終わると、すぐに走り出していたのである。エイレイテュイアが止めても、まったく聞かない。
     「馬車の物を、すべて下ろしなさい!! エペソスへ行きます!」
     ヘーラーが怒りの表情を露わにして部屋を出ると、エイレイテュイアはヘーベーにミレウーサのことを頼んでから、母親の後を追いかけた。
     「お待ちください! たとえお母様でも、神々が個人的に契約したことを、反故にすることは許されません!」
     「そんなことは分かっておる! しかし、シニアがあまりにも哀れではないか。恋しい殿御がいるのに、主君の命令で引き離されて、他の男のものにさせられてしまうのだぞ!」
     「でもお母様、これにはわけが!」
     エイレイテュイアの言葉に、ヘーラーは足を止めた。
     「そなた、何か知っているのか?」
     「これは、私とエリス、そしてアルテミスご自身とその乳母だけが知っていることでございます」
     エイレイテュイアは、真剣な面持ちで、こう言った。
     「シニアポネーは……アポローンとアルテミスとの間に生まれた子供です」
     「なに? まさか、そんなはずは!? 私は確かに、メリクーターの腹からあの子を取り上げたのだ、この手で!」
     「アルテミスの胎内から受精卵を取り出し、乳母であるメリクーターの胎内に、私が植え込みました。お母様がお教えくださった、技の一つでございましょう?」
     「では、メリクーターは代理母……話してご覧」
     エイレイテュイアは、十九年前のことから話し出した。
     アポローンに突然な暴行を受けたアルテミスは、誓いを破ってしまったことよりも、実の弟に邪な想いを持たれていたことに強いショックを受けた。茫然自失になっているアルテミスを、育ての親とも言えるメリクーターは見ていられず、人目を忍んでエイレイテュイアのもとへ相談に訪れた。アルテミスを純潔に戻してほしいと。しかし、純潔に戻すにはカナトスの泉に入るしか方法がない。ちょうどその日、エイレイテュイアの部屋に泊まっていたエリスが話を聞いていて、当時のカナトスの泉の番人とは友人(実は恋人)であるから、協力しようと申し出てくれた。
     それでエイレイテュイアがアルテミスの社殿を訪ねて診察すると、泉に入るだけでは駄目だということがわかった。
     「それで、受精卵を移した後に、アルテミスを泉に入れたのか」
     「はい。お母様の許可もなく、申し訳ございません」
     「良い。それで殺されるべき命が救われたのだから……。私も、シニアの父親はアポローンではないかと思っていたのだが、まさかアルテミスもそうだったとは……」

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