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from: ueyonabaruさん
2018/06/16 23:56:12
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トランプのクセ球
トランプのクセ球12日のある意味で衝撃的だったシンガポール会談の週も終わろうとしています。衝撃的というのは、たとえば長谷川幸洋氏は「金正恩に敗北を喫し
トランプのクセ球
12日のある意味で衝撃的だったシンガポール会談の週も終わろうとしています。
衝撃的というのは、たとえば長谷川幸洋氏は「金正恩に敗北を喫したトランプ大統領の『本当の心境』」と、会談を酷評した分析を出したことでもわかります。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/56124
青山繁晴氏も「敗北」と評していますし、神保謙氏もおおむねそのトーンですから、わが国の主立った保守論客、あるいは国際政治学者の採点は辛いようです。
メディアは米国も含めてさんざんです。
私もご承知のように当初は「最悪よりまし」という感想を持っていましたから、似たようなものでした。
その私がどこか違うんじゃないか感じ始めたのは、一杯一杯の正恩の火照った顔が記憶に残ったからでしょうか。
圧倒的貫祿のトランプと、国際舞台デビューの若造は比較するのも愚かで、ある自衛隊OBがまるで師団長と防衛大学校でたばかりの小隊長との面談のようだと評したのには笑いました。
トランプは、100%勝利したのは自分だと考えているわけで、そうでなければ記者会見て冒頭から「こんな広い部屋での会見なんか初めてだなぁ」なんてジョークを言うはずがありません。
ところが、日本も含めて世界のメディアが流したイメージは下の写真です。
この写真は、朝鮮中央通信が「大勝利」としてプロパガンダで使用したものです。
トランプをエスコートする、われらが首領様の海のような度量というわけですが、私たち日本人も似たような陥穽に足を取られてはいませんか、というのが私の素朴な疑問の始まりでした。
さて私の疑問点は、「なぜトランプはCVDIの文言を合意文書からはずしたのか」ということに尽きるでしょう。
合意文書にそれに対する言及がないために、トランプ敗北説が生まれました。
国連で北への制裁の担当官だった古川勝久氏は、今回の合意を「従来より後退した失敗」ととらえた上で、その理由を「北は文言に書かれてあることしかしないからだ」と述べています。
ならば、「北が書かれてあることしかしない」なら、書かれていないのなら逆に北にとってのリスクは無限大となってしまうのではないでしょうか。
今回の会談は、書かれてあることより、書かれていないことを重視すべきなのです。
事細かく、いついつまでに、どのような方法で、なになにを廃棄しますと書かれてあったら、北にとってのリスクはミニマムに押さえ込めるわけです。
しかしそれですら、正恩のメンツは丸潰れになり、国内基盤を揺るがせる事態になりかねなかったかもしれません。
米国は、今の段階で金政権を倒すつもりはありません。
そのような不安定な東アジア情勢は対中シフトまでおかしくしますから、避けたいと考えているはずです。
トランプは大変にクセ球を投げたと、私は思います。
トランプは宣言文書にCVDIをあえて書き込まないことで、いわば白紙委任状を取ったにもかかわらず、正恩の権力基盤を揺るがすことを寸止めしたと考えられます。
相手に対して遅効性の毒を盛りつつ、今回は倒れないていどにしてやり、さらには核さえ手放せば「未来」があるぜ、と誘導するというわけです。
俗に気が弱いくせに凶暴な奴は、逃げ場がないやり方で追い込むなといいます。逆上して刃物を振り回すからです。北も一緒です。
北は普通ならすぐにミサイルを打ち込んでくるようなまねはしません。
そんなことをすれば、自滅するのはわかりきっているからです。
しかし追い込んで「殿、ご落城でございます」となればわかりません。ケンカ達者は、こんな相手には追い込みはするが逃げ場は作っておいてやるのです。
トランプは、正恩という自尊心だけは異常に強いくせにビビリの少年をこん棒で脅して会議場に追い込んでから、にこやかに白紙委任状に署名させ、非核化した後の「明るい未来」の扉だけを少し開けて帰してやったというわけです。
昨日もアップしましたが、合意文書冒頭部分のこのパラフレーズに注目してください。そこにはこうあります。
"President Trump committed to provide security guarantees to the DPRK, and Chairman Kim Jong Un reaffirmed his firm and unwavering commitment to complete denuclearization of the Korean Peninsula"
「トランプ大統領は北朝鮮に安全の保証を提供することにコミットし、金正恩委員長は朝鮮半島の完全な非核化(complete denuclearization of the Korean peninsula)への強固でゆるぎないコミットメントを再確認する」
このコミットメント(commitment)という文言に注目下さい。
これは努力目標ではないのです。あくまでも「その行動しかとれないようにするような実効性のある仕組みをつくること」です。
つまり、北は合意文書に「非核化への実効性のある仕組みを作ること」に合意したということです。
ですからトランプは、記者会見でCVDIを書いてないじゃないかという記者の質問に、わざわざ文書を手にして「ここにちゃんと完全非核化( complete denuclearization )と書いてあるぞ」、と不満げに返答したのです。
ここが合意文書の最重要部分のはずですが、メディアは完全にスルーしています。
このようにトランプは、テロリスト(支援国家)とは交渉しない、見返りを与えない、という米国の外交原則を維持しました。
これは大きいことで、もしなんらかの見返りを与えてしまえば、第2第3の北のような国が生まれてしまうことにつながっていきます。
これはイラン情勢をにらんで、大変にまずいことです。
米韓合同演習を中止したことについては、批判が大きいですが、それは直ちに北が「完全非核化」の措置の第1弾をださなければ、即刻再開するというだけの話です。
言ってみれば撒き餌のようなもので、これで「大勝利」と浮かれて「完全非核化」をネグれば、ツィートで「宣言文を無効にするように関係者に通達した」なんて返ってくるだけです。
というわけで、まぁ、今後の展開を見てから「大敗北」と決めつけたらいいのではないでしょうか。
ほんとうにこのままでお終いならば、私はトランプを買いかぶったことになりますが、そうでないことを祈ります。
2018年6月16日 (土) | 固定リンク | コメント (8)
from: ueyonabaruさん
2018/06/18 19:55:50
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Dさん
幸福の科学の見解とだいぶかい離したご意見ですね。
キムヨジョンの霊言ご覧にないりましたか? トランプもキムジョンウンも全く世間の理解とは別の考えのようですよ。
from: Dさん
2018/06/17 22:06:07
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会談をどうみるかということは、さまざまな意見がありましょうが、少なくとも合意文書において、外交交渉でありえないはずの満点な勝利を小国の北朝鮮が得たという事実は大きいものがあります。
さしあたり、米国は北への軍事オプションを失いました。私がキムなら、CVIDを満たす非核化満了を100%とすると、トランプがキレるぎりぎりで1%進めます。合意には、非核化への内容も時限もないのだから、非核化には進んでいる。1年くらい引き伸ばして、トランプがまたイラついてきたら、もう1%進めて、重要度の低い施設をひとつ廃棄でもしてみせればいい。はたして、米国は北が小出しにではあれ非核化に向けて進めているなか、全面爆撃できるかといえば、むりでしょう。
そうこうしているうちに、やがてトランプは大統領から代わるか、どうせ何年かすれば寿命になります。くらべて、こばかにしているカリアゲは、あと半世紀は生きそうな終身独裁者です。彼は、独裁国家の最大の強みを発揮し、ただ待てばいい。
ところで、北が合意で満点の内容を勝ち取った一方、米国は負けたのでしょうか。ある人がいってましたが、こうまで北に有利な内容なら、ウラで取引があったはずで、米国にとっての勝ち取った内容はICBMの開発破棄以外にはないと。米国にとっては、最終的に北の核が来なければ負けではないわけで、こうなると、お互い譲り合って互いに得るべきは得たということになります。
トランプへのかいかぶり、カリアゲへの過小評価が最大限発揮された気がしてなりません。
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