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神話読書会〜女神さまがみてる〜

神話読書会〜女神さまがみてる〜>掲示板

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  • from: エリスさん

    2006年07月17日 10時10分58秒

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    斎王神誕生秘話・1

    その日、ゼウス神王は大層機嫌が悪かった。
    先ず、ここ数年悩まされた頭痛が、ピークに達していた。
    次に妻・ヘーラーが、夫である自分の血を引かぬ子供を生んだこと。これに関しては、四年前に決着がついたはずだった。なのに、テティス女神が余計なことをしてくれたおかげにぶり返してしまった。仕舞いには、
    「ヘーパイストスは私の息子なんですから、ここでアレース達と一緒に育てますよ」
    などとヘーラーが言いだし、面白くもない顔を毎日見るハメになってしまった。

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コメント: 全32件

from: エリスさん

2006年09月05日 11時10分48秒

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「斎王神誕生秘話・32」
「そうか、そうなんですね」
と、ヘーパイストスはエイレイテュイアにうなずいて、パラスの方に向きなおった。
「じゃあ……パラス! 君の料理おいしいね! ……これでいい?」
すると、パラスは嬉しそうに何度もうなずいた。
「良かったですね、お姉様」とエイレイテュイアは言った「でも私たちは、これからもあなた様を長女として敬わせていただきます。これはけじめですもの。よろしいですか? お姉様」
「ハイ、エイレイテュイア様。でも、あなたと私は同等な身分だと思うから……本来なら同い年でしょ? だから、あまり堅苦しくしないでね」
「わかりました。みんなもそれでいいわね?」
するとアレースとヘーベーはそろって「いいよォ!」と言った。
こうして、パラスとヘーパイストスは友人になった。
大人へと成長するにつれ、二人の絆は少しずつ変化していく。
それが「悲恋」への始まりとも気付かずに。

                      終

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from: エリスさん

2006年09月05日 10時50分47秒

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「斎王神誕生秘話・31」
ヘーパイストスの言葉に、アレースは笑顔でポンポンッと彼の肩を叩いた。
「分かったから、運転に集中しろ。ここから坂道だからな」
「はい、兄上」
途中、何度か危ない運転があったが、一行は目的地に付いた。
海の見えるところで敷物を敷き、女の子達が作ったお弁当を広げると、その豪華さに男の子達は拍手をした。
「これ、ホントに母上は手伝ってないの? ほとんど姉上が作ったんじゃないの?」
アレースが言うと、ヘーベーが、
「私も手伝ったもん。パラス姉さまもよ」
と、すねて見せた。
なのでアレースは、妹の頭を撫でながら、言った。
「そうかそうか、がんばったな。よし、じゃあ食べよう!」
「いっただっきまぁす!」
と、みんなで一斉に挨拶をして、フォークで突きだす。
「あっ、うっまい!」
「おいしい!」
「ヘース、そのマリネ、パラス姉さまが作ったのよ」
「へェ、おいしいですよ、姉上。お料理初めてなんでしょ?」
すると、パラスは顔中を真っ赤にして、モジモジしながら、言った。
「あ…あの……“姉上”は、やめてください」
「え? どうしてですか?」
「あの……その敬語も、できれば……」
「え!? なんでですか!?」
「あの……だって……」
パラスがいつまでもモジモジしているので、エイレイテュイアが察して口を挟んだ。
「お姉様にとって、ヘースは特別なのよ。命の恩人も同じだわ。ヘースがいなかったら、お姉様は今ここにいないのですもの。だから、自分より下の立場になってもらいたくないのよ。そうですよね、パラスお姉様」
すると、パラスがコクンとうなずいた。
「ヘース、これは過去にも例があるわ。末子として生まれたお父様(ゼウス)は、ポセイドーン叔父様とハーデース叔父様を助けだしたことで、三兄弟の“長男”になったわ。だから、パラス姉さまのお望みどおり、あなたが“弟”の垣根を超えて“友人”になったとしても、なんら不都合はないわよ」

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from: エリスさん

2006年08月31日 11時11分30秒

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「斎王神誕生秘話・30」
ヘーパイストスが運転する馬車に、助手席にアレース、荷台にパラスら女の子達を乗せて、海の見える丘を目指していた。
道中、アレースはヘーパイストスに運転の仕方を要所要所で教えてあげた。女の子達はその間、たわいのないお喋りで盛り上がっていた。時折、馬車が揺れて、互いがぶつかりあったりするのもまた楽しかったりして、馬車をくれたゼウスに感謝する言葉も聞かれた。
「でもその前に、お父様はヘースをいじめてたのよね。プラマイ0かしら?」
エイレイテュイアが言うと、
「そうだそうだ!」と、ヘーベーが囃子たてた。
なので、ヘーパイストスが言った。
「もうそれはいいですよ、姉上。僕と父上は和解したんですから」
「あら」と、エイレイテュイアは言った「憎んでいないの? あなたの足が不自由になったのは、お父様の所為なのに」
「足のことは、もういいんです。気が付いた時からこうだから、いい加減なれちゃいました。それに、父上が僕を嫌ったのは、それだけ母上のことを愛しているからでしょ?」

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from: エリスさん

2006年08月27日 10時16分03秒

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「斎王神誕生秘話・29」
「しばらくは二人とも修業させたらどうか…と、宇宙は仰ってるわ」と、ヘスティアーは言った「様子を見て、どちらが斎王に相応しいか見定めたらいい、とのことよ」
「宇宙がそう仰せなのなら…それしかありませんね」
ヘーラーはまだ戸惑いながらも、それで納得するしかなかった。
こうして、パラスとエイレイテュイアは二人して斎王の修業をすることになったのである。

一方、当人たちは…。
ヘーパイストスがゼウスから貰った馬車で、ピクニックに来ていた

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from: エリスさん

2006年08月25日 15時28分07秒

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「斎王神誕生秘話・28」
ここからは込み入った話になるので、宮廷美少年ガニュメーデースを退出させたゼウスは、大きな水晶球をテーブルに置いた。
「現役にも相談した方がよかろう」
ゼウスはそう言うと、水晶球に手をかざして、なにごとか呪文を唱えた。すると、水晶球の中に人影が映り、それがはっきりと見えてくると、二人の姉・ヘスティアーが手を振っているのがわかった。
「ハァ〜イ! 待ってたわよォ!」
「さすがお姉様。すでに私たちから通信が入ると、お察しでしたのね」
とヘーラーが言うと、ヘスティアーは、
「お祈りのお勤めをしている時に、ソラ(宇宙の意志)が教えてくれたの。新しく生まれた長女のことよね」
「そうなのです、お姉様。このままでは、斎王の資格を持つ者は二人になってしまうのです」

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from: エリスさん

2006年08月25日 15時09分15秒

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「斎王神誕生秘話・27」
「なるほど」とゼウスは言った「代替りするかどうかも分からぬわたしの治世で、我が子エイレイテュイアを斎王にしてしまっては、未来永劫も結婚できぬ立場に追いやってしまう。
かといって、このタイミングでパラスを斎王にしては、我が子可愛さに他の子供を犠牲にした、ひどい女だと、後ろ指をさされることになるからな」
「あァーなァーた!〓〓〓 そうゆう邪推はおよしになって下さい! 私は真剣に悩んでいるのですよ!!」

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from: エリスさん

2006年08月24日 10時46分05秒

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「斎王神誕生秘話・26」
「困りましたね」と、ヘーラーが言った。
「なにが困ったのだ?」と、ゼウスは頭の包帯を、宮廷美少年のガニュメーデースに交換してもらいながら、言った。
「パラスのことですよ。あの子は本来、あなたの長子になるのですよ」
「そうだな。それがどうした?」
「どうしたもこうしたも、斎王はどうするのですか?」
斎王――「さいおう」または「いつきのみこ」と読む。人間界においては「王族出身の巫女」を指すが、神界でも同様である。
この地球上に存在するすべての神界は「宇宙の意志」が統率している。その「宇宙の意志」に仕える巫女神として、神王の長女が選ばれるのだが、その女神は代替り(神王が次代に交替するまで)するまで純潔を守らなければいけなかった。そのため、斎王は別名「宇宙(そら)の花嫁」と呼ばれていた。
「今は私たちの姉・ヘスティアーが斎王を勤めてますが」とヘーラーは言った。「来月からは、エイレイテュイアを修業に出して、いずれ跡を継がせることになっていたのですよ」

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from: エリスさん

2006年08月24日 10時22分07秒

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「斎王神誕生秘話・25」
その少女は「パラス」と名付けられた。後、十二歳の時にアテーナイ(今のアテネ)の守護神となって「パラス・アテーネー(アテネを守護する女神)」と呼ばれるようになり、そこから「アテーナイエー」「アテーネー」と様々に呼ばれるようになって、現在の「アテーナー」に定着した。
とは言え、ヘーラーに育てられる幼少期は「パラス」と呼ばれていたので、今しばらくはその名で呼ぶことにしよう。

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from: エリスさん

2006年08月18日 21時50分12秒

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「斎王神誕生秘話・24」
ヘーラーは、自分の後ろで隠れるように立っている少女を、ゼウスの前に押し出して、
「恐がらなくていいのですよ。あなたのお父様です」と、優しく諭してあげた。
すると少女は控えめに、言った。
「初めまして、お父様」
ゼウスは感慨深げに何度もうなずいて、言った。
「メーティスにそっくりだ。本当にそっくりだ! 苦労かけたな、我が娘よ!」
いろいろな事がありすぎて理解しきれない子供たちは、エイレイテュイアを中心にして話をまとめた。
「だから、本当だったら私より前に生まれてくるはずだったのが、母神のメーティス様がご懐妊のままお父様と融合して一人の神になってしまったから、あの子はお父様の中で成長するしかなかったのよ。つまり、本来はあの子が長女で、私は次女、ヘーベーが三女なのよ」
「妹じゃないんだね、姉上なんだね。じゃあ敬わなきゃ」

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2006年08月14日 20時51分09秒

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「斎王神誕生秘話・23」
「そんな馬鹿な」とアレースは言った。「この子はついさっき生まれたんでしょ?」
「ゼウスの頭から生まれたのはな。しかし、ゼウスの体の中で、既に自我は目覚めていた。詳しく話を聞いてみたら、この子はもう長いこと、ゼウスの体の中を這い回っていたのだ。そもそも、この子の母はメーティス様だ」
「メーティス様って?」とヘーパイストスが聞くと、
「そうか、そなたは知らぬのであったな。メーティス様は、ゼウスが私と結婚する前に結婚していた女神で、訳あってゼウスと融合してしまったのだ。その時、メーティス様は懐妊していたのです」
そしてその胎児は融合されずに、ゼウスの体の中で成長を続けていたのである。だからこそ、生まれてすぐに言葉も話せるし、不思議な力も使えたのである。

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from: エリスさん

2006年08月12日 22時14分58秒

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「斎王神誕生秘話・22」
「良かったな、ヘース」とアレースは言った「助手席には、最初に俺を乗せてくれな」
「ハイ、兄上」
「その次は新しい妹だ。おまえには初めての妹なんだから、大事にしてやれよ」
「そうですよね、妹なんですよねェ」
「あの子、可愛いよなァ」
「はい……」
そこへ、ヘーラーが少女を連れて出てきた。
「誤解があるようだから言っておくが、この子はそなた達の“妹”ではない。“姉”です」
……………………はい?

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2006年08月10日 21時38分59秒

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「斎王神誕生秘話・21」
ポンッと右手の拳で左手の掌を叩いたヘーパイストスは、言った。
「僕、馬車が欲しいです」
「馬車だと?」と、ゼウスは聞き返した。「馬だけではなく、馬に引かせる車も寄越せと言うのか?」
すると、アレースが納得したように言った。
「そうか。おまえは色んな工芸品を作るから、それを乗せて移動するものが必要なんだ」
「そうなんです、兄上。それに僕の足は乗馬には向いていないようだし。その点、馬車なら」
「いや、乗馬は訓練次第だと思うけど。でも、馬車はいい提案だと思う。ね? 父上?」
「ああ…まあ…わかった、くれてやる」

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2006年08月03日 10時17分14秒

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「斎王神誕生秘話・20」
アレースの言葉に頷いたので、ヘーラーは、
「では、男の子達は出ておくれ。レディーが着替えをするのですから」
ハーイ! と返事をして、ヘーパイストスとアレースは部屋を出て、廊下で待つことにした。
頭に包帯を巻いたゼウスが歩いてきたのは、そんな時だった。
「あ、父上。お怪我は如何ですか?」
アレースが聞くと、ゼウスは気恥ずかしそうな顔をして、
「まあ、な。もう痛くはない」
「聞きましたよ。ヘースに助けてもらったそうですね」
アレースの言葉に、尚も難しそうな表情を見せるゼウスを、アレースは面白いと思った。
「お礼に、ヘースのことも、僕達同様に我が子として扱ってくださるんですよね?」
「ああ、そうだな」
「じゃあ、早速その誠意を見せてください」
「な、なんじゃと!?」
まだ心の準備が出来ていなかったのか(先刻は痛みによる勢いで言ってしまったことだし)、ゼウスは困ってしまった。
「なにをしろと言うのだ?」
「先ずは手始めに、ヘースの欲しいものをあげてください。ヘース、なにか欲しいもの、ある?」
ヘーパイストスはしばらく悩んだ。――欲しいもの…必要なものは…。

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from: エリスさん

2006年08月02日 11時12分59秒

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「斎王神誕生秘話・19」
「だけどその格好のままでいられるわけないじゃない? だからヘーベーの服を着せてあげようと、この部屋に連れてきたのに、あの子が脱ごうとしないのよ」
と、エイレイテュイアが説明すると、アレースはしばし考えた。
「ヘース、あれは僕にくれるって言ってた甲冑かい?」
「うん」
「そうか。じゃあ、答えは簡単だ」
アレースは押し問答をしている二人の方へ近付き、こう言った。
「心配しなくていいよ、取り上げたりしないから」
キョトンとする少女とは対象に、訝しんでヘーラーが言った。
「どういうことだ?」
「その子はヘースを気に入っているんです。そのヘースに、初めてもらったプレゼントだから、手放したくないんです。そうだろ? 君」
その問いに、少女は頷いた。
「その甲冑ね、僕がもらう約束をしてたんだけど、君に譲るよ。ヘース、また別の甲冑を作ってくれるだろ?」
「うん、いいよ」
「そうゆう事だからさ、安心して着替えな」

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from: エリスさん

2006年08月02日 10時53分20秒

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「斎王神誕生秘話・18」
アレースが子供部屋に入ると、母・ヘーラーと小さな女の子が、
「脱ぎなさい」
「いやぁ」
「言うことをお聞き」
「いやなのぉ」
と、押し問答をしていた。見れば、女の子が着ているのは甲冑だった。それを素肌に着ているので、ヘーラーが普通の服に着替えるように説得しているようだった。
アレースは入り口の近くにいた姉のエイレイテュイアに声をかけた。
「なんであんな格好してるの?」
「あら、お帰り。それがね、ヘースの親切心が仇になったというか…」
そこへ、ヘーパイストスが近寄ってきた。
「僕がいけないんです。あの子が裸だったから、つい…」
ゼウスの血まみれの顔を見せられて、少女は恐怖でヘーパイストスに抱きついた。その時、ヘーパイストスは恥ずかしくなってしまって、つい、傍にあった甲冑を彼女に差し出してしまった。
「これ、着て」
すると少女はとても喜んで、その甲冑を身につけた。

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2006年08月01日 10時25分33秒

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「斎王神誕生秘話・17」
ゼウスの後頭部から女の子が生まれた話は、剣術の稽古に行っていたアレースのもとへも知らされた。
「それホント!? じゃあ、僕の妹になるんだ」
川で水浴びをしながら聞いていたアレースは、まだ体が濡れているのに服を着ようとして、従者に止められた。「ちゃんと体を拭いて下さりませ。みっとも無うございますよ、御子様」
「ごめんゴメン。嬉しくて、つい。そっかァ、妹かァ、可愛いかなァ? でも父上が生んだんじゃ、父上にしか似てないのかな?」
アレースが体を拭きながらそう言うと、知らせに来てくれた侍女が言った。
「大層お美しい姫御子さまでございますよ。陛下の前の奥様・メーティス様によう似ておいでです」
「それって、父上と融合したとか言う?」
自分が生まれる前の話だが、ウーラノスの呪いにより、我が身を犠牲にしてゼウスを守った妻がいたことを、アレースも聞いていた。
「じゃあ、早速見に帰ろう!」
本当ならこの後、大好きな釣りをしようと釣り竿を用意していたのだが、それを従者に押しつけて、自分だけ走って社殿へ帰って行った。

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from: エリスさん

2006年07月30日 23時00分06秒

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「斎王神誕生秘話・16」
一糸纏わぬ美しい少女が目の前に立って、ヘーパイストスはしばし見惚れてしまった。それはそうだろう。幼いとは言え、異性の裸体を見たのは初めてなのだから。
少女の方は、まだ恥じらいを知らないのか、にっこりとヘーパイストスに微笑んで見せる。
その笑顔を見て、ゼウスはハッとした。
「そなた、もしや!」
と、ゼウスが顔を近付けると、少女は悲鳴をあげてヘーパイストスに抱きついた。
思わず、頬を赤らめた純情なヘーパイストスだった。
そしてヘーラーは、ゼウスの顔面を鷲掴みにして、押し戻した。
「あなたは早くその血を止めていらっしゃい!」

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from: エリスさん

2006年07月30日 16時21分09秒

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「斎王神誕生秘話・15」
“パコッ”と音がして、ゼウスの後頭部に小さな割れ目があいた。その時にゼウスは「ウッ」と呻いたが、先程までの頭痛に比べれば、たいした痛みではなかった。
「いいよ! 出ておいで!」
ヘーパイストスが声をかけると、勢い良く少女が飛び出してきた。本当に小さくて、目を凝らしていないと見逃してしまいそうだった。
けれど、ヘーパイストスには良く見えているらしく、こう言った。
「うわァ! 可愛い! こんなに小さい子だったんだ」
それを聞いた女の子は、『そっか、私、小さいんだ』と思い、空中に浮いたまま、大気を思い切り吸い込んだ。すると、みるみる大きくなって、ヘーパイストスと同じ背丈になって彼の前に着地した。

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from: エリスさん

2006年07月29日 21時20分10秒

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「斎王神誕生秘話・14」
一方、ゼウスの頭の中にいる少女は、ようやくヘーパイストスが助けてくれるのに気付いて、暴れるのを止めた。
少女にはヘーパイストスが橙色の光に包まれているように見えていた。少しあごが出ているけれど、優しそうな容貌をしたヘーパイストスは、今の少女にとって、まさに王子様だった。
「いいかい、君のいる場所より少し右へ行った所を割るからね。僕がいいって言うまで、動いちゃダメだよ」
ヘーパイストスの言葉に、少女は頷いた。
「よし、いい子だ」
ヘーパイストスは斧を振り上げた。

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from: エリスさん

2006年07月26日 10時40分43秒

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「斎王神誕生秘話・13」
「おまえがいなければ、わしゃ生きてはいけん! そればかりは勘弁してくれェ!!」
浮気ばかりしていてもヘーラーにベタ惚れなゼウスは、ヘーラーの足に縋りついて訴えた。
「それなら、ヘーパイストスの要求を受け入れ、この子に助けてもらいますね?」
ヘーラーが言うと、
「もうなんでもする! だから助けてくれェ!」
「よろしい。ヘース、やっておあげ」
「はい、お母様」とヘーパイストスは言った「では…」
ヘーパイストスは抱えていた甲冑を置いて(ずっと持っていたのね〓)、剣の代わりに腰にさしていた小型斧を手に取った。
「それじゃ、お・と・う・さ・ま。そのまま座っててくださいネ」

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