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from: ueyonabaruさん
2012/01/24 17:52:06
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世界中の銀行が凍結する日(クル-グマン)
VOICE誌2月号で、クル-グマン教授が語っております。
私の大きな関心は、幸福実現党の経済政策である、増税への反対論が正しいのかどうなのかということです。次とおり、クル-グマン教授の発言を見てみます。
(ユ-ロ圏の経済とインフレの関係)
・・・・・ヨ-ロッパはインフレのリスクにありません。逆にユ-ロ圏で次の五年間のインフレ率が三%以上にならなければ、どうやってこの事態(現在のヨ-ロッパの経済苦境)を解決するのか、その先がみえにくい。もし実際に一%しかインフレにならなければ、それはもうカタストロフになります。イタリア、スペインなど周辺の国が最悪の状態になるでしょう。
(今後一年後の世界経済はどうなるかと訊かれて)
ヨ-ロッパはひどい状況になっているでしょう。実際のところ、分裂の可能性がある。アメリカはおそらくいまほど悪くないでしょうが、もちろんヨ-ロッパ危機に影響されます。中国はリセッションになっている、そう思うと気が滅入ります。
(アメリカの今後)
民間企業が息を吹き返してきた兆候が出ています。住宅投資が低い水準が長く続いたので、いまは供給が足りない状態です。2012年はその住宅投資が回復し始め、他のセクタ-を押し上げ始めるでしょう。さらに新しいテクノロジ-が生まれ、それが投資につながっていくと思います。
(先進国の金融緩和は新興国のインフレを導かないかと問われ)
ポイントは、もしアメリカが二%ではなく四%のインフレであれば、同じく日本もマイナス一%ではなく四%のインフレになっていれば、状況はもっとよくなっていただろう、ということです。インフレはいまの時点では、望ましいのです。問題は、そのインフレをどうやって起こすか。最初の段階において、財政拡大をしないできっかけを生み出すのは非常にむつかしい。インフレ目標はとてもよいことですが、それを現実的に引き起こすにはどうするか、を考えねばなりません。そこでは財政的な筋力が必要になる。
(格差社会の生成の原因がグロ-バリゼ-ションにあるのかと訊かれ)
グロバ-バリゼ-ションが主要な要素ではないと思います。・・・・・。格差問題が大きく生じたのは、アメリカ、次いでイギリスです。この二国では市場原理主義が最も進みました。・・・・。金融の規制緩和こそが原因です。いま最も収入を得ている人のほとんどは、金融界の人間ですから。さらにいえば、・・・・・社会規範の変節も関係しています。具体的には労働組合の衰退。以前からCEOは自らの収入を自分で決めていましたが、かつては高すぎる給料を設定するのを怖がっていました。反発に直面すると思ったからです。しかし、1980年代の始めから、その反発を気にしなくなりました。・・・・・格差が広がった原因は、政治的、そして社会的なものです。・・・・・。グロ-バリゼ-ションは、スキル格差が広がった要因といえるでしょう。高い教育を受けた人が、あまり教育を受けていない人よりも仕事ができる環境をつくり出した。・・・・・。広い格差問題のほんの一部、ということです。
(格差は縮小するのかと訊かれ)
(格差は)そう簡単には縮まりません。中産階級の仕事を海外にもっていかれたり、ITの発達で、これまで人間を使っていた部分がロボットでもできるようになったことも影響しています。そのような社会の変化が深く関係していることを踏まえれば、簡単な解決策はない、ということがわかるでしょう
(続く)
コメント: 全2件
from: ueyonabaruさん
2012/01/25 19:08:51
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「Re:世界中の銀行が凍結する日(クル-グマン) その2 」
続きです
(日本のデフレなどの現況について)
その問題について最近よく考えるようになりました。そこからわかったのは、日本はかなり珍しい国であるということです。ほとんどの国は経済が落ち込んでも、非常に低いインフレになるだけで、デフレにはなかなかなりません。ですから、日本のように年に一%、二%と物価が下がっていく国を見つけるのは難しい。
なぜ日本が実際にデフレになったのか。それをずっと考えています。・・・・・。私は日本の失われた十年は十九年目に突入したといっていますが、ずっとデフレであったことは間違いありません。しかしこの時点で日本は比較的マイルドです。人びとはもちろん不満だらけで、やる気をなくしてしまう状況かもしれません。しかし、アメリカやヨ-ロッパに見られるような大量の不満分子を生んでいる、というわけではない。ですから最近は、日本がかなりよくみえます。
(課題を抱える日本に対してなにかメッセ-ジがあるかと問われ)
国家債務についてヒステリカルになりすぎない、ということです。2002年にS&Pが日本国債を格下げしましたが、結局のところ、何も起こりませんでした。これほどの借金があり、問題が解決しているわけでもありませんが、現時点で日本は悪いモデルではないのです。ヨ-ロッパで起こっていることに比べれば、日本は非常に幸せな国であるとすら思えます。
(東日本大震災と日本の経済との関係での問題点があるかと問われ)
まったくありません。日本もアメリカ同じですが、自分の国がどれほど裕福であるかを忘れていますね。巨大な地震が起きてすら、経済全体及ぼす影響は小さい、ということです。
(日本に対する政策上のアドバイスについて訊かれ)
インフレ目標は正しい。・・・・・。ほんとうに経済を完全雇用の状態に戻すには、大きなプッシュが必要になる。そのあとにインフレ目標を定め、実質金利がマイナスになるようにすれば、個人消費を促進する環境が生まれます。それができれば、公共の負債も減る。
歴史をみれば、借金を大幅に減らした国を見つけることができます。イギリスがそうです。過去200年のイギリスの国家債務とGDPの割合をみてください。いまの日本より高いときが、一時的にしろあったのです。しかしデフォルトはしなかった。その状況を頑張って、切り抜けたのです。
(国家債務の対策として、野田政権が増税をしようとしているがと訊かれ)
いまはそれを勧めません。まずは経済を先によくすることが必要です。そのあとに増税するのは賛成です。
(日本へのメッセ-ジを求められ)
いいたいのは、あまり心配するな、ということです。日本の状況はこの二十年、ほとんど変化していません。現状と共生しているのです。国債が暴落するとか、超円高になるかもしれないとか、そういう心配をする必要はない。しかし、日本はこの状況に慣れていますが、他の国はそうではない。だから私は恐れているのです。
from: ueyonabaruさん
2012/01/26 11:21:34
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「Re:世界中の銀行が凍結する日(クル-グマン) その3」
クル-グマン教授の経済論をVOICE誌2月号の記事から見てまいりました。教授の物言いは、具体的でありわかりやすく感じました。
なお、皆さんにも実際に記事を読むようお薦めします。
幸福実現党の「今は増税すべきではない」の主張をクル-グマン教授は支持していることになりますね。また、インフレ目標を挙げることも同じ考えになります。
財政危機が叫ばれておりますが、教授はこれに対し怖れるなということを言いますし、実現党と同じです。積極策ですね。教授は、「いま重要であるのは、最後になるであろう、あと1回の財政拡張です。日本はずっとスポイト式、つまり1回に一滴を垂らすというようなやり方をとってきたわけですが、ほんとうに経済を完全雇用の状態に戻すには、大きなプッシュが必要になる。」と言います。大きな財政支出をいまやるべきだということでしょう。 これは実現党が主張する、大震災に対応する大型財政出動と軌を一にするものです。教授としては、さらにこれより大きな財政出動をと言っているのかもしれません。
教授は、いまのアメリカの状況は日本の状況よりも悪いとし、このように言います「自国がかつての日本より悪化しているからです。いまのアメリカ何が問題かはわかっていても、それを実行する政治力がもはやありません。いったい、リ-ダ-どこにいるのでしょうか。恐ろしいことです。」。
アメリカにリ-ダ-がいないと同様こちら日本でもリ-ダ-はいないようですね。民主党も自民党も増税論です。自民党の場合は、しかし、経済成長論はありますね。すこし期待はしてはおります。
そもそも増税論の根拠は何でしょうか? これは、単なる常識論かもしれません。三宅さんも増税容認論者ですが、常識的なものの考えではそうなるでしょう。足りなければ、国民に出してもらうしかないわけで、そうでもしなければ計算の辻褄が合いませんから。
ところが、クル-グマン教授のような経済学者たちの考えは、巷の常識的な経済論ではありませんね。我々には理解が難しい金融論が加わってきます。金融論を知らなければ、ホントに経済論を論じることができないように思います。それにしても、大川先生の知性には驚嘆させられます。クル-マン教授と対等に先端の経済論を語ることができる方なのかもしれません。
これで、クル-グマン教授のことはおしまいにしますが、みなさんどうぞ、VOICE誌の記事をご自身でお読みくださいね。
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