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恋愛小説発表会〜時にはノンジャンルで〜

恋愛小説発表会〜時にはノンジャンルで〜>掲示板

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  • from: エリスさん

    2007年09月26日 17時46分19秒

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    「露ひかる紫陽花の想い出・51」
     どうしたの? と問いかけられても、振り向きもしない――今の表情を見られたくなくて。
     「どうしちゃったのよ。変な三郎」
     「どうせ変だよ」
     「……直人?」
     少将はそっと、相手の顔を覗き込む。そんな彼女に、彼はいきなり両腕を相手の首に絡めて、背伸びをした。
     唇が触れる。
     少将がびっくりするのも無理はない。
     「少将は……八重姫は僕のだからね!」
     「なんなの、突然。今のどこで覚えたの」
     「僕は絶対、誰にも八重姫を渡さないから!!」
     「それは嬉しいんだけど、ねえ、私なにかした? 私、直人と別れる気なんてないよ」
     三郎は今にも泣きそうな顔で少将を見上げていた。
     「本当に僕と別れない? ずっと夫婦でいてくれる?」
     「いるわ。あなたが飽きるまで」
     少将が言うと、三郎は目を伏せて言った。
     「……ごめん」
     「いいよ、謝らなくて。……不安、だよね。お互い初めてだから」
     「いや、そんなことじゃないんだ」
     今、彩のことが嫌いになった。
     いなくなって欲しい――少将の心を占めてほしくない。
     『変だ。こんな気持ちになるなんて』
     初めて感じた、醜い感情――これが嫉妬だと知るのは、まだ先のことだった。



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  • from: エリスさん

    2007年09月26日 17時37分23秒

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    「露ひかる紫陽花の想い出・50」


     三郎が訪ねてきたのは、それから一週間後。婚儀を明日に控えてのことだった。
     久しぶりに会った二人は、恥ずかしさに笑うしかなかった。
     「寝込んだんだって?」
     少将が言うと、負けじと三郎が、
     「具合悪くしたって?」
     と、やり込める。
     二人は笑いあいながら、庭の中を散歩していた。
     池のほとりの紫陽花が少し色褪せ始めていたが、昨夜の雨で濡れた花びらが朝日に輝いて、なかなか風情ある見ものになっている。三郎がそれを眺めているのを、少将は少し下がって見つめていた。
     二人が出会ったのも、この紫陽花のおかげ。まさに記念すべき花ではあるのだが、それにも増して、興味深いことが少将の脳裏に浮かんでいた。
     「ねえ、ちょっとこっち向いて」
     「ん?」
     振り返った彼の背景に、露光る紫陽花……。
     これほどまでに三郎の美しさ際立って見えようとは、予想以上のことに少将も感動を隠すことができなかった。
     「綺麗よ、とっても。……三郎は可愛いものだとばかり思っていたのに」
     「もう、いつまで子供扱いするつもりさ。明日には元服するのに」
     「うん、だから、大人として綺麗よ」
     少将の言葉に、照れ笑いをして、
     「あのさ、彩の君様もこの花好きなの?」
     と、話の矛先をかえた。
     「そうね。好きな花の一つではあるわ。でも、一番愛でていらっしゃるのは藤の花よ」
     「藤か……あそこにある?」
     三郎は池の奥にある藤の木を眺めながら聞いた。
     「ええ、そう。なんでもお嬢様がお生まれになった日に植えられたとか。それでかしら、いつも藤や紫色の衣装をお召しになるのは」
     少将は熱っぽく彩のことを語りだした。――今は夏だから薄い色を好んで着ているけれど、冬物の衣装は、表に出るほど濃くなる紫の襲(かさね。正式には「匂い襲」という)がほとんどで、殊に藤色の表着は彩が自身で柄を付け、染め上げたので、金糸が入っているかのように輝いて見える。また、早起きな彼女は朝もやの中を歩くのが好きで、その姿で霧の中に立っていると、見ているほうはあまりの麗しさに、藤の木霊(こだま)が現れたのかと思ってしまう。それはきっと、霧のおかげで彩の汚点(容貌の醜さ)が隠れて、美点だけがあらわになるからだろう、などなど。
     「本当よ、私たち誰もが目を奪われてしまうほどお美しくて、木霊どころか姫神様とさえ思えて……」
     「もういいよ」
     三郎は顔を背けてしまっていた。

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  • from: エリスさん

    2007年09月26日 17時14分32秒

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    新風舎のホームページに関するご報告

     私が「罪ゆえに天駆け地に帰す」を出版させていただいた出版社・新風舎。そちらのホームページ「クリエイターズワールド」でも、私のブログがあったのですが、このたび、そちらのブログを閉鎖することになりました。

     早い話が、契約を打ち切りました。

     どうしてかと言うと、問題点が二つありまして。

     一つは、更新料がかかるということ。半引き籠もりを止めて働き出したとは言え、すでに貯金が減っているこの状況で、また出費するのは結構な痛手。また貯金が貯まったら自費出版なり、できればまた共同出版でもしたいと思うので、それまではケチケチでお金を貯めることにしました。

     もう一つの問題点は、アクセス数。

     こちらのサークル「恋愛小説発表会・改訂版」だと、更新した(小説をアップした)次の日は200ぐらい。更新しない日でも60ぐらいのアクセス数があります。
     もう一つの小説サークル「神話読書会〜女神さまがみてる〜」にいたっては、更新した次の日はアクセス数が1000から600ぐらい。更新しない日でも200アクセスはいっているものなんです。
     なのに新風舎のブログは、一週間で――1日ではありません、一週間で! 20しかアクセス数がないんです。
     ……どこまで知名度が低いんだ……。
     そこまで読者が少ないと、あまりやる気が起きません(いけないことでしょうが……)

     そんなわけで、新風舎のホームページからアクセスする私のブログは、近々閉鎖することになりましたので、ご報告いたします。

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  • from: エリスさん

    2007年09月21日 16時49分37秒

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    「露ひかる紫陽花の想い出・49」
     「似たもの同士で良い夫婦になるでしょう」
     彩は言うと、立ち上がり、
     「慰めてきますわ」
     と、その場を後にした。――とどのつまり、彩だって心配していたのである。
     東の対に行くと、少将がお腹を抑えてうずくまっていた。
     「少将、大丈夫?」
     少将は素直に答えた。
     「お腹が痛くて死にそうですゥ!」
     「あらあら」
     彩は傍まで行くと、少将の肩に手をかけて優しく話しかけた。
     「しっかりするのよ。あなたがそんなことでは三郎殿も怖がってしまうわ」
     「でもォ……」
     自分の方が導いてあげなくてはいけないなんて……と、少将は真っ赤になりながら内心嘆いた。
     「まあね、気持ちは分かるわ。私もお腹が痛くて辛かったもの」
     え? と少将は聞き返す。彩が白百合の上から話を聞いた後は、そんな様子は微塵もなかったからだ。むしろ、あの元気印の薫の君の方がうろたえてしまって、彩だけを傍にいさせて、他は誰も部屋の中へ入れさせなかったのである。
     「薫の君様は、ああ見えて繊細な方だから。……あの後、すぐにも左大将様と結婚するはずだったのに、できなかったのは、薫の君様が恐怖を持たれてしまわれたから。本当に可哀想なほど、うろたえてしまわれて。その上、慰める私まで弱気になったら、薫の君様はもっと深みにはまってしまったでしょう? だから必死に耐えていたのよ。こうして、薫の君様を支えてあげながら……」
     彩は自分の方へ少将を抱き寄せて、彼女の後ろ髪をかきあげるようにして支えた。
     「こうしていると落ち着くって、あの方はおっしゃっていたわ。……おまえはどう?」
     「はい……とても……」
     今、一瞬で安心感が拡がった。
     姉のように、母のように、包んでくれる彩が、今までにないほど愛しく思える。
     離れたくない――離したくない。
     この想いが何なのか分からない、けれど、時が止まってほしいとまで思える、そんなひと時。
     少将は、彩にすがるようにして、彼女の胸に顔を埋めた。
     「まだ子供ね、と彩は思いながら、いっそう腕に力を籠める。
     途端、彼女の唇から声が零れる。
     言い知れぬ感覚……。
     これ以上の安らぎは、ない。



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  • from: エリスさん

    2007年09月21日 16時03分09秒

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    「露ひかる紫陽花の想い出・48」


     三郎が寝込んだことは、楓の口から尼君に伝わった。
     「我が子ながら可愛くって」
     と楓が笑っていると、尼君が困ったような顔をしていた。
     どうしたの? と聞くと、尼君が答えた。
     「うちもやらなきゃ」
     「……は?」
     「少将よ。彼女にも教えておかなければいけないわ」
     大概女児の場合、初めて月の障りが来た時に母親から教わるものだが、少将は母親がいないし、親代わりとも言える尼君も俗世を離れてその手のことは無縁でなくてはならなかったので、何も教わってはいなかったのである。
     「あら、それじゃ彩の君も?」
     「ああ、あの子は大丈夫。源氏の三の君の時に……」
     薫が裳着の式を挙げる前日、ついでだからと彩も誘われて、白百合の上(源氏の正室)から教わっていた。今思えば、あのとき少将も同席させるのだったと悔やまれる。
     「こんな環境にいるから、まったく知らないことはないでしょうけどね。仕方ないわ、彩に話させるわけにもいかないから、今晩あたり私のところへ呼んで……」
     「姉様、それなら私が」
     楓が嬉々として申し出た。
     「私には娘がいないでしょう。だからやってみたかったのよ。いいでしょう? 私はあの子の姑になるのだし」
     「あら、それじゃお願いしようかしら」
     尼君は早速、寝殿に使いを出して、少将に東の対へ行くように伝えた――なぜ東の対かと言うと、寝殿にも西の対にも、おませな童女が何人かいて、年齢からいってまだ聞かせるのは早いので、人のいないところで教育させようとの意図である。東の対ならば、主人の伊予の守(いよ の かみ)は家族ともども任国へ行っているので誰もいない。
     少将は楓と二人っきりになって話を聞くことになった。
     だいぶ気にかかると見えて、尼君は彩の部屋へ来て、二人が戻ってくるのを待っていた。そんなそわそわしている様子がおかしくて、彩は思わず吹き出してしまう。
     「尼僧の方とは思えぬ程の心配ようですこと」
     「なんとでもおっしゃい。おまえの時だって気が気じゃなかったんですよ。何しろ恐怖心を与えてはならないから」
     しばらくして、楓だけが戻ってきた。
     「私では役者不足だったみたい」
     と、楓が申し訳なさそうに言う。
     案の定、少将も具合を悪くしてしまったのである。

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  • from: エリスさん

    2007年09月21日 11時31分32秒

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    「昨日の兄妹の会話・2」

     あ!?
     びんちょうタン!

    私「わァい! お兄ちゃん、ありがとう!」
    兄「いやいや」

     こんなオタクな兄妹に、春はまだ遠い。

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  • from: エリスさん

    2007年09月21日 11時28分11秒

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    昨日の兄妹の会話・1


    兄「がんばって仕事をしているおまえに、これをやる」

    私「え? なになに?」

     七輪の上にサンマ?
     ちなみにその日の夕飯は、サンマの塩焼き。

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  • from: エリスさん

    2007年09月12日 18時27分23秒

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    「露ひかる紫陽花の想い出・47」
     「あんまり深く考えてはいけないよ。まだ二人とも若いのだし、焦ることはないんだからな」
     左大将の言葉に、いつもの元気のよさで、ハイ、と三郎が返事をした。
     すると彰が、最後にいいことを教えよう、彼の耳元で何事か囁いた。
     三郎がキョトンとした顔になる。
     「そんなんでいいの?」
     「魂を同調させる、という意味があるんだ。立派な結婚の儀式さ。そういった意味では、わたしも、左大将殿も、最愛の人と結婚していることになるのかな」
     「そうか……そうなのか。要は魂が結ばれればいいんですね」
     すっかり立ち直った三郎は、こんなにも自分を励ましてくれる二人を、本当の兄上みたいだな、と感じるようになっていた。

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  • from: エリスさん

    2007年09月12日 18時17分22秒

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    「同僚の男の子」
     ところでこの◆◆君が、見た目の割には繊細な子、と言われているのは前にも書いたと思いますが……。

     私ってば、またショックを与えてしまいました。(^_^)ゲラゲラ

     あっ、その前に。以前私が彼に与えてしまったショックとは何か、を書かなければなりませんね。
     「私ってバイ(・セクシャル)なんだよ」
     って正直に話したら、あまりのショックに彼は持ち場を離れて、先輩である女性に愚痴りに行ってしまったんです。

     「エリスさんの凄い秘密を聞いちゃいました」

     先輩のSさんはその時「○○君に振られた話かな?」と見当をつけていたら、あまりにも今更な話だったので、笑ってしまったとか。
     だって私、別に自分が「男性も女性も好きになる」ってこと隠してないし。


     そんなわけで。
     で、最近あたえてしまったショックですが。
     お互いの両親の実家の話になりまして(仕事中に何を話してるんだ? と叱らないでね)、私の父の実家が旧家で、しかも跡を継いだ叔父夫婦には子供がいないから、このままだと本家が潰れる、ということを話したんですね。そしたら、

     「じゃあ、エリスさんが本家を継いじゃったら? チャンスじゃないですか(お金持ちになれる)」
     「そうなんだけど、それには条件があるんだよね」
     「どんな?」
     「再従兄(はとこ)と結婚しないといけないのよねェ」
     「え? どうゆうこと?」
     「本家って今は普通に農家なのよ。だから農作業ができる人間が跡を継がなきゃならないんだけど、私にできるわけがないし、で、再従兄(はとこ)を後継者にするって話が出たときに、私が嫁として入るって条件が付いてしまって。それを信じているのか、向こうは未だに誰とも結婚していないし、私も独身だし」
     「え? は? 何?」

     分からないか、君の世代では。
     しかも悠長に説明している暇がその後なくなってしまったので、またショックを与えてしまったまま、しばらく会えない状況に突入しました。


     ので、ここで説明します。
     私の父の実家は、そもそも近江の豪族・佐々木家から枝分かれした一族で、それが北の方へ移り住んで、今の姓名になりました。なので新潟県にはその名に近い駅名まであります。成立したのは鎌倉時代以前かな。一族の中に、新潟に流されてきた親鸞聖人の直弟子になった者がいる、という言い伝えが残っていますから。
     そのころは武家だったんですが、今はしがない農家。時代の流れなんで仕方ないですが、今も当時の品が数点残っています。
     家紋入りの直垂とか、刀とか、いろいろ。その内の刀は私の父親が受け継ぐ――というか、勝手に持ち出してきました。なんでも、戦後にマッカーサーが「刀狩」みたいなことをやったらしいのですが、うちの父親は、
     「家宝を米兵なんかに取られてたまるか!」
     と思って、数本だけ縁の下に隠したそうなんです。祖父にも内緒で。で、それを上京するときに持ち出してきたと……叔父さんたちに知れたら問題になりそうだけど、たぶん祖父も叔父たちも、刀はすべて米兵に持っていかれたと思い込んでいるので、おそらくバレないでしょう。

     さて、本来、本家を継ぐべきは長男のはずなんですが、その長男である私の父が家を飛び出して東京へ行ってしまったので、跡は四男の叔父さんが継ぎました。しかし叔父さんには子供がなく、このままでは本家が潰えるということで、私たち兄妹は子供のころから、

     「新潟の本家を継いでくれ〜」

     と言われ続けていました。特に兄は言われました。

     「男なんだから農作業だってできる!」

     いや、無理だから。兄貴は今では立派なオタク。

     「エリスが継いでくれるんなら、再従兄(はとこ)の××を婿に取らせれば、農作業に問題はないし、血筋も繋がる」

     困ったことに、その再従兄って祖母の方の血筋の人なのよね。本家の血は引いていないんだ。
     しかもまあ、その再従兄ったら「全然知らない女の子と結婚するぐらいなら、エリスちゃんと結婚する」って、親戚連中の前で言ったらしいんだ、まだ小学4年生の時分に!!
     私の意志は無視かいッ!
     そんでもって私は、子供のころから、好きな男の子ができたりすると、親の監視がうるさかった……。だから隠れてボーイフレンドと会ってたりしてたわね。だけどそれも限度かな? って歳になったときに、正直に母親に、
     「明日、会社の同僚とデートするから」
     って告白したら、初めのうちは、まあしょうがないわね、あんたももう30代だし、みたいな感じで許してくれそうな雰囲気だったんだけど……。
     「で? 相手の男性の歳は?」
     「……24歳」
     「9歳も年下の子と付き合うなんて、絶対許しません!!!!」
     ってことになって、デートをキャンセルさせられた..........。
     翌週の月曜日、私ゃその彼に平謝りしましたよ。
     「いや、先輩。気にしないでください。デートなんてまたその内、いくらでもできますって」
     それが出来なくなっちゃったのよね。私がセクハラ被害にあって会社を辞めて、母が体を壊して寝たきりになってしまって、それ以後は音信不通に……。
     
     そんな感じなので、その再従兄が未だに結婚しないのは、まさかあの子供のときの発言を今でも貫いているからなのかと、心配になりますが。
     しかし私の父の方は、もう私に本家を継げとか言わなくなったし、数年前から。それと、母が私のデートを邪魔してしまったことを、どうやら生前に気にしていたらしく、そのことも知っているので、最近は、私が仕事帰りに同僚とお茶しようが飲んで帰ろうが、怒らなくなりました。
     だから、私が望んでもいない結婚を強要するようなことは、ないでしょう。
     このまま本家は潰える道を選ぶと思います。

     と、いうわけで。◆◆君、私は家のために好きでもない人と結婚するような無茶はしませんから、そろそろショックから立ち直ってね。

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  • from: エリスさん

    2007年09月06日 15時15分58秒

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    一人でいると

    あの人のことばかり思い出すから、女ってヤツはまったく……と、自分がなさけなくなる。

    今日は星占いでも血液型選手権でも、魚座でB型の私は恋愛運絶好調なんだそうだ。こうゆう日にアプローチすると巧くいくらしいが……

    仕事場でしか会えない相手で、しかも私も相手もお休みの日に、どうアプローチすればいいと言うんだぃ!

    私はつくづく運に見離されてるよ。

    今頃、あの人はなにをしているんだろう? と思った時、
     どうせ彼女といるんだろうな、という邪推と、
     就職試験の勉強をしているのかな、という応援したい気持ちが、
    矛盾したまま絡み合って、気が変になりそう。

    とは言え私も考えなきゃならない。
    役者になる夢を捨てて普通に就職しようとするあの人にとって、
    これからも作家になる夢を追い続けるためにフリーター兼主婦でいる私は、
    きっと重荷になると思う。
    あの人が最近私に冷たいのは、そうゆうこともあるんだろうな。

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