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恋愛小説発表会〜時にはノンジャンルで〜

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  • from: エリスさん

    2011年05月27日 11時40分29秒

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    「夢のまたユメ・21」


     「家まで送るよ」という翔太の言葉を丁重に断って、百合香は一人で帰ってきた。――まだ帰り道は薄暗い程度で、それほど怖くなかったからというのもあるが、家にいる兄・恭一郎にだ会わせるのが恥ずかしかったというのが一番の理由だった。
     玄関をあけると、姫蝶が座って待っていた。
     「みにゃあ!」
     「ハ〜イ! ただいまァ〜!」
     百合香はさっそく姫蝶を抱き上げて頬擦りをした……すると、姫蝶は鼻をヒクヒクとさせて、百合香の頭の匂いをかいだ。
     「なァに? どうしたの、キィちゃん」
     百合香が聞くと、姫蝶は「フニャア!」と怒りながら猫パンチ(爪は立てず)で百合香の頭を二、三回叩いて、床へ飛び降りた。
     「へ? 何?? どうしたの???」
     百合香が訳も分からず呆然となっていると、二階から恭一郎が降りてきた。
     「おまえの頭の匂いがいつもと違うからだろ?」
     「頭の匂い?」
     「いつもはバラの匂いのシャンプーを使ってるのに、どっかのホテルの安いシャンプーなんか使うから、百合香じゃないと思ってるんだ」
     「え? ……ええっと……」
     先ず、兄にホテルに入ったことがバレていることに恥ずかしさを覚えるのと同時に、未だに姫蝶が自分の足の匂いを嗅いで「私のお姉様か確認中」な様子なのに、寂しさを覚えて居たたまれなかった。
     「とりあえず、しゃがんでみろ」
     と恭一郎は言った。「人間の脇の下からはフェロモンが出てるって言うから、そこでキィにおまえだって確認してもらえ」
     「う……うん」
     言われてみれば、姫蝶は膝の上に乗せていても、百合香の脇の下に顔を埋めるのが好きだ。なのでおそるおそるしゃがんでみて、「キィちゃん……」と声をかけながら、ちょっと腕を上げてみた。すると、ピクッと鼻を動かした姫蝶はすぐに百合香の脇の下の匂いを嗅ぎだした。
     「みにゃあ(^O^)!」
     ようやく百合香を「私のお姉様」と認めた姫蝶は、何度も何度も頭を、百合香の脇や胸にすり寄せてくるのだった。
     「今日はもうキィを抱き上げるなよ。風呂の時にいつものシャンプーで洗いなおせば大丈夫だ」
     「うん、そうする」
     「夕飯は済ませたのか?」
     「ううん、まだ。冷蔵庫に夕飯は用意してあったから、キイの夜ご飯をあげたら、私もご飯にするわ」
     「そうか……まあ、なんだ……」
     恭一郎は咳払いをして、言った。
     「今度、連れて来い。見定めてやる」
     「……ハイ、オニイサマ……」
     もう、恐縮するしかなかった。


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  • from: エリスさん

    2011年05月20日 13時58分02秒

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    今日は更新日のはずですが....

     実はたった今まで仕事(映画館スタッフ)してました。


     ただでさえ収入が減った影響で、ネットカフェに来るのを2週間に一回にしていたのに、さらに回数を減らすようなことになってしまって済みません。
     実は同僚に就職活動中の後輩がいまして、その子が今日急に面接を受けることになったんです。それで代わりに仕事に入れる人が誰もいなかったので、やむなく私が入ることにしました。
     こうゆう時、その子を見捨ててでもネット小説を優先するぐらいの強引さがあれば、プロの小説家としてやっていけたかもしれませんが……すみません、小心者なもので、それができませんでした。


     今日小説が書けなかった代わりに、近いうちに更新したかったのですが、仕事のスケジュール上やはり来週の金曜日までできそうにありません。なので、次の更新は来週の27日におこないたいと思います。もちろん、その翌週の6月3日も更新する予定です。


     そろそろ地震の影響による「人件費節約のための勤務時間カット」も少なくなると思うので、そうすれば収入も元に戻るとは思いますから、近いうちに以前どおりの毎週金曜日の更新に戻れます。それまでご容赦ください。

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  • from: エリスさん

    2011年05月08日 17時29分32秒

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    苦痛だ……

     今年一年間、自治会の幹事をやらされているのだが、


     もう! 苦痛でしかない!


     男の人の傍に長時間いるのは気持ち悪いって言うのに――ついで言うと正座も辛いのに(印刷会社時代に膝を痛めた)――おじさんばっかりのところに座布団で座れって言われても、無理!! 足崩した時に隣のおじさんに体が触れるのは間違いない距離しか隙間がないのに!!
     もうヤダ! 3月までやらなきゃいけないなんて、耐えられなァい!


     今度は交通整理に参加しなくてはいけないそうだ。

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  • from: エリスさん

    2011年05月06日 13時13分09秒

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    「夢のまたユメ・20」


     しばらく百合香が放心状態でいると、翔太が頬に触れてきた。
     「そのまま寝ちゃわないでね。帰れなくなるよ」
     「ああ……ごめん、もう大丈夫」
     百合香は寝返りをうって、翔太の方へ向いた。
     「今日は、ありがとう。いい思い出になるわ」
     「俺も。まさか、リリィが初めてだとは思わなかったから」
     「まあ、普通は思わないよね。40直前のおばさんが処女だなんて」
     「いや、リリィはおばさんじゃないから(^_^) でもさァ……う〜んっと……」
     「なァに?」
     言いづらそうにしているので、百合香が代わりに言ってあげた。「処女だけど、初体験じゃないだろうって言いたいんでしょ?」
     「うん……身体の敏感さが、初めてじゃなさそうな……。リリィって、バイ(バイセクシュアル)のはずだから」
     「ご名答。私、学生時代に女の子と付き合ってたから、その時に経験してるの」
     「……やっぱり……」
     と、翔太が落ち込むので、百合香は笑顔で指摘した。
     「そうゆうあなただって、私が最初の女じゃないでしょ? 私たちが出会ったころ、あなた、彼女持ちだったじゃない」
     「ハイ、そうです……いや、そうなんだけど……分かってはいたけど、改めて聞くとちょっとショックで……ホラ、リリィは自分がバイだってことは公表してたけど、それでも好きな人は男の人だったから、単なる話のネタなのかなァって思ってて……烏丸(からすま)さんに焼きもち焼かせるための」
     「あら、忘れていたわ、その人のこと」
     「え!? あんなに好きだったのに?」
     「好きだったけど、あのころの私はどうかしてたし――もう今だから分かってるでしょ? あのころの私は、男性恐怖症を克服するために、無理に誰かを好きになろうとしていたのよ」
     「ああ、うん……そうだったね」
     「だから、あの頃あなたに彼女がいなければ、きっと素直にあなたのこと好きになってたと思うのよ」
     「俺も。リリィが烏丸さんのこと好きだって知らなければ、すぐにあの時の彼女と別れて、リリィのこと口説いてた」
     翔太がそう言うと、二人は互いに笑いあった。
     「遠回りしたよね、俺たち」
     「ホントね」
     「でも良かった。あの烏丸さんがリリィに手を出してなくって。手が早いって有名だったんだよ」
     「聞いてるわ。でもあの人、私には一切興味がなかったのよ。ぐっさんから聞いた話だと、熟女好きなくせに、私にはその“熟”を感じられないんですって」
     「リリィの若作りがリリィ自身を救ったんだ!」
     「若作りのせいなのか……本当に“大人の女”じゃないのを感づかれていたせいなのか――今となってはどうでもいいけどね。おかげで翔太にあげられた」
     百合香はそう言うと、自分から彼にキスした。
     「私はね、ずっと母の言いつけを守って生きてきたの」
     「お母さんの?……そっか、名前の由来の……」
     「ええ」
     百合香は仰向けになると、天井の鏡に映る自分を眺めながら話し出した。
     「母は……まだ若い頃に、男の人にひどい目にあわされたから、娘の私までそんな目にあわせないように、純潔を守ることこそが女の美徳だって教えてきたの。その上で、私が男と距離を置くようにしつけて、ついには父親とも壁を作るように辛辣な言葉を吐くようになった」
     「辛辣な言葉?」
     「たとえば……夜、寝る前にトイレに行こうと部屋から出たら、ネグリジェ姿だったものだから、“お父さんに見せるために、そんな格好で出てきたのか!”とか……いろいろ」
     「ネグリジェもだめだったの!?」
     「女の色気を感じさせるものは、たとえ父親にでも見せてはいけないって、そういう考えの人だったの。だから、子供の頃に好きな男の子が出来ても、母にその子の悪口を言われることが分かっていたから、絶対に母には内緒にしていたわ」
     「そうなんだ……」
     「でも、そういう生き方も、もう限界がきてね……それで、専門学校の時に――その学校の校風でもあったんだけど、同性の恋人を作っちゃったの」
     「どうゆう学校だよ、それは」
     「芸術系の学校だったんだけど、その学校では昔から、同性カップルが多くいてね……同じサークルの後輩に告白されて、ノリで付き合い始めたの。それで、その子を“友達”として家に招いて、母に見せ付けてやったの」
     「見せつけ?」
     「そう。あなたの教育のせいで、娘はとうとう百合系に走りました――って、見せ付けて、後悔させてやりたかったのに……」
     「ちょっとした反抗期だね」
     「うん……でもね、お母さんったら驚くどころか、安堵してたの。娘がまともな道から踏み外したって言うのに」
     「それだけ、お母さんは男が嫌いだったんだ……。よく、お父さんと結婚できたね」
     「ああ、うん……それはね、また深い事情があって……」
     「……そっか」
     翔太はそう言って、起き上がった。「じゃあ俺、リリィのこと大事にしないと。お母さんのためにも」
     それを聞き、百合香は嬉しそうに微笑んで、彼に手を伸ばした。その手を引っ張って百合香を起こした翔太は、しっかりと彼女を抱きとめた。
     「帰ろっか。そろそろ」
     「うん……近くまで送ってね」
     「もちろん」


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