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恋愛小説発表会〜時にはノンジャンルで〜

恋愛小説発表会〜時にはノンジャンルで〜>掲示板

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  • from: エリスさん

    2012年04月27日 15時52分50秒

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    明日から5連勤

     いつもなら毎週火曜日がお休みで、その日に小説を書いているんですが..........来週は無理っぽい。もしかしたら小説サークルを休載するかもしれませんが、許してください。m(_ _)m

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  • from: エリスさん

    2012年04月27日 10時47分52秒

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    「夢のまたユメ・50」
     それから数日が経っていた。
     2月4日の百合香の誕生日は、金曜日と言うこともあって、翔太は残業もせずに退勤し、宝生家を訪ねた。そして百合香と二人っきりで誕生日を祝い(姫蝶もいたが、それは気にせず(^_^;) )、そのまま泊まっていった。翌朝、恭一郎に会っても、もう慣れたものだった。
     2月14日のバレンタインデーは、百合香が長峰家を訪れて、翔太の帰りを待っていた。その間、百合香はすっかり真珠美と茶飲み友達となってしまい、翔太が帰って来たときには、真珠美とおいしい紅茶を出す喫茶店に二人で行く約束を交わしていたほどだった。
     楽しい日々を過ごしている間も、
     『多分、私の身辺調査は続いてるんだろうなァ……』
     と、百合香は思ったものだが、翔太はもちろん、真珠美も、時々会う紗智子もそんなことには触れなかったので、なるべく気にしないようにしていた。
     そんなうちに2月も下旬に入ったころだった。
     しばらく仕事を休んでいたナミと、久しぶりに会った百合香は、彼がすっかり痩せ細っていることに気付いて、びっくりした。
     「どうしたの!? なんか病気した?」
     「いや、してないです……ちょっと体調悪いぐらいで……」
     「その青白い顔が“ちょっと”か?」
     どうしてナミが痩せ細ったか、大方の予想はつく。昨日が創作新人賞の締切日だったのである。だからこそ数日仕事を休みにしてもらって、小説執筆に力を入れていて、百合香もメールで添削をしてあげていたのだが、きっと書くのに夢中で食事もそこそこで、あまり眠ってもいなかったのだろう。
     「今日は帰った方がいいんじゃない? 土曜日だからスタッフいっぱいいるし、一人ぐらい減っても大丈夫よ。――ですよね? 榊田マネージャー」
     チケットスタッフにレジに入れるお金を渡していた榊田玲御は、百合香に声をかけられて、ちょっとだけこちらを向いた。
     「僕もさっきそう言ったんだよ。このところ無理していたのは聞いてたから……飲みに誘っても全然来ないし」
     同い年のナミと榊田は、ツイッターもフォローし合う飲み友達になっていた。正社員のマネージャーとバイトのスタッフの間でここまで仲がいいのは、ファンタジアではちょっと珍しい。
     「ナルニア(ナルニア国物語 第3章 3D)の先売りがかなり売れてるから、(ストアの)パンフレットは大目に出しといてね」と榊田はチケットスタッフに言ってから、百合香とナミの方に歩いてきた。
     「オープン準備を宝生さんだけに任せるのは大変だから、それだけやったら今日は早退して、休んだ方がいいよ」
     「大丈夫ですよ。二人とも大袈裟なんだから」
     と、ナミは笑って見せたが、もうその笑顔が疲れているのである。大丈夫のはずがない。
     「ナミ、本当に無理しない方が……」
     と、百合香が言うと、それを振り切るようにナミはフロアスタッフの荷物を抱え始めた。
     「本当に大丈夫ですよ。ホラ! 時間もったいないから、行きますよ!」
     「ちょっと、ナミ!」
     ナミがさっさと行ってしまうので、呼び止めた百合香だったが、そんな百合香を榊田が肩を掴んで止めた。
     「宝生さん……昨日、池波君がメールでぼやいてたんだ」
     百合香はさりげなく榊田の手をどけさせると、「なんて?」と聞いた。
     「最近みんなに会ってないから、早く会いたいって。特にリリィさん――宝生さんに。彼、寂しがり屋だから」
     「……そう、ですか。本当に……困った子」
     「とりあえず様子を見ておいてあげて。午後に……12時に野中さんも出勤するから、そしたら野中さんにどうするか決めてもらうよ」
     「そうですね。野中さんの言うことなら聞くでしょうから。12時までなんとか持ってくれるといいんだけど」
     「ところで宝生さん」
     「はい」
     「なんで僕の手をどけたの?」
     「はい?」
     とうに他のスタッフは階下に降りたので、この場には百合香と榊田しかいなかったのだが……そんなことを聞かれるとは思いもしなかった。
     ここは誤解されないように、正直に話すことにした。
     「私、男性嫌悪症なんです――以前は男性恐怖症までいったこともあるんですが」
     「え? そうなの?」
     「フロアの男の子たちはみんな知ってますので、そこら辺は気を付けてもらってるんです。ですから、榊田さんも気を付けてくださると助かります」
     「そうなんだ……触られるのダメなんだ。じゃあ、彼氏さんも大変だね」
     「彼氏は大丈夫なんです。あと、家族も平気です。かなり親しい人とは大丈夫なんですけど、そうじゃない男性には、触られると悪寒が……」
     「分かった、気を付ける」
     「それじゃ、失礼します」
     百合香が事務室を出てから、榊田がガックリと肩をうなだれていたことは、誰も知る由がなかった。
     百合香が劇場に着くと、ナミはアナウンスボックスにいた。マイクや必要書類を用意して、百合香が来るのを待っていたのである。
     「あっ、やっと来た。リリィさん、俺、一階のDVD(宣伝用に置いてある)点けてきますね」
     「ナミ……」
     百合香はDVDのリモコンを持って見せているナミを、優しく包み込むように抱きしめた。
     「リリィさん?」
     「本当に無理しちゃ駄目よ。辛くなったら、私に言いなさい。いいわね?」
     「……はい」と、ナミも百合香を抱き返した。「ヘヘ……リリィさん、いい匂い。名前は百合なのに薔薇の匂いがする」
     「薔薇のシャンプー使ってるもん」
     百合香がナミを放してやると、心なしか少し元気になったように見えた。
     「じゃあ、俺、行ってきます」
     「はい、行っといで」
     ナミを送り出した百合香は、朝一の上映会の3Dメガネの準備を始めた。
     それから30分ごとにフロアスタッフが一人ずつ出勤し、彼らに会うごとに、確かにナミは元気になっているように見えた。病は気からとも言うから、久しぶりに仲間に会えて、気分的に回復してきているのかもしれない。
     『この分なら大丈夫かしら?』
     百合香が安心したころだった。
     一回目の「ナルニア国物語 第3章 3D」の日本語吹替版の上映が終了時間に差し迫り、3Dメガネの回収係だったナミは、回収ボックスを8番シアターの出口前に設置して、お客様が出て来るのを待っていた。
     清掃担当は百合香とマツジュンだった。
     前もって打ち合わせて、先ずマツジュンが明かりが点く前にシアターに入り、最前列の隅の方に待機する。そして上映が終了して明かりがついたら、スクリーンの下に立ってお客様に一礼し、出口で3Dメガネを回収している案内をする。マツジュンが喋りはじめる声が聞こえたら、百合香がマツジュンの分のホウキも持って中へ入り、後は二人で清掃するのである。
     「そんじゃヨロシク!」
     「了解です!」
     マツジュンが中に入ると、百合香はナミに声を掛けた。
     「大丈夫そうね」
     「全然問題ないですよ」
     「良かった。本当に無理しちゃ駄目よ」
     「心配性だなァ、リリィさんは」
     「そうよ。だって“フロアの母”ですもの」
     最年長だからというだけではなく、百合香の面倒見の良さから付いた異名である。
     そんなうちに、マツジュンの声が聞こえてきた。
     「じゃ、行ってくる」
     「はい、がんばって」
     百合香が中に入っていくと、数人の客と通路ですれ違い、その度に百合香は「ありがとうございました」と挨拶をした。すると……。
     「オイッ、あんた大丈夫か!」
     出口付近で男性客がそう言っているのが聞こえて、百合香は振り返った。出口へ向かっている客たちの足が止まっている……。百合香は客たちの脇を「恐れ入ります、失礼します」と言いながらすり抜けて、出口が見えるところまで戻った。
     そこに、ナミが倒れていて、男性客に肩を揺すられていた。
     「ナミィ!」
     百合香は急いでナミの方へ駆け寄った。
     「ナミ! しっかりして!」
     百合香は二本の箒を脇に置いて、ナミを助け起こした。
     「俺がメガネを渡そうとしたら」と、男性客が話し出した。「受け取ろうと手を出したまま、倒れたんだよ」
     「救急車呼んだ方がいいんじゃない?」と言ったのは、どうやら男性客の奥さんらしい女性だった。
     「はい、すぐに……」と言いかけて、百合香は自分が映画館従業員であることを思い出した。
     『お客さんの退場に妨げになってはいけない……』
     百合香はとにかく気を失ったままのナミを、上体を抱えたまま引きずって、出口から離れたところに横にした。そしてトランシーバーで、
     「フロアスタッフ、一人8番シアター前へ来てください!」
     と、ちょっと乱暴気味に指示を入れて、自分は回収ボックスの前へ立った。
     「大変ご迷惑をおかけいたしました。3Dメガネを回収いたします」
     「あれ、そのままにしてていいの?」
     と他の男性客に言われたが、
     「ご心配をおかけ致します。ただいま他のスタッフを呼びましたので、大丈夫でございます。恐れ入りますが、3Dメガネを回収いたします」
     百合香がそう言うので、客は一人ずつ3Dメガネを百合香に渡し始めたが、みな心配そうにナミの方を見ていた。それでも出口が込みだしたので、誰も立ち止まることができなくなって、そのまま通過するしかなかった。
     しばらく時間が経ったが、他のフロアスタッフが来る様子がなかった。
     『どうして誰も来ないの?』
     運の悪いことに、百合香がトランシーバーを入れたとき、他のスタッフが同時にスイッチを入れて喋り出していたので、そのスタッフの声と百合香の声が重なってしまって、百合香の声がかき消されてしまっていたのである。
     もう一度トランシーバーのスイッチを入れようにも、メガネ回収の手を止められる状態ではなくなっていた。どうしようかと気持ちが焦っていると、目の端に黒いスーツの人物が見えた。あれは!
     「レオちゃん!!」
     咄嗟に百合香が呼ぶと、黒いスーツの人物――榊田玲御が走って来た。
     「ナミをお願い!」
     「分かった。君はお客さんに集中して……池波君、しっかりして」
     あとは榊田がトランシーバーでヘルプを呼んでくれて、ナミを抱えて連れて行ってくれた。
     救急車を呼んで、榊田が同乗し、ナミは近くの病院に運ばれたのだった。


     事務所の方に榊田からの連絡が入り、ナミはもう大丈夫だと、野中マネージャーからフロアスタッフに伝わった。
     「過労と栄養失調だそうだよ。まともに食事もしないで小説を書いてたんだねェ」
     野中が言うと、百合香は、
     「お見舞いに行っても大丈夫でしょうか?」
     「大丈夫じゃないかな。むしろ、様子見てきてほしいぐらい。さっき小田切さんが病院の名前聞いたら、すっ飛んで行ったから、あの感じだと安静にさせなきゃいけないのに、うるさく騒ぎ立てそうだから」
     「ええっと……(^_^;) 榊田さんもいるんですよね?」
     「レオちゃんに興奮した小田切さんを止められると思う?」
     「……行って参ります(-_-;)」
     「お願いします」
     そんなわけで、本当にすぐ近くにある病院に百合香は見舞いに行った。
     野中が心配した通り、小田切桂子が泣きじゃくりながら、ナミを責めていた。
     「小説と私とどっちが大事なのよ! この馬鹿ァァァ〜!」
     「……頼むから、病院で騒がないでくれよ(;一_一)」
     ナミもおちおち眠れないでいた。
     「小田切さん、落ち着いて。もう意識も回復しているんだし、あとはゆっくり養生すれば……」
     と、百合香が言いながら歩み寄ると、小田切はキッとキツイ目で振り返って、言った。
     「適当なこと言わないでよ! そもそも、あんたがいけないんじゃない!」
     「え?」
     「リリィさんみたいに頑張るんだって言って、ずっと徹夜で小説書いて! 私とは会ってくれないのに、あんたとはメールのやりとりしてたんでしょ! この泥棒猫ォ!」
     「ちょっと待ってッ。メールのやりとりって、それはナミの小説を添削してあげていただけで、別に浮気とかじゃ……」
     「どうだか! だってあんた、優典のこと狙ってたじゃない!」
     翔太と付き合う前は確かにそうだったが……否定も肯定もできずに口をつぐんでしまうと、ナミが小田切に怒鳴った。
     「いい加減にしろよ!! 俺が倒れたのと、リリィさんは関係ないだろ!」
     「だって、優典……」
     「そうやって邪推ばっかして、俺の夢をちっとも応援してくれようとしないんだったら、おまえとは別れる!」
     すると小田切はさらに泣き出してしまった。それでも構わず、ナミは話し続けた。
     「だってそうだろ。俺のリリィさんに対する憧れは、恋とかそうゆうのとは違うって、何度も何度も説明してるのに、全然理解しようとしない。初めのころは、そうゆうおまえも可愛いって思えたけど、もう今はウザイだけなんだよ。だから、もういい。別れようよ、俺たち」
     「ちょっ、ちょっと、ナミ……」
     流石に百合香は居たたまれなくなってしまった。「とりあえず、その話はあなたの体調が戻ってからにして……ね? 小田切さんも、ナミを休ませてあげましょう」
     『こんな時に、レオちゃんは何やってるのよ!』と百合香が思った時、榊田が誰かを連れて戻ってきた。
     「池波君、ご家族の方がお見えになったよ」
     「え!? なんで?」
     「なんでって、御実家に連絡したからだよ」
     「余計なことを……」
     「なにが余計なことですかッ」と、ナミの頭を叩いたその女性は、見たところナミの姉らしかった。「だから時々は実家に帰って来いって言ったでしょ。栄養失調で倒れたとか、マジありえない」
     「だって姉ちゃん……」
     「だってじゃない! お母さんだってすごく心配してたのよ」
     「お母さんが?」
     「そうよ。今、お医者様から話を聞いてるけど」
     「え!? お母さんも来てるの?」
     「あたりまえでしょ。お父さんも出張先からこっち向かってるわよ」
     「来なくていいのに……」
     「馬鹿ッ。みんなが心配してるのが分からないの?」
     「……すみません」
     「うん、分かればよろしい……」
     姉弟の会話が落ち着いたところで、ナミの姉が百合香の方を向いた。
     「あなたがリリィさんですか? えっと、確か百合香さん」
     「あっ、はい。そうです」
     「初めまして。優典の姉の琴葉(ことは)です。お噂は弟からかねがね……本当に、想像していたよりそっくりですね」
     「はっ、はい?」
    そこへ、もう一人女性が入ってきた――物腰柔らかで、母性に満ちた女性……一目でナミの母親と分かるが、その顔が……。
     「どうも、息子がご迷惑をおかけいたしました。……あら、本当にそっくりなのね。あなたが百合香さんね?」
     百合香にそっくりだった。
     百合香は、なぜか涙を流した。
     「……おかあ……さん?」

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  • from: エリスさん

    2012年04月18日 20時32分14秒

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    明日は墓参り。

     明日は母の墓参りで、静岡まで行きます。
     いつも木曜日は小説を書く日なのに、丸一日出掛けなければならないので、金曜日の小説アップは火曜日に入力した「神話読書会」の「双面邪裂剣」だけにします。
     「恋愛小説発表会・改訂版」の「夢のまたユメ」を楽しみにしてくださってる方、大変申し訳ありませんが、今週は休載させてください。
     その代わりと言ってはなんですが、静岡までの道中の写真をブログの方でアップしようと思います――前回の墓参りの時にもそうしたのですが、皆さん覚えてますか? この時期の静岡なら、桜が満開になってると思います。

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  • from: エリスさん

    2012年04月13日 11時13分26秒

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    「夢のまたユメ・49」
     「今日はごめんな」
     翔太は百合香と連れだって歩きながら、そう言った。「うちの家族が、あそこまでリリィを調べてるなんて、知らなかったんだ」
     「気にしないでって言ったでしょ」
     と、百合香は言って、翔太にすり寄った。「その分、あなたが私を庇ってくれたもの、嬉しかったわ」
     「当然だよ。惚れた女を守るぐらい」
     「う〜ん、カッコイイ!」
     二人は手をつないで歩き出した。――翔太の家族への挨拶も終わり、翔太が百合香を家まで送る途中だった。勝幸が今日のお詫びに、自家用車で送ろうかと申し出たのだが、翔太が断固として「電車で送っていくからいい」と言い張って、結果、一駅分デート気分で歩いていた(^_^;)
     「でも本当に、このことでご家族の皆さんを恨んだりしちゃ嫌よ。縁談の際にお嫁に来る人の身辺調査をすることは、日本では古くから行われていた習慣なんだからね」
     「時代が古いよ、そんなの……でもそうか、リリィの家も旧家だから、ご両親が結婚するときは……」
     「ああ、それがね……そう言えば、うちの父が言語障害者だってことが話題に出なかったけど、ご存知なのかしら?」
     「知らないのかな?……今日のことは全部、リリィ本人のことだけだったから……お父さんの障害のことがなんか関わりあるの?」
     「あるのよ。父は喉の障害があったから、長男であっても家督を継ぐのを辞退して、上京したのね。それでとある病院で、最初はマッサージ師として働き始めて、母と出会ったんですもの」
     「お母さん、入院してたの?」
     「そこの病院の院長の娘だったのよ、一応」
     「医者の娘だったんだ!……一応、ってなに?」
     「養女なのよ。両親を亡くして、父親の弟に引き取られたの」
     「ああ……」
     「あまり、いい扱いを受けていなかったの、うちの母。それを見ていられなくなった父が、母を連れて逃げたのよ」
     「駆け落ち!? うわ、おじさん格好いい!」
     「でしょ? だから、身辺調査も何もなく、さっさと籍を入れちゃって、母の実家の人達が連れ戻しに来ても、連れ戻せない状況にしちゃったんですって」
     「すごいじゃん!! へェ……今度おじさんいつ帰ってくる? また一緒に飲みたくなった」
     「飲むって、お茶でしょ? お父さん、お酒は飲めないもの」
     「いいじゃん、お茶で語らったって。今度、おじさんに最高級の深蒸し(緑茶の種類)持ってくよ」
     「じゃあ、父が帰ってくる日が分かったら知らせるわ」
     「うん、そうして……ところで……」
     翔太が立ち止まったので、百合香も足を止めた。
     「寄ってく?」
     翔太の視線の先に、二人が良く利用しているラブホが見えた……道理で電車に乗らずに、歩いて帰ろうと言い出すわけだ。
     「まだ夕方にも早いわよ」
     「この時間でもやってるんだよ、あそこは」
     「そういう問題じゃなくて(^_^;)」
     「駄目?」
     「駄目……じゃないけど……」
     昔の嫌な記憶を思い出したばかりで、それにつながってしまうような行動は控えたいところだが。とは言え、
     『だからこそ、翔太の綺麗な裸を見るのも“あり”か……』
     あの鴨下と言う男は、「俺の裸を見せれば、どんな女もイチコロだった」と職場の若い男子社員に自慢していたそうだが、百合香が見せられた鴨下の体は、黒く濁った赤い肌で、筋が出来たり弛んだりした、とても美しいとは言えない体だった。若いころは自慢できるところもあったのだろうが、長い服役ですっかり若さを失っているという自覚がなかった。だから、百合香の時はすぐに逃げられてしまったが、百合香の後任の五十代の女性に対しては、押し倒した時に必死の抵抗にあったので、こう暴言を吐いたそうである。
     「この俺に相手してもらえて、嫌がるとはどういう了見だ! もっと喜びやがれ!!」
     この暴言を百合香は知らされていないので、当然知らないが、もし知っていたとしたら、鴨下の頭上に1トンの金槌を振り下ろしたことだろう。
     それに比べて翔太の体は、中肉中背より少し筋肉質で、肌は綺麗な肌色で、艶と張りがある。男の裸など滅多に見るものではないが、それでも百合香が知る限り翔太が一番美しい肢体をしている。
     「そうね。翔太で癒してもらおうかな」
     「そうそう。辛い思いさせた分、俺がご奉仕してあげるから」
     「ありがとう……ただしッ」
     百合香は翔太の胸倉を掴んで、自分の方に引き寄せた。
     「“下”は絶対に見せないでよ。いいわね?」
     「怖い顔すんなよ……大丈夫、腰から下は浴衣着たままにするから」
     「よろしい」と百合香は手を放すと、ニッコリと笑った。「じゃあ、行こうか」


     「もう、いいんじゃありませんか?」
     そう言ったのは真珠美だった。「百合香さんは十分にいい人だわ。彼女に翔太のお嫁さんに来てもらえば、あの子もきっと、もっと人間として成長してくれると思うのですが」
     「私もそう思うわよ、おじい様」
     と、紗智子が言った。「姉さん女房は金の草鞋を履いて探しに行け……だっけ? 翔太は見事それをやってのけたのよ。褒めてやるべきだわ」
     「確かに百合香さん自身のことだけ考えればな……」
     勝基が言葉を濁していると、勝幸が言った。
     「実は、百合香さんのお父さんは障害者なんだそうだ」
     「なァに? また差別?」と、紗智子が言うと、
     「そうじゃない。だけど、翔太の子供に障害者が生まれる可能性も……」
     「だから!! その考え方が差別なんじゃないの! 最低!」
     「そう言ってくれるな。父さんたちだって辛いんだ。だけど、会社を経営するって言うのは……」
     「はいはい、繰り言は止してください」と、真珠美は言った。「ですが、そのことなら問題はなかったはずですわ。翔太の話では……」
     「なにか言っていたかね?」
     と、勝基が聞いたので、真珠美は不機嫌そうな顔のまま話した。
     「翔太が百合香さんのお父様をとても尊敬しているんですよ。文学に造詣が厚くて、かなりの蔵書を持っておられるとか。百合香さんの文学の才能はきっとお父様譲りなんでしょうね」
     「それで?」と、勝幸は先を急がせた。
     「それで……幼いころに喉に怪我をしたのが原因で、障害が残ってしまったそうです」
     「本当か! 生まれつきじゃないのか?」
     「信じられないのなら、お調べになれば! でも私は、もし翔太と百合香さんの間に障害を持つ子供が生まれたとしても、私も協力して、しっかりその子を育てていきたいと思いますけどね」
     しばらくの沈黙……。
     「そうね、お二人の好きにしたらいい」と、紗智子は言って、立ち上がった(ここは居間である)。「気の済むまで調べて、百合香さんほど翔太に相応しい相手はいないって、思い知ればいいんだわ」
     「それでもし、百合香さんに不都合が見つかったら?」
     「その時は……」と、紗智子は父と祖父を見下ろした。「私が翔太の代わりに後継者になるわ」


     百合香が家に帰って来たのは、すっかり暗くなった六時ごろだった。翔太にタクシー乗り場まで送ってもらって、一人で帰って来たのである。
     玄関のカギを開けようとしていた時、自転車置き場に兄・恭一郎の自転車が置いてあることに気付いた。
     『あれ? お兄ちゃん、今日は歩いて出かけたのかな?』
     そう思っていると、急に玄関の電気が点いた。
     「あら、お兄ちゃん……」
     いつもなら夜遅く帰ってくるのに、もう家にいたのである。
     「お帰り、百合香」
     「ただいま……早かったんだね」
     「まあ、な」
     すると恭一郎の足もとをすり抜けて、姫蝶が奥から出てきた。
     「みにゃあ(^o^)」
     「はい、ただいま。いい子にしてた?」
     「みにゃあ〜ン」
     「そう。じゃあ、すぐにご飯にしてあげる」
     百合香はそう言いながら姫蝶を抱き上げた。すると、
     「どうだった?」
     と、恭一郎が聞いてきた。
     「うん、いいご家族だったわよ」
     やはり百合香のことが心配で早く帰って来たらしい。兄に心配はかけたくないが、嘘もつきたくない。なので、百合香は正直に話した。
     「でも、やっぱり身辺調査されてた」
     「だろうな……当然だ。俺の時もそうだった……」
     「うん……当たり前のことだもんね」
     「それで、母さんのことは?」
     「まだ知らないみたい。お父さんの障害のことも話題に出なかったから。今日の所は、私個人のことだけよ」
     「そうか…‥」
     恭一郎はため息交じりに言うと、百合香の腕の中の姫蝶の頭を、指先で撫でた……いつもは嫌がる姫蝶が、今日は嫌がらなかった。姫蝶は相手が落ち込んでいるような時は、空気を読めるのだ。
     「まあ、なるようになるわよ」
     と、百合香も姫蝶のあごの下を人差し指で撫でた。「駄目でもともとで挨拶に行ったんだから、今日は気に入ってもらえただけ、良しとするわ」
     「うん……そうだな」
     「すぐにご飯にするね、お兄ちゃん。親子丼の材料買ってあるんだ」
     「いや、もう作った…‥チキンカレーを」
     「え!? あっ、本当だ。カレーの匂い……ありがとう、お兄ちゃん」
     「いや……早く着替えてこい。一緒に食べよう」
     「ハーイ!」

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  • from: エリスさん

    2012年04月06日 11時24分49秒

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    「夢のまたユメ・48」
     紗智子は翔太を落ち着かせると、話し出した。
     「百合香さんが移動になった印刷部は若い印刷工が多いんだけど、それはあまり長続きしないからなんですって。ベテランの四〇歳を超えた人は三人しかいなかったわ。それぐらい体力的にも精神的にも辛い仕事なのよ。それで、一度に三人も辞めてしまったことがあって、新卒採用者を待っていられないから、中途採用者を雇うことになったんですって」
     「中途採用者なら経験者を採用したんだろ?」と勝幸が聞いた。「それなら多少は長続きしたはずだが」
     「それでも長続きできたのは一人だけなんですって。前の会社が倒産したとかで転職してきた、奥さんと子供もいる……」
     「風間さんですね」
     と百合香が言うと、
     「そうそう。今その人、課長に昇進しているのよ」
     「課長? それじゃ、香山課長は?」
     「それは後で教えてあげる――とにかくあまりにも長続きしないものだから、会社側も困ったんでしょうね。そんな時に面接を受けにきた男がいたの。もう五十歳も後半の、一応妻子持ちの……」
     その説明を聞いて、百合香は体が竦んでいくのが分かった。――あの男のことだ!
     「一応妻子持ち――とは、どうゆうことだ?」と勝基が聞くと、
     「事情があって別居していたのよ」
     「事情って?」と真珠美が聞くと、紗智子はため息をついた。
     「前科があるのよ、婦女暴行罪の。それで、離婚はしないまでも別居しているんですって」
     「まあ! どうして離婚しないの! そんな男!」
     「そこまで分からないわ。私も疑問に感じてるぐらいなんですもの」
     「それで、その男が採用されたわけだな。当然、会社側はその男が前科者だってことは承知していたのだろう? 履歴書に嘘は記載できないからな」
     と勝基が言うと、紗智子はうなずいた。
     「当然知っていたわ。それでも採用した……前科者でも、ちゃんと更正できている人はいっぱいいるから、それを信じたのね。でも、更正できてなかった。だから……百合香さんが狙われてしまったのよ」
     校正士は出勤するとすぐ、昨晩から今朝にかけて夜勤で印刷された印刷物のチェックをするために、印刷工が千枚に一枚ずつ抜き出した〈刷り出し〉を印刷現場まで取りに行かなければならない。それは印刷機の横の棚にあるのだが……常日頃から節電を指導されていた為、百合香は電気を点けずに窓から入り込む太陽光だけで取りに行っていた。それでもかなり明るいのである。
    しかし、物陰は暗くなってしまう。
     百合香が刷り出しを手にした時、物音がしたので、つい振り返った。すると、印刷機の影から男――鴨下が現れた。上半身裸で。
     そして鴨下は……。
     「リリィ、大丈夫か」
     翔太は百合香が気持ち悪そうに俯いているのに気付いた。実際、胸がむかむかして、今にも吐き出してしまいそうだったのだ、あの時のことを思い出して。
     「誰か! 氷水持ってきて!」
     翔太がそう言うと、真珠美がすぐに立ち上がって、家政婦を呼んだ。
     「妙子さん! 急いで氷水持ってきて! あと、冷たいおしぼり!」
     「しっかりしろ、リリィ……」
     翔太は百合香を抱き寄せて、背中をさすった。「昔のことだ、もう過去なんだ……今、起こってることじゃない」
     「……ええ、大丈夫……」
     その様子を見て、紗智子は動揺した。
     「ごめんなさい! 百合香さんがまだそんなに、立ち直っていなかったなんて思ってなくて……だって、翔太と付き合えるぐらいだから……」
     「だから前に説明しただろ!」と翔太は紗智子に言った。「本当はもっと前から付き合いたかったんだけど、できなかった事情があるって! リリィは痴漢野郎のせいで、いろいろと大変だったんだ!」
     そこへ氷水とおしぼりが届いて、翔太は百合香に氷水を飲ませようとしたが、喉がつかえて、百合香は咳き込みながら水を吐き出してしまった。
     「す、すみま……」
     咳き込んでしまって、言葉が続かないでいると、真珠美が濡れてしまった服をおしぼりで拭いてくれた。
     「いいのよ、無理にしゃべらないで……ごめんなさいね、辛い思いをさせて」
     「リリィ、横になれ。その方がいい」
     翔太がそう言ってくれたのだが、咳が治まった百合香は、首を横に振った。
     「もう、大丈夫」百合香は言うと「すみません、翔太のお母様。お手を煩わせました」
     「なにを言っているの。辛い思いをさせたのはこっちなのに」
     「そうよ。ごめんなさい、百合香さん」と紗智子も言った。
     「その……なんだ」と勝幸が言葉を濁した。「こんな時になんなんだが、一つ確認したいことが」
     「なんだよ、父さん」と今にも噛みつきそうな勢いで翔太が聞き返した。どうせ、ろくでもないことを聞くんだろうと思ったのだ。
     「その、なんだ……未遂で済んだのかな?」
     それを聞いた途端に「あなた!」と真珠美が怒りの形相を見せた。
     「いや、真珠美さん」と勝基が言った。「大事なことだ、聞いておかねば。翔太の妻になる女性が、傷物……いや、その……」
     「その考え方は侮辱です! 差別ですわ! お義父様!!」
     「そうよ!」と紗智子も言った。「おじい様もお父様も軽蔑するわ!! だけど、教えあげるわよ。その場に他の印刷工の人が入ってきてくれたんで、未遂だったそうよ」
     「そ、そうか……」と勝幸と勝基が安堵したので、翔太は言った。
     「もっと言えば、リリィ――百合香は俺と付き合うまで処女だったんだ」
     「ちょっと!?」と百合香は咄嗟に翔太の肩を突き飛ばした。
     「別に恥ずかしがることじゃないだろ」
     「いや、恥ずかしいわよ、弟よ」と紗智子は言った。「でも……ヘェ、翔太が初めての相手だったんだ」
     「本当に……良くそんなに、三十歳もかなり過ぎていらっしゃるのに、守ってこられたわね。お母様のご教育が良かったのね」
     「はい……母のおかげです」
     自分にとっては重い枷だったのだが――人によって解釈は変わるもの。自分が処女でいたことを、真珠美は「清らかな生き方」として理解し、それを母親の教育だと思ってくれたのである。
     『いいお母さんだな』と、百合香は真珠美に対して思った。
     「とにかく、そういうことがあったので会社を辞めたんですって」
     と、紗智子が話を戻すと、「ちょっと待て」と勝幸が言った。「当然、その鴨下がクビになるべきではないのか?」
     「鴨下は、自分はそこで着替えていただけだ、と主張したんですって。着替えだけでパンツまで下すのか!って指摘されても、そこは断固として曲げなかったそうよ。それで、印刷部の課長の香山って人が鴨下を庇ったんですって。更衣室があったとしても、印刷現場で着替えてはいけないっていう規則はないからって」
     「そんな理屈がありますか!?」と真珠美は怒った。「更衣室があるなら、着替えは更衣室でするべきです。それは男女ともに雇用している会社の常識です。そもそも、着替えていただけっていうのも逃げ口上なのだから、本当に呆れるわ」
     「その状況では、確かに会社を辞めるしかないな」と勝基は言った。「会社側――というか、その香山課長という人は、これ以上印刷工が減ると困ることになるから、百合香さんを見捨てたのだろう。印刷工が足りないと印刷機が動かせないから、その分、売り上げに響いてくる。しかし、だとしても、会社は本当は百合香さんをこそ守らねばならなかったのだ。品質を維持するためにも」
     「それで……実際に朝日奈印刷は品質が下がったわけだが、紗智子、さっき香山課長の話を後回しにしたな。それはやっぱり、その後彼は処罰されたのか?」
     勝幸が言うと、紗智子は言った。
     「ええ、お父様。百合香さんが会社を辞めて、代わりの校正士を雇ったんだけど、その女性――五十歳ぐらいの人だったそうだけど、その人が被害にあったんですって。しかも今度はその現場を他の社員が見つけて、取り押さえられたので、言い訳できなかったそうよ」
     「それで、その被害にあった人は!?」
     と、百合香が聞くと、
     「安心して。大事には至ってないそうよ。でもその人も、こんな所で働きたくないって辞めてしまったって。今は男性の校正士を雇ってるわ」
     それを聞いて百合香は安堵した。
     「その時、現場を押さえた社員――なんでも、印刷用紙を管理する人らしいんだけど……」
     「あっ、鈴原さん!」
     「そうそう、そんな名前だった。その人がすぐに警察を呼んだんで、ことが公になったの。鴨下がつい最近まで服役していた、前科二犯の婦女暴行魔だったことが。被害にあった人は何十人もいるそうよ。そんな事実を隠して採用していたことで、面接をした部長は支社に転属降格、香山課長も鴨下を庇ったことで大ごとになった責任を取らされて降格……そして退職したそうよ。会社に残っていても風当たりが強かったらしいわ」
     「そりゃそうだろう」と勝基は言った。「しかしこれで分かった。百合香さんが正当な理由で会社を辞めたことが――いや、辞めて正解でしたよ」
     そして勝基と勝幸は座り直して、百合香に頭を下げた。
     「今日は不愉快な思いをさせてしまって申し訳なかった。しかし、分かっていただきたい。我々は会社を守る立場にある。将来、会社を背負って立つ翔太の伴侶になる人には、それなりの女性を選ばなければならぬのです」
     と勝基が言うので、翔太は言った。
     「だったら、百合香がどんなに俺に相応しいか、分かってくれたんだろう? じいさん、父さん」
     「ああ、良く分かった。だから、今日のことは大変申し訳なかった!」
     「私もごめんなさいね、調べたりしてしまって」と、紗智子は言った。「でもね、朝日奈印刷に出向している間、あなたの噂は良く聞いてたの。有能だったのに、すごく惜しいことをしたって……だからね、おじい様があなたのことを調べるって言い出した時、興信所なんか使わないで私が直接調べたいって申し出たの。そうして良かった。私、調べているうちに、あなたが大好きになったのよ」
     紗智子は百合香の手を取った。「これからも弟のことをよろしくね」
     「そんな、こちらこそ……」
     百合香は手をつながれたまま、深々と頭を下げた。「よろしくお願いいたします」

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