新規登録がまだの方

下の[新規登録]ボタンを押してコミュニティに登録してください。

新規登録(無料)

登録がお済みの方はこちら

コミュ二ティポイントのご案内

詳しく見る

恋愛小説発表会〜時にはノンジャンルで〜

恋愛小説発表会〜時にはノンジャンルで〜>掲示板

公開 メンバー数:6人

チャットに入る

サークルに参加する

サークル内の発言を検索する

新しいトピックを立てる

サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。

閉じる

  • from: エリスさん

    2012年02月19日 18時09分03秒

    icon

    ようこそ!BFWへ・1

    北上郁子(きたがみあやこ)はいつも通り薙刀の稽古をしていた。「乾殿(いぬいどの)」と呼ばれる郁子の屋敷には剣術を稽古するための道場も、ピアノ専用の部屋

     北上郁子(きたがみ あやこ)はいつも通り薙刀の稽古をしていた。
     「乾殿(いぬいどの)」と呼ばれる郁子の屋敷には剣術を稽古するための道場も、ピアノ専用の部屋も備わっている。この世界を統治している《御祖の君(みおやのきみ)》からご寵愛をいただく町長(まちおさ)の一人ともなれば、それなりの暮らしは約束されていた。だからと言って驕り高ぶらないのが郁子の良いところであった。
     そんな郁子の所に、慌ただしく廊下を走ってやって来た者がいた。
     「町長(まちおさ)! 阿修羅王(アスーラ)様!」
     阿修羅王というのは、郁子が物語の中で名乗っている二つ名である。「芸術学院シリーズ」の登場人物・北上郁子は、学生時代に文学の勉強をしながら、大梵天道場というところで武術を習い、師範代の一人である阿修羅王を襲名している――という設定である。
     『私をこの名で呼ぶということは……』
     郁子は薙刀を振り下ろすと、右手に持って待っていた。
     慌ただしい人物は、道場のドアを開くと言った。
     「町長! 大変でございます!」
     入ってきたのは、大梵天道場で郁子の後輩にあたり、師範代の一人・夜叉王(ヤクサー)を襲名している神原晶(かみはら あきら)だった。
     「何事です、神原。騒々しい」
     「みおやが! 《御祖の君》がお籠りになられてしまわれたと、今、居城でご奉公中の今井殿より知らせが!」
     「御祖が?」
     御祖が籠る――どこか具合が悪くて私室から出て来ないのか、それとも何か精神にダメージを受けて、心を閉ざしてしまったのか。
     『御母君が亡くなられたときは、三日ぐらい放心状態だったけど……まさか』
     郁子は薙刀を目の前に翳して、両手に持った――右手は逆手で。
     「散(さん)!」
     郁子が薙刀に言霊をかけると、薙刀は阿修羅神が彫られた中央から真っ二つに割れた。そして、両手に分かれた薙刀をぶつけ合わせて、くの字に曲げ、スカートの下に隠しているホルダーに、右手のを左足に、左手のを右足にはめ込んだ。
     「参ります……」
     郁子は神原を連れて通信室へと向かった。そこにはすでに、夫の高木祥(たかぎ しょう。この世界では夫婦別姓が多い)と、秘書官の梶浦瑛彦(かじうら あきひこ)がいた。
     「待たせたわね、ショオ。梶浦」
     「僕は待っていないよ。それより、洋子君が」
     「アヤ先輩!」
     通信機のモニターから、今井洋子(いまい ひろこ)が呼んでいた。
     「大変なんですゥ! 御祖が引き籠ってしまって、全然反応がないんです!」
     「具合がお悪いの?」と郁子は聞いた。「それとも……」
     「病気とかではないみたいです。窓から覗いてみたら、ただ部屋の中でお座りになってるだけで」
     「あえて言うなら、心の病ね、きっと……そうなると……」
     《御祖の君》が重病などで執筆活動が出来なくなると、この世界の住民の中で、現在執筆中の作品の登場人物たちに影響が出ることがある。
     「どこか影響が出てる町はない?」
     「あります! 〈神々の御座シリーズ・人間界の町〉は、通信に障害電波が出ていて、ほとんど会話ができません。〈雪原の桜花の町〉は完全に通信が途絶えています」
     「障害電波ではなく、完全に途絶えているの?」
     「はい、完全に無反応です」
     「すぐに〈雪原の桜花の町〉に誰か向かわせて! 住民たちが危ないわ。〈神々〜〉は大丈夫でしょう。……私もそちらに行きます」
     「お願いします! お待ちしてます」
     郁子は通信を切ると、祥に言った。
     「あなた、また一緒に舞ってくれる?」
     すると祥は郁子の両手を取った。
     「君と舞えるのなら、どんな時でも大歓迎だよ。でもその前に、君はその汗を落とした方がいいんじゃないかな?」
     薙刀の稽古をしていたので、体中に汗が噴き出していた。だが、
     「時間がないわ。シャワーなんて浴びてる暇はないの」
     「そう」と、祥は言って、神原の方を向いた。「お湯で濡らしたタオルを持ってきてくれ、部屋まで」
     「かしこまりました」
     神原は答えると、すぐに通信室を出て行った。


     この世界――Bellers Formation Worldは、御祖の君と呼ばれる淮莉須 部琉が作り上げた想像と創造の世界である。この世界で起こるすべての事象は、御祖の意志と夢が影響していた。
     その御祖が心を閉ざして引き籠り、その結果、一つの町が消えようとしていた。

    • コメントする

      サークルで活動するには参加が必要です。
      「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
      ※参加を制限しているサークルもあります。

      閉じる

    • 5
    • 拍手する

      サークルで活動するには参加が必要です。
      「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
      ※参加を制限しているサークルもあります。

      閉じる

    • 0

    icon拍手者リスト

    from: エリスさん

    2012年03月16日 11時55分51秒

    icon

    「ようこそ!BFWへ・6」「まったくと言っていいほど、生気がございませんね、御祖(みおや)」エリスはそう言いながら、御祖の体を自分に寄りかからせた。「

    from: エリスさん

    2012年03月09日 11時41分49秒

    icon

    「ようこそ!BFWへ・5」Junoのライブの甲斐もあり、朝井洋伸も目を覚ました。しかし、持田沙雪はまだ呼吸を止めたままだった。CDアルバム一枚分――全

  • from: エリスさん

    2012年02月19日 18時10分59秒

    icon

    突然始めてみました。

    誕生日記念に短編を一つ書いとこうと思ったのですが、今日中に終わらせるつもりが、ちょっと無理みたいです。何日かに分けて書こうと思います。

     誕生日記念に短編を一つ書いとこうと思ったのですが、今日中に終わらせるつもりが、ちょっと無理みたいです。
     何日かに分けて書こうと思います。

    • コメントする

      サークルで活動するには参加が必要です。
      「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
      ※参加を制限しているサークルもあります。

      閉じる

    • 0
    • 拍手する

      サークルで活動するには参加が必要です。
      「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
      ※参加を制限しているサークルもあります。

      閉じる

    • 0

    icon拍手者リスト

  • from: エリスさん

    2012年02月02日 21時24分13秒

    icon

    総アクセス数

    35万アクセスに到達しました。ありがとうございますm(__)m

     35万アクセスに到達しました。ありがとうございますm(__)m

    • コメントする

      サークルで活動するには参加が必要です。
      「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
      ※参加を制限しているサークルもあります。

      閉じる

    • 0
    • 拍手する

      サークルで活動するには参加が必要です。
      「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
      ※参加を制限しているサークルもあります。

      閉じる

    • 0

    icon拍手者リスト