「その後の主人公」
　疑いは晴れず、
　直接弁解しても聞いてもらえないから、メールで弁解して、その返事を待ち続けて、一ヵ月。

　主人公は決心しました。
　「男に恋をするのは、彼で最後にしよう」
　それが彼女なりの誠意でした。

　そして、同性の友人とも二人っきりになることは、仕事以外では極力避けることにしました。

　それじゃどこで恋愛対象を見つけるのか。

　主人公は思い切って、同性愛者専用掲示板にアクセスするのでした……。


　思い切り過ぎだろう、と私でも思いますが。でも職場で恋愛対象が見つけられなくなった以上、出会いのチャンスが少ない主人公は、危険な橋を渡るしかなかったんです。
　とにかく特定の恋人をつくり、その彼女とだけしか二人っきりにならないことをアピールできればと。

　試しに私もレズ専用掲示板に書き込みしてみたんですが、二時間後に返信がきました――条件が合わなかったんで、お断わりしましたが。

　さて、この主人公にはどんな彼女を設定してあげようかな。

「昨夜はありがとうございました」
　私が参加しているいくつかのサークルのメンバーさんから、さまざまな個人レターをいただきました。
　サークルプレイヤー以外のスレッド仲間からも、メッセージが届いたのには驚きましたが。
　やはり皆さん「女性に暴力をふるった」という点に驚かれたそうで。女性読者が多いですから、うちは。

　「そんなヒステリー男、こちらから願い下げですわよ、エリス様！」

　小説の設定ですわよ、某倶楽部のメンバー様。
　私も普通だったら、女に手を挙げる男は嫌悪します。でもこのストーリーでは、A氏をそこまで追い込んでしまったのは、主人公と、あと一人の女。
　だからこそ、主人公は放っておけないんです。このままにしておけば、被害を受ける女性が増えてしまう。
　さて、主人公はこのあとどうするべきか――皆さんの意見を参考にして、決めていこうと思います。

「Re:だいぶ悩んでます。」
「あくまで小説の設定として……ということで、私も言わせていただきますが」

　ありがとうございます。

「それだけAさんが貞操観念が強い人だと分かっているなら、主人公もそれなりの行動をすべきです。本人は友情だと思って行動していることが、男女の恋沙汰的な行動になっていたりしていませんか？　それをAさんに見せ付けたりはしていませんか？」

　そんなつもりは主人公にはありませんが、人によってそうゆう見方が変わるのは否めませんね。

「異性の友人を持つのは全然かまわないけど、異性なだけに、こうゆう行動をとったら周りはどう思うのか、という配慮は大事ですよ。とりあえず、異性の友人とは少し距離を置かせてみては」

　やはりそれしかないですか。

「Re:だいぶ悩んでます。」
「そもそも、おもしろくないことがあるからって、女に暴力をふるう男って、人間として、どうなのさ」


　まあ、そうなんですけど。

「Re:だいぶ悩んでます。」
　でも待って。それだと余計に、女性への暴力が納まらないんじゃない？
　それだけはどうにかしてからエンディングを迎えたいんですけど。


　次のご意見に期待します。

「Re:だいぶ悩んでます。」
「Aさんの設定を〈実はゲイ〉ということにすれば、Aさんが女性を嫌悪する理由になるよ」


　主人公が進むべき道をアドバイスしてほしかったんですが、そうきますか。
　ありかもしれないけど。確かにそうすれば、女性に暴力をふるうのは当然かも。
　たとえば、主人公が二人っきりになった男性に、Aさんが恋していた、とか。それなら恨まれるのは当たり前か。
　
　候補にしておきますか。

「Re:だいぶ悩んでます。」
「主人公は性転換して男になるべき」


　真面目に考えてください(>_<)
　第一、それだと救われるのは主人公だけで、暴力ふるわれている他の女性に救いなし！