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恋愛小説発表会〜時にはノンジャンルで〜

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  • from: エリスさん

    2014年08月08日 11時28分52秒

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    夢のまたユメ・101

    「そろそろお腹も膨らんできてるし......」と、ユノンは遠慮がちに言った。「あっちの方、出来なくなってきてるでしょ?」
    「まだ大丈夫よ」と、百合香は言った。「私達の場合、私が立ち役だから、お腹に負担がかかるようなことはしないで済んでるもの」
    「そうなの?」
    「馨のことは"女"だと思って抱いてるのよ。だから普通の男女のように――」と言ってから、百合香はユノンの耳元で囁いた。
    それを聞いたユノンは「そっか......」と、安堵した。「完全に女同士として付き合ってるんだね」
    「そう。だから流産の心配とかはしなくて大丈夫よ......でも、ユノンが心配してくれているのは、そういうことではないのでしょ?」
    「うん......」
    「やっぱりね、ユノンには分かっちゃうのね」
    百合香はときどき考えることがあった――馨は身代わりとして傍に居させているだけなのじゃないかと。
    本当に好きなのは長峰翔太だ、という自覚はある。一人になった時など、図らずも翔太のことを思い出してしまい、寂しくなることもあった。なにしろ翔太とは外で会うよりも、家の中で過ごすことが多かったのだ。家の中ならどこに居ても、彼を思い出す切っ掛けが転がっていた。
    正直なところ馨とは、彼女が積極的に迫ってこなかったら交際してはいなかっただろうと思う。誰かと交際するつもりだったら、特にあの日は馨の前に伊達とも会っていたのである。伊達からの申し入れを先に受け入れていたはずだ。
    「とにかくあの日は、馨の方が必死だったの......馨にしてみれば、身体的な障害を抱えて、それで今まで好きになった女性から拒絶されたってことがあったから、自分を理解してくれる人に出会ったら、絶対に逃がしたくないって思うわよ」
    と百合香が言うと、ユノンも頷いて、
    「しかもユリアスは失恋したばかりで、落としどころでもあったしね」
    「まあ、そうね。だから、私と馨の交際は、まさにタイミングが合ったのよ。......だけどね、ときどき思うの。私、馨の体だけが目的で付き合ってしまったんじゃないかって」
    百合香がそう言うと、ユノンはミルクティーを一口飲んで、言った。
    「やっぱり、そういうことを悩んでたんだ」
    「ユノンには気付かれちゃうね、そうゆうの」
    「もう、付き合い長いもの」
    と、ユノンは微笑んだ。「大丈夫、心配いらないって」
    「そう?」
    「だってユリアスは、カールがファンタジアでバイトしていた頃から知ってるでしょ? その間に充分彼の――ううん、彼女の人柄は見てきたじゃない。そりゃ、ミネさんほどは好きじゃないのかもしれないけど、それでも、一緒に働いている間にかなりの好印象は感じてて、だからカールに迫られた時、交際してもいいなって思えたんだよ。大丈夫、体だけの関係じゃないよ」
    「......ありがとう。誰かにそう言ってもらいたかったのよ」
    「うん、感じてた。だから今日はユリアスに会いに来たの」
    ユノンは誰よりも間近で百合香の恋の経緯を見てきた。だからこそ、ユノンに言ってもらえた言葉なら信じられる。
    「やっぱり持つべきものは友達ね」と、百合香が笑うと、
    「そうでしょ? だから私のことも大事にしてね」
    「うん、大事にする」
    「それじゃ、そろそろお家に戻らない? いくらなんでも、もうキィちゃんのロマンスタイムも終わってる頃だと思うよ」
    「あっ、そうね! 幸太くんをお家に返してあげないと」
    二人はまだ飲みかけ・食べかけの飲食物をそれぞれに持って、東屋を後にした。

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