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独断と偏見で楽しむイタリア芸術

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  • from: シニョレッリさん

    2013年03月01日 10時46分53秒

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    リナシメント芸術家(31) ロレンツォ・ロット

    従来からロレンツォ・ロットは好きでしたが、「早春の旅」で、特にマルケ地方で彼の作品を見るうちに、当時としては異端的と言うべきであろう彼独自の特異な作風や鮮やかな色使いに圧倒されるようになり、より一層好きになりました。

    この「受胎告知」が彼独特の特異性を表している代表作だと思います。受胎告知を受ける聖母は「いやーん、私はそんな者ではありません」と言いながら、大天使ガブリエルから逃げ惑っているかのように描かれています。それに、このクロネコは何でしょうか?
    フラ・アンジェリコ、レオナルド・ダ・ヴィンチや数多の画家たちの「受胎告知」は、厳粛な雰囲気のもとに敬虔に告知を受ける聖母と言うのが普遍的な表現ですが、ロットのこの表現には驚かされます
    レカナーティ市立美術館にあります。

    この「受胎告知」も彼独特ですよね。イエージ市立美術館にありますが、今回は修復中で見ることが出来ませんでした。この作品画像は同美術館HPから転載させて頂きました。

    3か月半振りの「リナシメント芸術家」です。その理由は芸術家別に私が見た作品リストを作成しているのですが、昨年からの分をそれに付け加える必要があるにも拘らず私の怠惰のために全く滞っているからです。それにイタリアではリナシメント、バロッコは余り使用されていない単語で、イタリアでは、芸術史上の時代概念によってトレチェント(1300年台)、クヮットロチェント(1400年台)、チンクエチェント(1500年台)、セイチェント(1600年台)などと言われるのが普通なので、「リナシメント芸術家(長くなるので、バロッコも含めることにしています)」と言う標題を使うことに抵抗感が出てきたのも大きいのです。
    舞台裏の話はこれぐらいにして、ロットの生涯について少し触れて見たいと思います。

    Lorenzo Lotto(1480ヴェネツィア生まれ~1556ロレートで没):修業時代の確実な記録がありませんが、初期の画風がジェンティーレ・ベッリーニ、ジョヴァンニ・ベッリーニの影響が色濃く見られ、ジョルジョーネの自然主義的傾向も垣間見えることから、ベッリーニ工房で修業したとの説があります。その後、ヴェネツィア派の発展に寄与したアントネッロ・ダ・メッシーナ、アルブレヒト・デューラーの影響を受けながらも、斬新な構図を取り入れ、鮮やかで豊かな色彩を駆使して、優れた人物表現、荒々しいタッチ、どこか不安定さを思わせる複雑、そして神経質な独自の画風を確立しました。生涯に制作した作品数は約400点弱と言われ、生涯に渡って優れた肖像画、宗教画を制作しましたが、その一方で彼の画料は非常に安かったことから、絶えず貧困に悩まされていたそうです。
    性格は神経質で、社会や周囲からの孤立を好んだ上に狷介で、生涯結婚せず、家族を持たず、友人と言える友人はいなかったようです。ヴェネツィア共和国は国家としての枠組みが強烈だったことから、彼の性格にはヴェネツィアが合わないことに加え、当時、ヴェネツィア芸術界を牛耳っていたティツィアーノとも合わず、結局、生涯に渡ってトレヴィーゾ、アーゾロ、ローマ、イエージ、レカナーティ、ベルガモ、サント・ステファノなど時々ヴェネツィアに戻りながら各地を転々としながら制作を続けたそうです。死の2年前、ロレートの聖なる家修道院に在俗者として入り、修道院で没したそうです。
    現在、ティツィアーノと並ぶヴェネツィア派の巨匠として高く評価されていますが、活躍の主要場所が地方のマルケやベルガモなどだったことから、彼の存在は死後直ぐに忘れ去られ、再評価されるようになったのは20世紀直前のことでした。
    では、最後に私が好きな作品を載せましょう。

    「荒野の聖ヒロエニムス」で、ローマのカステロ・サンタンジェロ国立博物館にあります。

    ベルガモのサントスプリト教会にある「サントスプリトの祭壇画」です。

    「アレッサンドリアの聖女カテリーナの神秘な結婚」ですが、ベルガモ、カッラーラ美術館の所蔵です。

    上が「聖フランチェスコと聖女キアラ」、下が「玉座の聖母子と聖ジュゼッペと聖ジロラモ」です。イエージ市立美術館にあります。

    上が「受胎告知」、下が「ご訪問」で、イエージ市立美術館にあります。

    ロレート、聖なる家美術館所蔵の「幼きキリストへの崇拝」です。

    ロレート聖なる家美術館にある「神殿奉献」です。彼の絶筆と言われています。彼にしては非常に弱弱しい感じがします。彼の晩年における困窮と体調不良が垣間見え、目頭が熱くなりました。

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