をを　作家や学者、画家など23人が自分の本棚について紹介した本です。

　いずれも蔵書家であり、本の数はたいへんなもので、その保管には皆さん頭を悩ましています。作家・学者ではない私も実家の本、今のマンションの本の保管・整理にに悩んでいます。それで、解決策のヒントになると思い読み始めたのですが、みなさん同じような悩みを抱えていて、なるほどと思えるものはありませんでした。

　しかし、他人の本棚を見るのは楽しいものです。自分の知らなかった本やその人柄をうかがわせるジャンルの本、自分と共通する本、そして、保管の状況・方法などなど。

　何人かは書棚の写真を載せています。図書館のような書棚もありますが、中に鹿島茂氏の本棚が載せられていて、こんな書庫は理想的・自分もこれを作りたいと思っていたのですが、氏が蔵書のうちから選んだ豪華本を並べてレンタル書庫・書斎にしたものでした。

　電子書籍が出回っていますが、やはり皆さま紙の本に愛着があるようです。私も五感に訴える紙の本に軍配を挙げています。目で見て、手に触り、匂いを嗅いで、ページをめくる音、味覚さえ感じさせる紙の本は、デジタル化された本では味わえないと思います。

　昔は、本屋の梯子をしたものですが、今は、近くの伊勢丹にジュンク堂ができ、結構な品ぞろえで、一回りもできず、疲れ切っての帰りには伊勢丹のデパ地下で缶チューハイを買って、近くの川べりで疲れをいやしています。

昔、新入社員研修でよく「健康」がなりより大切ですと言われましたが、当時は高度成長期でがむしゃらに仕事に専念する風潮がありました。
　体力、持久力のないわたくしはそのために空手道をはじめました。

　この年になると健康が問題となり、毎日胃腸の痛み・不快感、どことなく活力・気力が出ない日々です。このため、読書量も減っています。
　ただ、数年前から空手道を始め、気力は充実しつつあります。

　それでも最近は読書に億劫になる日々です。
　体は頭から足裏までなんらかの病に陥っていますのですが、やはり若いころの勉強は大切だったと思う次第です。
　でも、一日に一つでも新しいことや面白いことに出会えればと本を開くように努めています。

瀬戸内の白綱島を中心にした6編の短編集です。白綱島とは因島のことだと解説で述べています。

　白綱島は本土と吊り橋で結ばれるのですが、そこでの日常、生活、島のイベントなどをもとに、様々な悩み・苦労・人のしがらみなどからくるミステリーになっています。
　「みかんの花」、「海の星」、「夢の国」、「雲の糸」、「石の十字架」、「光の航路」で、「星の海」は65回日本推理作家協会賞受賞作です。

　島にいた人、島から去る人・戻ってくる人、ととどまる人のそれぞれが書かれています。
　ミステリーですが、そうとは知らずに読み進めていくうちに、そうだったのかと思わせる終盤でのあっと思わせる真相が明らかになります。

　読んで面白かったと思うと共にしみじみとした感じを残す作品です。

一日に一つずつ世界のなぞが解けていく。私もこれは生き甲斐になると感じています。

　教養とは、「ワクワクすること、面白いことや楽しいことを増やすツール」と述べていますが、スポーツや技芸、語学やそれによる海外の人との出会い・交流などいろいろなものがあります。

　「本・人・旅」から多くのことを学んできたと著者は書いていますが、縦・横の広がり・流れの現状・歴史と平面的な地理・風景・歴史、そして人とのつながりに教養の源を見出しています。
　国内外の時事問題に関心を持つことも大切と言っていますが、英語はますます国際語としての性格が強まっていて、世界のことを知る上では大切な要素とも述べています。

　そして、何事も「自分で考え」、「自分の言葉で」、「自分の意見」を言えるようなるべきと説いています。

　本物の教養とは古典を読み、外国語を学び、書画・技芸に通じ、数物や歴史・哲学に通じるを考えますが、最後の一言が肝要なのでしょう。

588ページの大冊で、やっと読み終えました。

　老舗の中小企業・足袋製造会社がじり貧の足袋の製造から新規事業にとランニングシューズに進出、一方足の故障で大手メーカーから支援を打ち切られた長距離ランナーとのお話です。
　大企業でも企画部門や新規のプロジェクトチームは、資金力、有力銀行があるとはいえ同様の経営上での苦労を持っていると思います。中小企業だけでなく、企業のサラリーマンにはいい本です。
　そして、長距離レースの面白さを見せられるお話でした。

　当初、文庫本をハードカバーにしたような作りたと思いましたが、地味なカバーを外すと表紙は結構凝ったものになっています。
　初出は「小説すばる」2013年～2015年4月ですが、今年の本屋大賞にノミネートされることは間違いないでしょう。