「鬼の棲む家」 吉村達也 集英社文庫

結婚１年にも満たない華子は夫のＤＶ（家庭内暴力）に苦しめられた挙げ句に思いあまってその夫を殺害。「あの家には鬼がいた」と弁護士に語る。華子の父は夫こそが加害者で、娘は被害者だと訴え、罪の軽減に奔走するが、警察やマスコミの理不尽とも思える態度に憤りを覚える。家族から殺人者を出してしまった一家の崩壊する心理を描くミステリー。

これはなかなか面白いだけに、ちょっと残念な感じのする作品です。
主軸となるストーリー展開の他にも、ＤＶや殺人事件に対する警察やマスコミの対応など、緻密に書き上げていけば、それだけで１冊の本になる内容なのに、あっちの上澄みをすくい、こっちの皮をつまんでって感じで中途半端に書いてるんですよ、もったいないです(笑)

ミステリーと呼ぶほど、謎解きの要素はない気がしますが、ラスト１章を読むうちに頭の中に浮かんだ疑問符は、最後で納得です〓