カラヴァッジョの「十字架降下」（1602‐04）です。縦300㎝×横203㎝の大作で、バリオーネ裁判でカラヴァッジョたちと法廷で争ったジョヴァンニ・バリオーネも称賛したそうです。
現在、ヴァチカン絵画館で展示されてます。

元々、この作品はローマのサンタ・マリア・イン・ヴァッリチェッラ教会、ヌオーヴァ教会と通称で呼ばれることが多いようですが、その教会のピエタ礼拝堂の祭壇にありました。
18世紀末、ナポレオン軍がイタリアに侵攻しましたが、1797年、法王庁との停戦を定めたトレンティーノ条約を締結し、その条約によって、この作品はフランスに渡りました。
ナポレオンの没落後、この作品はローマに戻されることになり、1816年、ヴァチカンの所有となり、現在に至ってます。
ヌオーヴァ教会は、元々ピエタ礼拝堂にあった作品なので、フランスから戻される際にヌオーヴァ教会に戻すことを主張しましたが、ヴァチカン当局が拒否したそうです。
その後も何度もヌオーヴァ教会側はヴァチカン当局に、この作品の返還を求めましたが、その願いが叶うことなく現在に至ってます。
カトリックの総本山に対して、その支配下にある、単なる一教会がモノを申しても犬の遠吠えにもならない好例ですね。