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  • from: 一久さん

    2008年10月25日 07時13分56秒

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    非合理的精神の薦め

    【「資本主義の精神」に加えるべき一遍】

     マックス・ウェーバーは資本主義に必要不可欠なものとして、
    次の三つの「精神」をあげた。

    ① 労働そのものを目的とし、救済の手段として尊重する精神

    ② 目的合理的な精神

    ③ 利子・利潤を倫理的に正当化する精神

    (小室直樹著 「経済学をめぐる巨匠たち」ダイヤモンド社
                           P143 10行目〜より)

    【第四の条件】

     だが私はここにもうひとつの条件を加えたいと思う。第四の条件、それは、

    ④ 非合理的な動機や目的を持ち、それを実現させようとする精神

     これである。そしてこれこそが、シュンペーターのいう起業者を生む源であり、彼の資本主義衰退論に対する答えでもある。

     ちょっと待ってくれ、②と④は矛盾するではないか、目的合理的であれ、といいながら、非合理的であれとはなんだ、と。だが、誤解してもらっては困る。目的を達成するための行動は合理的でなければならないが、その目的の設定自体は合理的である必要はない、いや、合理的であってはならない。

    少なくとも、”普通の人”に「合理的」であると判断されるような目的であってはならない。そういうものは、同業他社でもすでに検討されているであろうからである。

     多くの会社役員が賛同するプロジェクトは、すでにそれ故に陳腐なものであり、そのような計画を他社と競って打ち勝つ会社は、規模の大きな先発の会社に限られるということになる。シュンペーターの杞憂は、その結果、起業者がいなくなり社会主義化する、というものであった。

     非合理的な動機や目的とは要するに、その時点では誰もが認めないような「馬鹿げた」計画のことである。しかし、これなしには、起業者は生まれない。松下幸之助も、本田宗一郎も、その創業の段階では「身の程知らずな愚か者」でしかない。

     インスタントラーメンの発明者・安藤百福氏は、インスタントラーメンの開発をしたいと会議にはかったが、京大・阪大出のスタッフ、さらには彼らの恩師の大学教授らの「無意味だ」、という反対を受けて断念している。当時、彼は羽振りのいい会社の社長であったにも関わらずである。

     安藤氏がインスタントラーメンの開発を始めることができたのは、その会社が金融機関の破綻に連座して潰れ、家一軒のこして丸裸になってからである。この物置小屋で彼はその「非合理的」とかつてインテリたちに判定された自分の思いつきを実現させるべく奮闘する。そしてチキンラーメンが生まれた。

     「非合理的」な動機や目的こそが、革新を生む。そうであればこそ、小企業が大企業と交代する場面もでてくる。巨人・エニアックは小僧・IBMにその座を追われ、IBMはビルゲイツというオタクに引っかき回され、マイクロソフトは学生の趣味から生まれたリナックスの影に怯える。ビッグスリーは日本メーカーに追いまわされ、トヨタはホンダに突つかれる。

     将来、市場予測技術が極度に発達して、どんな「馬鹿げた計画」と思われるようなものでも、コンピューターにかければ成功することが分かるようになれば、そのときは、シュンペーターのいうように社会主義化するのかもしれない。

    しかしそれは、社会主義というより共産主義的というべきものであり、このような社会は、非合理的な動機や目的の現実化がたやすくなるということをしか意味しない。なぜならば、非合理的な動機や目的は、個人の心からしか生まれないからである。

     また、コンピューターに「あなたの案件は絶対に失敗します」と判定されたとしても、それであきらめないからこそ「非合理的」なのである。おそらくトライの結果は失敗に終わるであろうけれども、その失敗自体から意図しなかった成功が派生する可能性がある。実際、多くの新規事業や発明・発見が初期目的の失敗から生まれている。このような「目的が変わってしまった成功」をコンピューターは予測できまい。

    (カニカマは、本当は中華のクラゲの酢の物を作るつもりだったそうだ。ところが酢に弱く、ふにゃふにゃしたものになってしまった。でもこれ、なんかの感触に似ていると思い至ってカニカマに化けた)

     「非合理的な動機や目的を持ち、実現させようとする精神」これこそが資本主義の、そして革新の根本的精神なのである。

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