白い鴉と言う詐欺師集団が現れる。彼らの目的はいったいなにか？いろんな人を騙し多額のお金を巻き上げるが・・・。思っていたほど面白くなかったです。今回の新堂作品はハズレかな。上手く騙しているところは、なかなかだけどいまいちでした。

「でっちあげ」福田ますみ 新潮社
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福岡県の小学校であった教師による児童虐待。学校側の隠ぺい体質とマスコミの過剰報道によって「暴力教師」の烙印を押された教師の裁判ドキュメント。真相に近づくにつれ様々な矛盾点が…
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◆池井戸潤が最近、面白かった作品として推薦してたんで読んでみました。確かに面白かった。これが巷で言うモンスターペアレントかと絶句。事件そのものより、マスコミ・ワイドショー等が大衆を煽り、面白おかしく事実をねじ曲げて報道しているかを再確認させられましたわ。自宅では一切読書しない私が公休日に一気読みでした。◎

任侠学園の続編ですが、これを読んでいて任侠シリーズが３作目だということを知りました。シリーズ１は「とせい」という本でした。この本はうちの図書館にはないので、遅ればせながら１２月に購入することにしました。うっかりしていました・・・。前回は潰れかけのゴミだらけの学園を建て直した、お話でしたが、今回はなんと病院の建て直しですよ。極道が怪我した時にかかる病院？と誰もが思うことですが、まるで水戸黄門さまのような、阿岐本組のオヤジさん。代貸しの日村さん。いろんな邪魔が入り、再建の道が危なくなりますが・・・。面白かった！！

久しぶりに、雑誌以外の本を読めて、大満足です。
ここでの評判どおり、人物も良く書けていたし。ストーリーも面白かった。★です。

これを読んで、今年のクリスマスは、すこし凝った料理をしよう！な〜んて思いました。ほんの一瞬ですけどね･･･。

　ナンパを重ねていた実入りのいい青年サラリーマン楊瑞。ある日、テコンドーの教習所で雑用係をしている安心に出会い一目ぼれしてしまう。
　楊瑞は社長の妹で副社長をしている鐘寧や米国に渡った華僑の富豪の娘貝貝とも関係を持つが、安心との仲は深まる一方。一方安心は見かけによらぬ複雑な過去を持っている。×イチで子持ち、しかも元警察官で麻薬取締官であり、麻薬の売人家族の弟とも関係を持っているが、その兄弟とは麻薬取り締まりで敵同士になっている。
　しかし、楊瑞と安心との仲はそれでもますます深まっていくが・・・

といったテレビドラマ、映画にもなった作品です。

　確かに、安心との仲はどうなっていくのか、付き合っていた鐘寧や貝貝の関係をどうするのか、安心の元愛人のいる麻薬の売人一家への捜査・兄弟との撃ち合いの場面などテレビや映画になればハラハラドキドキさせられる場面が続くと思いますが、余り内容のない作品と感じました。

　また、現在の中国小説もここまで来たかと思わせるセクシャルな記述が多く、前作の「五星大飯店」のような青春ドラマを卒業したアダルトドラマと言えそうです。

　ただ、現在の中国の世相を知るうえでは大変参考になりました。

｢化合｣今野敏（講談社）

板橋区の公園で男性の刺殺体が発見された。被害者はイベントサークルの主催者で多額の借金と男女間のもつれがあった。
事件の指揮をとる烏山検事は、独断で容疑者に同行を求め自白に追い込む。警視庁の若き菊川刑事と所轄のベテラン滝下刑事は別の犯人がいるのではと信じて秘密裏に捜査を行う･･･検事と刑事の力関係も興味深かったです。
ハマジンさん、私も面白かったです。｢化合｣という表題も解ったような･･･　図書館から予約をいれて借りた甲斐がありました。★です。

　よく知られる葛城山・吉野の役小角（えんのおづね・役行者）のお話。
　小角は山川・谷に住み、天地の気を受ける修業を重ねていて、誰からも命令を受けず、奪わず、助け合うくにをつくろうとしている。これに反して大和の飛鳥、遷都して藤原京では”うの”（持統帝）が実権を持ち律令を定め、国造りを進め、民から税や労働を搾取している。

　小角と”うの”（＝国家）との戦いの話であるが、共に祈りを通じて力を得ている。山に住む自由の民と国と秩序を造ろうとする為政者とのすざましい争いである。

　役の行者小角は蔵王権現を呼び出し、修験道を開いた歴史上の人物であるが、その修業と蔵王権現出現の経緯は、私のような天地や山川草木に霊を感じようとする人間には非常に興味深いものがあります。

　役小角を全面的に肯定するつもりはありませんが、今回の東日本大震災は日本人の心の頽廃や東電の驕りなどの不浄が積み重なったものかと感じさせられました。

　こころが洗われ、この世の何が正義（正しい）か深く考えさせられる本です。

早いものでまもなく12月。仕事はヒマだが娘の看護実習に振り回されて疲労困憊の日々。
月末に書けそうもないので今日まで読んだ本を軽く紹介〜(読んだ順)。

①「乱れからくり」泡坂妻夫
最高に面白い。正統派の推理もの、トリックが好きな人は是非！

②「ふがいない僕は空を見た」窪美澄
冒頭から官能小説ばりの描写に引く。そこを乗り越えるとなかなか深みのあるいい話。連作集なんだけど、いまひとつまとまりに欠けるのが惜しい。

③「アジアンダムブルー」大崎善生
水溜りの写真ばかりを撮影する妻とアダルト雑誌の編集者の夫。その妻が末期の病で余命いくばくもないとわかったとき…。
気負いのない文章で深緑色の美しい世界が広がっていてよかった。

④「明日この手を放しても」桂望実
中途失明者の妹と自分勝手でわがままな兄。母が死に父が失踪し、分かり合えない兄妹は２人だけの生活をおくる。様々な出来事を通してお互いを思いやるようになり大切な存在だと気づく。
丁寧で優しい文章。ただオヤジの失踪が最後まで謎なのがイマイチ。

⑤「でっちあげ」福田ますみ
すばるさん評価済み。こんな話を聞くと教師になるのが怖いね。

⑥「潜入ルポ　アマゾン・ドット・コム」横田増生
ジャーナリストの横田氏がアマゾンの物流センターで半年間アルバイトをする。しかしアマゾンは極端な秘密主義で(しかも日本法人は何も権限がないみたいだし)実体はベールに包まれたまま。
徹底したコンピュータによる数字管理と、日本の再販制度を完全無視のビジネス手法でぐんぐん伸びるアマゾン。ヘビーユーザーの私としては無茶をしないで末永くよろしく☆と願います。
わかりやすい経済本としても楽しめるいい本です。

⑦「はぐれ猿は熱帯雨林の夢を見るか」篠田節子
４編の短編(と中編のあいだくらい)からなる。巷ではSFと言う人もいますが、絵空事ではないシュールな内容ですごく面白かった。
特に「豚と人骨」という話は、東京の一等地の土の下から縄文時代の人骨が出てきたことで思わぬ事件が起きる。人間同士のドロドロも上手いけど、こういう人類存続に関するテーマもすごくよく書けていて、篠田さんは最近いいですね。

★今は27日返却期日(予約待ち300人)の「ジェノサイド」を必死に読んでます。事態が動き出せば早いんだろうけどそこまでが長い。読み終わるかな…。延長できないしな。

「焔」堂場瞬一 実業之日本社文庫
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プロ野球東京スターズの主力打者・沢崎は、来季のメジャー移籍に向け、旧友で代理人である藍川の指示通りイメチェンに努め、首位打者の初タイトルを狙うが…
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面白かった〜♪野球を題材にしていますが、むしろ交渉代理人のお話です。野球に詳しくなくても十分に楽しめます。八章以降の盛り上がりは素晴らしい。ラストもまさかの展開でした。
もちろん、野球ファンなら「このモデルは○○選手だろ？」とか、このアクシデントは実際にあった「あれ」と「あれ」を組み合わせたんだなぁ…と思わずニヤリです。★

　８月１８日夜、江戸仙台堀で川並（かわなみ：いかだ乗り）の「満月腕試し」が開かれる。川並差配の小川屋新五郎（33）に川藤屋健次（27）が立ち向かう。共に好敵手で気心の知れた仲。
　木場材木商老舗の木柾庄左衛門の所に大島屋隠居小兵衛が隠居部屋の普請に紀州熊野の杉材木６百本を注文。
　磔の死刑にあった鼠小僧次郎吉の相棒、新宮屋の祥吉が杉材の買い付けと廻送を請け負う。そして祥吉は次郎吉の子供大次郎をつれ川並の健次と廻送屋熱田屋の尾鷲丸で紀州新宮に向かう。

　荒っぽい危険な仕事と大きな商売をする川並、廻船乗組員と材木商、それだけに伝統としきたり、決まりをわきまえている。物語は新宮での材木買付の場面で終わるが、出てくる配役の気性と心意気がよい。同じ船に乗り合わせた水戸藩の材木買付けに赴く３人の武士もたいしたものだ。

　読み手によって評価は分かれるが、川並、材木商、船乗り、樵、それに仙台藩の武士のそれぞれのプロとしての心構えがよい。