今回は、30歳前の若さで夭逝したために、今では殆ど忘れ去られた存在の画家ジョヴァンニ・バッティスタ・ポッツォ Giovanni Battista Pozzo（ミラノ1561年または1563年生まれー1590ローマで没）を取り上げます。

レオナルド・ダ・ヴィンチのミラノ滞在中に、彼の作風から強い影響を受けたレオナルドスキと呼ばれた画家たちによって一時期更盛期を迎えたミラノの芸術界でしたが、ポッツォの生まれたころには、それらの画家たちは没してしまい、天性の画才を持ったポッツォにとっては、ミラノはもはや活躍の場がない土地ということで、やがてローマに移住します。

彼の生涯についての記録が殆ど残されていないので、画風形成の過程や具体的に誰に師事したなどについては、分かっていません。
1566年にボローニャからローマに戻ったロレンツォ・サッバティーニ通称ロレンツォ・ボローニャの工房にいたという説がありますが、確証がありません。
恐らく、ローマの教会や宮殿にあった祭壇画やフレスコ画を観賞しながら、独学で腕を磨いたという説が、最も説得力がありそうです。

彼が若くして死なず、長生きしたならば、ローマの画壇が大きく変わっていたとされる天才中の天才です。

現在、普段彼の作品が見ることができるのは、ローマのサンタ・スザンナ聖堂のサン・ロレンツォ礼拝堂に描かれたフレスコ画だけと思います。

ローマのサンタ・スザンナ聖堂です。

ポッツォの「聖ゲネギウスの洗礼」

ポッツォの「ディオクレティアヌス帝前の聖ゲネギウス」
カラヴァッジョが賞賛した作品です。