・阿倍内閣の独走
　第二次阿倍内閣の安倍普三首相は、第一次内閣の当初から、「お友達内閣」の異名を頂戴するくらい、自分と同意見の者だけを集めて政治を進めていた。
　それは、閣僚は勿論のこと、集団的自衛権容認の屁理屈をこねてもらう阿倍の私的懇談会の委員から法制局長官、NHKの会長までに及ぶ徹底さである。
　「自分は、国民から選出された首相であるから、すべて自分で決める。その結果ついては、自分が責任を持つ」とよく言う。
　まるで、自分が直接国民から選挙された大統領気分でいるのだ。
　そして、党にきちんと諮りもしないで、石破幹事長だけを相手に、右傾化政策をどんどん出すから、党内からも内閣独走の批判が高まっているのだ。
　更に、２０１４年５月には、中央省庁の幹部人事を一元的に管理しようと、内閣人事局を発足させ、官僚は阿倍人事に戦戦恐慌となっている。
　自分の言うことを聞かない奴は左遷させると言わんばかりの組織である。
　これら一連の阿倍のやり口は、民主主義議会政治の理念を骨抜きにする独裁政治志向である。
　日本は民主主義国家ではあるが、こうした形でのなしくずしの反民主主義も行われるのである。

其の原因は、声明によれば、「経済政策の失敗」「共産主義の一掃」「汚職」「経済状況悪化」「官僚の腐敗」「社会の混乱」等などいう。が、これらの原因と称される現象は、他の国にもある普通の現象であり、それは内閣の総辞職とか首相の交代、あるいは国会の解散、総選挙による出直しなどで対応するのが普通のやり方である。その度にク－デタ－などは起こさない。
　タイの場合、それらの理由でク－デタ－を頻発させるのは何故なのか。
　タイは王侯貴族を中心とする地主階級と貧民階級に二分されており、この二つが対立し、抗争が長期化すると、軍がク－デタ－を起こして、調停役を果たす。すると、国民から尊敬されているプミポン国王が出てきて、「争いは止めなさい」と収める、というパタ－ンになるのである。
　貧民階級は農民が主で有権者の多数を占めているから、タクシンはこの層に厚い福祉政策を実施し、タクシン派に取り込むことによって政局の安定を図ってきたのである。それが都市の中間層の反発を招くのである。　
　軍もク－デタ－を起こしても、あくまで一時的な調停役に徹し、ミャンマ－やパキスタンのように、軍政を敷いて長期に政権に居座るようなことはしないから、国民も「時の氏神」みたいにそのクーデタ－を受け取っているのであろう。
　
　
　それがタイでク－デタ－が頻発する理由ではないかと思う。

　

　タクシン一家が不正のに資産を蓄えたのも、このような支持背景があったからこそできたのであろう。
　これに対して都市部の中間層は不満で、反タクシン運動を展開、再三大規模な反政府デモ活動を行ってきている。
　タクシン一家の不正蓄財は告発され、タクシンは有罪判決を下され、国外に逃亡した。
　それにも拘わらず、農村部を中心として、議員の多数を擁するタクシン派は、総選挙で勝利し、タクシンの妹のインラックを首相の座に据えたのだ。
　国論が二分することは他の国でもままあることだが、タイのように、国民が完全に二分され、反政府は黄色いTシャツをタクシン派は赤いTシャツを着て、闘っているのだから、武器は持たなくても内戦化みたいな状況になっているのは珍しい。
　タイでは、戦後だけでも１９回もク－デタ－が起こっているという。
　クーデタ－のパタ－ンも決まっている。
　軍がク－デタ－を起こして首都を制圧する→ク－デタ－の指導者が国王に忠誠を誓う→ク－デタ－指揮者がやがて政治を奉還する→国王のお言葉があり、総選挙が行われる、というパタ－ンである。
　クーデタ－の原因については、指揮者が声明を出すことが多いむが、出されない場合もある。

　プーチンは、エリッインの後継者として１９９９年から１年大統領代行を務めた後、大統領選で当選して、２００８年まで２期大統領を務め、その後は、腹心のメドベ－ジェフを大統領に据え、自らは首相となって、院政を敷き、メドベ－ジェフの任期切れを待って、２０１２年には３期目の大統領に就任、首相にはネドベ－ジェフを据えるという、歴史上初めての極端なたらい回しで政権を独占してきているのだ。
　プーチンは、手続き上こそ民主的な形をとっているが、野党の政治活動を制約するばかりではなく、数々の選挙違反を重ね、それを暴いた新聞記者を暗殺するという、暗黒政治を続けているし、反対デモに対しては、刑法の「中傷罪」で処罰するという圧政を続けているのだ。
　つまり、民主主義の仮面を被った独裁恐怖政治を敷いているのである。
３タイの国家二分化現象
　タイは民主主義国家だが、有権者の過半数以上を占める農村部と都市の中間層を中心とする都市層に二分されている。
　これは、タクシン政権時代に、農村部に対して、手厚い福祉政策をとり、教育。医療は無料とするなどで支持率を高め、農村部は圧倒的なタクシン支持層となったのである。
　そのため、総選挙では、数の多い農村部に支えられてタクシン政権は絶対的な強みを持っていたのである。

・民主主義ももろい
　民主主義が最高の政治体制であると、皆が認めるものであれば、これが崩壊することは考え難いが、そうでもない。いくつかの事例を挙げて考えてみよう。
１ワイマ－ル憲法の崩壊
　
　第一次大戦で敗戦後、制定されたドイツのワイマ－ル憲法は、理想的な民主主義憲法であると言われた。
　憲法には、「国会議員は良心にのみ従って討論する」と規定されていたが、小党分裂の政界で、それは忘れ去られ、国会は利害闘争の場に化し、理性的な決定は不可能となった。
　その個々の社会勢力のいがみ合いが、決められない政治と化し、ヒットラ－台頭の素地をつくることになり、ナチス憲法に置き換えられてしまったのである。
２ロシアの民主主義体制
　ロシアは１９９１年にソ連が崩壊してから、民主主義国家になっているが、実態はそうなってはいない。
　特にプ－チンが大統領になってからは、プ－チン政権批判の
新聞、テレビは徹底的な弾圧をうけ、政府に買収されたり、編集者が交代させられたりして、御用新聞、御用テレビ化してしまっている。
　そればかりではない。政府に批判的なジャ－ナリストが、外国人ジャ－ナリストを含めて、百人以上もが行方不明になったり、暗殺されたりしているのである。
　それは政府の仕業と分かってはいるが、警察も動かないから闇に葬られたままである。
　また、政権もプ－チン帝国化してしまっている。

　また、第二代の米国大統領、ジョ－ジ・プラトンは、「大衆による統治は、平等という名で、金持ちに重税を課し、その結果、怠け者、悪者が放蕩の限りをつくし、カネがなくなれば、金持ちに更に分け前を要求することになりかねない制度である」と述べている。
　こんな極端な形にはならないが、これも、アメリカ建国の自立、自助の精神に基づく考え方であろう。
　この精神は、現在も引き継がれている。
　オバマ大統領は、生命保険に入れない４０００万人もの貧困層の医療費負担を援助するために、民主党の念願であった健康保険法改正を行う際に、自然発生的な白人中韓所得層の市民組織「ティ－パ－ティ」から猛烈な抵抗を受けた。保険にも入れない怠け者に、我々の税金を使うことは、自主、自立のアメリカの精神に反する」という理由であった。
　　この考え方は、スカンジナビア諸国やＥＵ、日本とは違う、民主主義のもとでの社会福祉政策に対する米国民の考え方を示すものである。
　このように、民主主義といって、いろいろで、国民性、伝統、大統領権限の範囲、議会権限などによって異なるが、共通している点は、基本的には国民の民意をベ－スとして政治が遂行されるという点である。

１民主主義という政治体制
　英国の元首相、チャ－チルは「民主主義は面倒でうんざりするが、他にこれより優れた政治体制がないから、我慢するより仕方がない」と言った。これは民主主義に対する褒め言葉である。
　民主主義は、古代ギリシャのアテナイで生まれた政治体制である。
　紀元前６世紀頃のアテナイでは、貧富の差が大きく、貧乏人は、金持ちから借金をして暮らしをやりくりしていたという。貧乏人だか、勿論資産などはないから、自分の身を担保にして借金していた。その借金の支払いでできなくなったら、自分が奴隷となって働かされたのである。
　このような貧民の増加を憂いたソロンという名の政治家が、貧民の借金を棒引きにし、人間を担保にすることを禁止し、富裕層に限らず全市民が政治に参加できるような仕組みを造ったのである。
　これが民主主義のプロトタイプだと言われている。
　しかし、皆が手放しで民主主義を讃えたわけではない。
　　プラトンは、「民主主義は、指導者が金持ちから財産を奪い取り、自分でたんまり懐に入れてから、残りを貧民に分け与える制度だ」と切り捨てている。

１民主主義という政治体制
　英国の元首相、チャ－チルは民主主義は面倒でうんざりするが、他にこれより優れた政治体制がないから、我慢するより仕方がない」と言った。これは民主主義に対する褒め言葉である。
　民主主義は、古代ギリシャのアテナイで生まれた政治体制である。
　紀元前６世紀頃のアテナイでは、貧富の差が大きく、貧乏人は、金持ちから借金をして暮らしをやりくりしていたという。貧乏人だから、勿論資産などはないから、自分の身を担保にしてｄ借金していた。その借金の支払いでできなくなったら、自分が奴隷となって働かされたのである。
　このような貧民の増加を憂いたソロンという名の政治家が、貧民の借金を棒引きにし、人間を担保にすることを禁止し、富裕層に限らず全市民が政治に参加できるような仕組みを造ったのである。
　これが民主主義のプロトタイプだと言われている。
　しかし、皆が手放しで民主主義を讃えたわけではない。
　　プラトンは、「民主主義は、指導者が金持ちから財産を奪い取り、自分でたんまり懐に入れてから、残りを貧民に分け与える制度だ」と切り捨てている。

　 阿倍の右傾化政策に反対している勢力は知性豊かなインテリ層が中心である。
　阿倍にとっては、そのインテリ層が天敵なのだ。
　自民党議員の数を頼んで、それを無視して右傾化政策をゴリ押しで可決しょうとしているのである。それを反知性主義と決め付けているのであろう。
　そういう非難は、一強複弱と言われるくらいに自民党を勝たせすぎた国民に向かって投げつけるべきであろう。
　それは、劇場選挙といわれた、２００５年の郵政民営化を問う国民投票的な選挙で、小泉自民党が大勝したのと同じレベルの選挙であり、国民の民主主義レベルの未熟さの表れなのだ。

　知性豊かなインテリ層が中心である。
　阿倍にとっては、そのインテリ層が天敵なのだ。
　自民党議員の数を頼んで、それを無視して右傾化政策をゴリ押しで可決しょうとしているのである。それを反知性主義と決め付けているのであろう。
　そういう非難は、一強複弱と言われるくらいに自民党を勝たせすぎた国民に向かって投げつけるべきであろう。
　それは、劇場選挙といわれた、２００５年の郵政民営化を問う国民投票的な選挙で、小泉自民党が大勝したのと同じレベルの選挙であり、国民の民主主義レベルの未熟さの表れなのだ。