このような要件を備えた「タブ－」は、未開社会に多いことは分かるが、科学技術を駆使して、生命まで造ろうという現代にも、それが「未開残滓」のように存在しているのである。
　このタブ－に似て非なるものがある。それが「ジンクス」1である。
・ジンクスの由来
　タブ－はポリネシア語であるが、ジンクスの語源ははっきりしていない。ギリシャには「きつつき」の一種で「ｊｙｎｘ｝という鳥がおり、その鳥は１８０度首が回って、真後ろまで見ることができるので、不吉な鳥とされているという。これが語源であるという説があるが、あまり確かではない。
　「ジンクス」の日本語訳はないが、強いて言えば、ジンクスには、悪いことばかりでなく、お目出度いものもあるから「吉凶則」とでも言うしかないであろう。
　タブ－は「こうしてはならない、こうするべきだ」と行為指示的だが、「ジンクス」は「こういう場合にはこういうことになるであろう、こういうことが起こるであろう」と、因果的、予言示唆的である点とお目出度い予言もある点が「タブ－」とは異なるものである。
　この「ジンクス」は、ひとの経験から、こういうことが言えそうだ、と統計的な発見、着想によってた生まれたものであるといわれている。
　しかし、数学を使った統計とか確率というほどのものではない。