筋肉と語学力は使わないと忽ち衰退してゆくものである。
　最近は重病で入院しても、大きな手術をしても、５日目くらいから、軽いリハビリが始められる。そうしないと、筋肉が衰えて、病気回復後の日常生活に支障を来たすことになるからである。
　人間の脳力も同じであると思う。前述の意味での老人の才覚を活用して、「病気」と「退屈」という二つの大敵を寄せ付けないようにするためには、どうすべきかを考え、工夫する力を萎えさせないように、常に頭を使うようにすることが大切なのである。
・老人はその才覚を発揮し得る場があるか
　老人がその才覚を発揮するためには、それを使うことが出来る場が必要になる。
　ライフワ－クを持った研究者、自営業者や企業のオ－ナ－経営者は７０歳を過ぎても働く場はあるから、リタイアせずに、そのまま働き続けている人が多い。が、一般のサラリ－マンの場合は、定年後も自分の経験、技能を生かし得る職場を見つけることは著しく困難である。特にバブル崩壊後の日本ではそうである。
　自分の才覚を発揮する場がないのである。