ところで、０９年の総選挙で３０８名という絶対多数を得て、長年の悲願であった政権交代を果たした民主党首相の政治力はどうであろうか。
　民主党の初の首相鳩山は、１年も持たずに失脚した。
　見通しの甘さから、普天間基地の移転先を「国外、少なくても県外」という構想が見事に挫折したことが辞任理由であった。
　しかし、その前から幹事長の小沢の繰り人形化していた。
　「オレは党を仕切る。政策的なことは内閣に任せて口を出さない」と言った小沢に指導権を奪われてしまったのである。
　小沢が、政府に対する陳情の窓口を幹事長室に一本化した結果、そこに集中した陳情をまとめて、「国民の声を伝達に来た」として、大勢の議員を引き連れて官邸に乗り込み、政策を申し入れたり、一旦決まっていた内閣の政策を転換させたりしたからである。
　鳩山辞任後の代表戦に勝った菅は、「小沢さんは少し静かにしていて欲しい。それが民主党のため、国民のため、自分のためである」と小沢を遠ざけた。