「今や、経済的競争の中心は、太平洋とアジアに移らんとしつつあり、此のときに当たり、わが帝国が欧米列強と対峙して、肇国の鴻義を大成して世界の文化に貢献するは、あに大和民族の一大使命にあらずして何ぞや」「翻って帝国の現状を察すれば、政党党派、蝸牛角上に争い、徒に政権占奪を以て畢生の目的とし、唯一身、一党、一政府の計をのみ維れ事とし、・・」「かくして、憲政は黄金政治と化し、政界は涸濁を極め、外交振るわず、国防全からず、風致頽廃、思想動揺、産業経済ともに萎縮し、国民生活をして今日の如き、古今未曾有の危機に対せしめり」「今日の急務は、吾人国民、一致結束、横流を排して頻波を底柱するを以自ら任じ、社会改革、政治廓清の二大旗幟を掲げて、経済的競争の十字街頭に一路邁進あるのみ」
　会旨には、このような尤もらしいことが述べられているが、村上の本音は、国家の基幹に位置する各界の要人が隔月くらいに、集まって、国内外の政治、外交、経済、社会の問題について、そうごの見解をぶっつけ合ったり、時々の重要案件について、その中心人物を招いて、意見を交換する機会を定期的に作ろうとすることにあったのであろう。
　当初の発起人として名を連ねたのは次の十三氏であった。