以上、民主主義のもろさを示す四つの事例を挙げた。
　が、いずれも民主主義の形、即ち国民による投票や議員制は設けていても、非民主的な指導者や実質的に独裁政治を指向する指導者出て来て勝手気気侭なことをやると、民主主義の理念は消え去り、非民主的な政治に変わってしまうということである。
　日本でも、阿倍政権はそうなりつつあるのである。
・民主主義政治の特性
そこで、改めて民主主義がどういう特性を持つ政治体制であるかを考えてみよう。
　リンカ－ンの言うように、民主主義政治は「人民の、人民のための、人民による政治」であるならば、そのプロセスは、政治の意思決定→意思表示→政策への反映→政策の実施ということになろう。
　そこで、このプロセスに沿って民主主義の政治特性を明らかにしてみよう。
１意思決定
　民主主義社会では、言論の自由が保障されており、マスコミの活動は活発だから、政治、経済、社会に関する情報全般の伝達は良いはずであるが、問題は政官の情報公開のレベルである。
　これは、政府の秘密保護や情報公開の姿勢、考え方如何によって変わってくる。
　知らししむべからず、依らしむべしでは、国民が正しい意思決定をするに必要な情報が欠けてしまうことになるからである。