２０１４年６月、イスラム原理主義過激派の武装勢力ＩＳＩＳ（イラクとシリアのシスラム国）がイラク北部とシリア東北部にまたがるＩＩＳＯＳの武力制圧区域で「イスラム国」と称する国家樹立宣言を行なった。
　
　２０１１年の「アラブの春」をきっかけとして勃発したシリア内乱の混乱に乗じた、まさに火事泥的行為である。
　イラク戦争以降シ－ア派中心の政権から疎外されているイスラム教スンニ派がその暴力組織の中心になっているが、そのリ－ダ－とされるバクダディ－なる人物は、もとは２００３年のイラク戦争でテロ行為をやっていたと言われているが、謎が多い人物である。
　バクダディは、自らイスラム教の最高権威である「カリフ」に即位して、「中東から欧州にわたる広い範囲にイスラム国を拡大させることを目的とする」と豪語している。
　イスラム国を自称する武装勢力の兵力は、２－３万人と言われるが、その構成は、シリア人が最も多いが、北アフリカのチュニジュア人３０００人をはじめ、欧州、アメリカ、カナダなど欧米からの参加者もかなりの数にのぼると言われている。
　制圧した地域の住民に対しては過酷な戒律を強制し、奴隷制を認め、イスラム教徒以外は、男は処刑し、女は性奴隷として売買するなどの非道極まる所業をほしいままにしているという。
　その一方で、国家としての統治機構を整えようとして、官庁らしき機構を設置したり、外国人技術者の力を借りて、水道、電気などのインフラ整備も進めているという。