今はＩＴ時代だから、社会、政治、経済に関心をもち、かつ、筆の立つ人なら、インタ－ネットでの投稿という形で、「老いの才覚」を発揮する場があるし、それを生き甲斐としている人もいる。が、それをやれる人は極く限られるであろう。
　暇を持て余して退屈するのもつらいことだが、「お迎え」を待つだけの生活ではいかにも侘し過ぎる。
　先に述べたように、定年後の再就職は極めて困難、仕事があっても、マンションの管理員とか自転車置き場の整理のような仕事しかない。今までの経験、知識を活かすような仕事には就けないというのが一般の姿である。
　しかし、中には、定年退職者が持っている人脈、技能、知識、専門性に着目して、積極的に採用し、企業業績を伸ばしている企業もある。
　これは、従来のやり方に囚われない経営者の見識であろう。
　定年後の再就職者は、自分の業績が上がらなければ、即、お払い箱になることは分かっているから、必死になって仕事をやるようになるであろうから、この定年者雇用制度が成功するであろう可能性は高いと思われる。