サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。
-
from: クマさんさん
2007/05/11 05:27:14
icon
中辛のカレー
私のギターを手に入れ、夢中になって練習して2ヶ月が過ぎた。
毎日、学校から帰ってくるとギターを弾いていた。
食事が終わって部屋に入るとギターが鳴っていた。
夜私が帰ってくると、ギターの音が外にも聞こえた。
何か自分を打ち込む物を求めるように、
とにかくギターを長男は手放さなかった。
親は思うものだ。
「ギターなんぞ弾かないで、少しは勉強したらどうだ。」
「そんな物は趣味にしておけ。」
「若いんだから、もっと体を動かし、スポーツしたら。」
彼が部屋にこもってギターを練習していると、
そんなことを思っていた時もあった。
それは、子供の今に対する否定的な見方であった。
現状を肯定し、あるがままを認めることから始める。
それが、実は親という存在にとっては難しいことなのだ。
なぜならば、親はすぐに教えたがるからである。
自分のことを棚にあげて、
指示・命令・教訓・指導、上からの物言いが多くなっているからでもある。
「男子三日会わざれば、活目して見よ」と昔の人は言っている。
同じではないのだ。
決め付けてはいけないのだ。
親が思って、願っている子供像は、
子供本来のあるがままとずれているのである。
だから、「分かっていないよ」と否定されてしまうのだ。
子供は親の鏡である。
親が子供の現状を否定的に見る時、
同じく子供も親を否定的に見ているのである。
6年生の国語の教科書に、重松清作の「カレーライス」というお話が載っている。
「甘口」のカレーから、「中辛」のカレーへ、物の見方を転換する。
「へぇーそうなんだ。お前いつの間にか中辛だったんだ。」
親父として、子供が大人になったことを認めた喜び。
その大人になった自分をいつまでも子ども扱いする親父への反発。
そんな心の動きがよく描かれている。
何度読み直しても発見があった。
さて、昨夜の話に戻る。
長男が突然ギターを抱えて部屋に入ってきた。
「父さん聴いて、俺できるようになったんだよ。」
「ほー、一曲聴かせてくれよ。」
彼が弾き始めて驚いた。
上手い、凄い、本当か・・・。
彼が弾くギターで、いつの間にか私が懐かしいフォークソングを歌っていた。
歌いながら、何だか胸から熱いものがこみ上げてきた。
それを悟られまいと、ぐっと堪えて歌い続けた。
「すごいなぁ、Nいつの間にこんなに上手くなったん。」
「音の響きがとてもいいなぁ。」
「難しいコードを、よく弾きこなしているな。」
また一つ息子に負けたと思った。
そう思ったら、何だか一つ心が軽くなった。
そして、嬉しくなった。
「へーそうなんだ。お前いつの間にか中辛のカレーだったんだね。」
今度一緒にギターでジョイントしたいと親父は思っている。-
サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。 - 0
-
サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。 - 0
icon拍手者リスト
-
コメント: 全0件