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  • from: クマさんさん

    2007年11月15日 05時41分49秒

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    中村屋のきんつば

    父が昨日、S病院の定期診断を受けてきた。
    バスに乗って、小新まで一人で出かける。
    担当医は、私たち家族がお世話になった名医の息子さんだ。
    父のことを自分の父親のように大切にしてくれる。
    ありがたい話である。

    私が帰ってくると、父は寝ていた。
    「どうしたん?」と母に聞くと、
    病院の帰りにワンカップを買って帰ってきて、飲んだそうだ。
    何年か前までは、少しの酒が呼び水となり、
    もっとよこせと怒鳴っていたこともあった。
    酒にも弱くなったものだ。

    「また入院かもしれないよ」と母が心配そうに血液検査の結果を見せた。
    「どこが悪いんか、お父ちゃん言わないんさ」
    「ここに緊急報告って書いてあるろ」
    確かに表題には「緊急」の文字があった。
    よく読むとHやLは書いてあるが、どれも正常値と変わらない。
    血糖値だけは少々高めである。
    「この緊急は、すぐに結果を出しますということの意味だよ」と私は笑った。

    ほっとしながら、その用紙に書かれていた父の年齢を見て驚いた。
    77歳と8ヶ月である。
    いつの間にこんなに年を取ってしまったのだろう・・・。
    何故かこの数字が悲しく思われた。
    数値は正常であっても、人生は無常である。
    流れ、移り変わるのが人生の常とは言いながら、諦めきれないものを感ずる。

    もっと話したかったが、最近は口煩く、文句ばかりでそばにもいられない。
    母とはお茶を飲みながら話しているようである。
    子供たちは煩く言われるので、敬遠勝ちである。
    真っ暗な部屋でテレビと向き合って座っている父を見ると、
    私なのだと思うときがある。
    しかし、この父の年齢まで生きられるかどうかは定かではなかった。
    人生は無常であるから、明日のことは誰にも分からぬからだ。

    先日、高瀬温泉名物の中村屋の「きんつば」を買ってきた。
    この「きんつば」は限定品のため、なかなか手に入らないしろものだった。
    前夜に予約して、朝、宿に届けてもらった。
    この「きんつば」には思い出があった。
    父が若い頃、慰安旅行でこの温泉に行くと、
    帰りには必ずこの中村屋と書かれた四角の箱をお土産にもってきた。
    薄皮の真四角のきんつばが珍しくて、
    子供心によく覚えていた。

    そのきんつばが、まだ箱に二つ残っていた。
    「じいちゃん、食べれ」と、
    私はテレビを見ている父の横のテーブルに、
    きんつばの箱を置いた。

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