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  • from: クマさんさん

    2012年02月19日 10時26分11秒

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    ペンキ職人の親方の深い話 その1

    ペンキ塗りの職人の親方と、一緒にポッポ焼きの屋台のペンキを塗っていた。
    りゅうとで3月に上演する舞台の大道具だった。
    親方は左を。私は右を担当した。
    塗り始めてそのはけの速さが違うことに気づいた。
    私が塗った部分はどうもはけ跡が残り、むらがあった。
    私だけの部分を見たら、そうは感じないが、
    名人と比べると何か深みというか、味わいが違うのだ。

    「さすがですね。仕事に人間が出ていますね。」
    私は本当に感心して、親方にはけを休めてそう語った。
    「親方、私のこの仕事に何点つけてくれますか。」
    大胆にも、恐る恐るそんなことを親方に尋ねた。
    「うーん。92点だね。」
    「えっ、そんなに高得点をいただけるんですか。」
    「92点は誰でもそれなりに出せるんだ。」
    「そんなもんすかねぇ。」
    「でも、98点になるまでは何年も何年も修行を積まなければならないよ。」
    「ここから始まるんですね。」
    「そうさ、ここからなんだよ。」
    「では親方。100点を採るためにはどうすればいいんですか。」
    「100点かね。またそこから何十年も修行だね。」
    「それでは、修行を続けていたら、あっしでも100点の職人になれますか。」
    「ああっ。なれるとも。ただし、諦めないで続けたらな。」
    「・・・・続けたら・・・。本当にそうらね。」
    「ほら、はけが止まったれ。続けれ。続けれ。」

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