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  • from: クマさんさん

    2012年02月19日 21時35分13秒

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    ペンキ職人の親方の深い話 その3

    「あのね。どんな色を塗ってもいいんだよ。」
    「そんなもんですかね。」
    「どんどん自分らしく塗り重ねればいいんだがね。」
    「なかなか思うような色が出ないんですでは親方。」
    「でもね、たった一つの色があるんだ。」
    「その色ってのは・・・。」
    「この色を塗るとね、全部の色が真っ白に変わるんだ。」
    「それは・・・。魔法のようなものですね。」
    「人の心には、みんな誰もがこの一瞬にして真っ白に変える力をもつ色があるんだよ。」
    「その色の名前を教えてください。」
    「ピュアホワイトだがね。」
    「その色を使えば、人生を塗り替えられるんですか?」
    「おめさん。ばかうけ展望台から雪景色の新潟の町を見降ろしてみた。」
    「それが・・・何か?」
    「ピュアホワイトらろ。みんなまっ白らて。それぞれの色が消えてしまうて。」
    「その色って、俺のような男の心にもあるんですかぃ。」
    「誰にでもあるんだて。ただ、それに気づくかどうからろね。」
    私は、目の前のポッポ焼き屋の屋台の複雑な色合いをマジマジと見つめた。
    それは、私のいい加減な人生そのものの色だった。

    「親方。その色をどうやって出したらいいんですかぃ。」
    親方は、そんな私の言葉を聞き流し、せっせと色を塗っていた。
    その色は、ピュアホワイト何ぞ絶対に必要としてない実存的な色だった。

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    さけ

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