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  • from: クマさんさん

    2012年03月11日 10時01分48秒

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    一年前

    生きることとは
            坂村真民

    生きることとは愛することだ
    妻子を愛しはらからを愛し
    おのれの敵であるものをも
    愛することだ

    生きることとは
    生きとし生けるものを
    いつくしむことだ
    野の鳥にも草木にも
    愛のまなこをそそぐことだ
    ああー

    生きることとは人間の美しさを
    失わぬことだ
    どんなに苦しい目にあっても
    あたたかい愛の涙の
    持ち主であることだ

    生きることとは
    愛のまことを貫くことだ
    生きることとは
    愛のまことを貫くことだ
    ああーああー

    昨日、7時からの公演の前に、「鳥の歌」へ行った。
    この店の主のHさんが、私をこんな人間に変えてしまった師匠なのだ。
    私が高校生だった頃、彼は新潟市のあちらこちらで映画の自主上映会をやっていた。
    映画のビデオもDVDもない時代だった。
    新潟では決して観られなかった名画の数々を彼は上映会を開いて見せてくれた。

    ポーランド映画のアンジェ・ワイダ監督の映画や、
    「灰とダイヤモンド」「尼僧ヨワンナ」等など、
    時には北都映劇での日活アクション映画のオールナイト。
    鈴木清順と出会い、「東京流れ者」に酔っ払った。
    新潟大学まで自転車で行き、上映会を観た帰りに、パトカーに職務質問されたこともあった。
    駅前の福祉会館での「三里塚」連続上映。
    そのおかげで第4○○につかまり、
    あやうく高校から追い出されるところだった。

    人生は映画に在り。
    私が東京の大学へ行ったのは、映画を死ぬほど観るためだった。
    文芸地下・テアトルシネマ・早稲田文芸座?
    ピアを片手にとにかく安い名画座ばかりに通ったものだった。
    映画が300円で、電車が30円位の時代だっただろうか。
    昼間っから映画館の暗闇に浸り、銀幕の別世界に酔いしれていた。
    その頃、Hさんはフーテンを生業として、
    劇団を新潟市で立ち上げていたことを昨日知った。
    テントを張って、唐十郎の演劇で暴走していた。

    あれから37年たち、白髪の私はカウンターに座り、Hさんの少々薄くなったお頭を見ていた。
    「クマさん、私も61になってしまったて。」
    「俺だって54だよ。」
    「あっという間らったね。」
    二人は馬鹿だった(今もそうだが)あの青春の日々を感慨深くお互いに思い浮かべた。
    「麒麟山、熱燗で。」
    「三陸沖で採れたメカブらよ。」
    今が旬のメカブを三杯酢でいただいた。
    「また劇団作って、テントでやることにしたさ。」
    「体が動くのもあと10年。今やらないとできなくなってしまうからね。」
    いつもいつも私の遠い先を突っ走っている我が師であった。

    「クマさん、次の公演の脚本できましたか?」
    「実はさ、できたんて。沼垂の柵の物語らがね。」
    「王瀬の長者の物語みたいな話らんですか?」
    「アテルイって知ってる。その時代と同じ時代に山ノ下にあったはずの物語らんて。」
    「アテルイ?ああーっそんげな歌を入れたCDがここにあるよ。」
    「えっ、それ探していたんて。聴かせて聴かせて。」
    さっそくHさんは奥様と一緒に天井からつり下がった棚の中を探し始めた。
    そして、探すこと5分。発見されたCD「潮騒の森」照井 顕 アテルイじゃんず楽団。

    その中にこの坂村さんの詩に曲をつけた歌があった。

    Hさんは、この詩のように生きて来た人だった。
    私は、師のあとからずっと遅れながらも、この詩のように生きようと願っている人である。
    そして、震災から一年目の今日。
    私はこの詩こそ、被災した人たちに贈りたいと思い、ここに記した。

    あれから一年。今、あの津波の光景を思い出すだけで涙が止まらない。

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